犬のぶどう膜炎~症状や原因、治療法までをわかりやすく解説!~

犬のぶどう膜炎~症状や原因、治療法までをわかりやすく解説!~

犬のぶどう膜炎は、愛犬が目を床にこすりつけたりしていることを、きっかけに発覚する病気です。しかし、ぶどう膜炎は初期症状が出にくいため発見しづらく、放っておくと合併症を引き起こす危険性があるため注意が必要です。ここではぶどう膜炎について原因から治療法までを紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬のぶどう膜炎とは

片目を瞑る犬

ぶどう膜炎とは目の中にあるぶどう膜の「虹彩」「毛様体」「脈絡膜」が炎症することを指します。また「網膜」「硝子体」「強膜」などの目の中に起きた炎症が広がったものも含まれます。ぶどう膜炎は様々な病気から広がって起きることが多いため、原因が特定しにくい病気のひとつです。

※虹彩=眼球に入る光の量を調整する
※毛様体=虹彩を動かす筋肉
※脈絡膜=眼球や網膜に栄養や酸素を届ける

犬のぶどう膜炎の症状

涙ぐむチワワ

ぶどう膜炎の症状
  • 涙が流れる
  • 目が痙攣する
  • 強い光を受けると目の痛みなどが起こる

主に上記の3点が症状として現れますが、更に炎症場所によって症状は変わります。

前部ぶどう膜炎

前部ぶどう膜炎とは目の中にある毛様体の前部分、虹彩の炎症又は両方の炎症のことを指します。

前部ぶどう膜炎の症状
  • 涙が流れる
  • 目が痙攣する
  • 強い光を受けると目の痛みなどが起こる
  • 角膜の血管がふくれる
  • 視力が低下する
  • 眼圧が低下する
  • 前房が出血する
  • 角膜が沈殿する
  • 前房に濁りがみられる
  • 前房に膿汁がたまる
  • 結膜が充血する
  • 虹彩の暗色調化
  • 虹彩の肥厚
  • 縮瞳

中間部ぶどう膜炎

中間部ぶどう膜炎とは目の中にある毛様体の後部分の炎症のことをいいます。

中間部ぶどう膜炎の症状
  • 涙が流れる
  • 目が痙攣する
  • 強い光を受けると目の痛みなどが起こる

後部ぶどう膜炎

後部ぶどう膜炎とは目の中にある脈絡膜の炎症のことをいいます。

後部ぶどう膜炎の症状
  • 涙がよく出る
  • 目やにが出る
  • 涙が流れる
  • 目が痙攣する
  • 強い光を受けると目の痛みなどが起こる
  • 脈絡膜浸潤
  • 視力が低下する
  • 肉芽がつくられる
  • 神経系炎
  • 網膜が隔離する
  • 網膜が出血する
  • 硝子体が濁る

犬のぶどう膜炎の初期症状は分かりづらいことが多いことが多いですが、目の炎症を起こしていることから「涙がよく出る」「目やに」などが見られます。愛犬がぶどう膜炎を発症している場合目を気にしてこすったりするなどの行動をとることもあります。

犬のぶどう膜炎の原因

顔をこする犬

  • 感染性ぶどう膜炎
  • 外傷性ぶどう膜炎
  • 代謝性ぶどう膜炎
  • 色素ぶどう膜炎

などの原因があります。

感染性ぶどう膜炎

感染性ぶどう膜炎は犬では犬伝染性肝炎、ブルセラ症、ブラストミセス症、犬糸状虫症、眼性トキソプラズマ症を始めとした「ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など」の感染から起こります。

外傷性ぶどう膜炎

外傷性ぶどう膜炎は穿孔性外傷と鈍性外傷に分かれており、穿孔性外傷は目の中にある房水が流れ出る、虹彩が飛び出る、水晶体嚢の破嚢のいずれかが起きることをいいます。

鈍性外傷は穿孔性外傷よりも重度の症状であることを指し最悪の場合、眼球破裂を起こしてしまうと治療が難しくなることもあります。

代謝性ぶどう膜炎

代謝性ぶどう膜炎は真性糖尿病や高脂肪症の疾患によりみられることをいいます。

色素ぶどう膜炎

ぶどう膜炎に加え、水晶体への色素沈着が起こることをいいます。これはゴールデンレ卜リーバーに特に多く見られる症状で、続発緑内障を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

犬のぶどう膜炎の治療法

目薬をさされるゴールデン

まずは犬のぶどう膜炎の原因となっている「基礎疾患の治療」から始めるのが一般的です。例えば感染性ぶどう膜炎では原因である微生物(ウイルス)に対して抗菌薬を投与するなど様々な治療をします。しかし犬がぶどう膜炎を発症してしまった原因が特定されないことも多く、その場合では対症療法が行われます。

犬のぶどう膜炎の対症療法

犬のぶどう膜炎の対症療法とは原因に対してではなく、主な症状を和らげるための治療を行い、自然治癒能力を高めていく治療のことをいいます。

一般的には下記の方法で治療します。

  • コルチコステロイド
  • 非ステロイド性抗炎症薬
  • 免疫抑制剤
  • 抗微生物薬
  • 毛様体麻痺薬

犬のぶどう膜炎の予後

目を瞑る犬

治療後もぶどう膜炎によって引き起こされた重度の眼内炎症や白内障などの合併症で左右されます。飼い主はそれらとしっかりと向き合って根気強く犬のぶどう膜炎の治療をしていく必要があります。

犬のぶどう膜炎に関するまとめ

キスをされる犬

犬のぶどう膜炎の原因
  • 感染性ぶどう膜炎:ウイルス、細菌、真菌、寄生虫など
  • 外傷性ぶどう膜炎:房水が流れ出る、虹彩が飛び出る、水晶体嚢の破嚢
  • 代謝性ぶどう膜炎:真性糖尿病、高脂肪症の疾患
  • 色素ぶどう膜炎:水晶体への色素沈着が起こる

ぶどう膜炎は原因が分かりづらいことから長期的に症状と向き合っていかなくてはいけない病気です。犬のぶどう膜炎は初期症状も分かりづらいためふだんから健康診断にいくなど愛犬への体調に気を使ってあげましょう。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 かえで

    感染性ぶどう膜炎は、いま飼っているわんちゃんの母犬がなりました。
    初めは涙がひどかったので様子を見てたのですが、散歩に外にでた時に、目をシバシバさしていたので、目の病気かもと思い獣医さんに診ていただきました!
    何種類かの検査を受けた結果、感染性ぶどう膜炎だとゆうことがわかりました。
    直ちに、免疫抑制剤を投与されました!
    生活に注意点が色々ありましたが、なんとかよくなり、元気になりました。
    なりやすくなるので気を付けるようにと言われましたので、清潔をできるだけ保つようにしました。 
    食事にも気を付けて野菜も食べさせるようにしました。ビタミン類もとってほしいと思ったからです。
    激しい運動は避けまして、気をつけました。
    目は特に注意が必要ですので気を付けてあげたいですね。
  • 投稿者

    20代 女性 匿名

    ワンちゃんが目を痒がったり涙やけをおこしてしまったりなど、日常的にありますよねー!アレルギーなどでも痒がったりするので、判断が難しいですね。
    ぶどう膜炎という病気は知らなかったのですが、初期症状が分かりにくいですが何か異常が出てきた場合にも、早めに飼い主さんが気づいてあげる事が大事なんだなぁと思いました。
    病気に関しての知識は飼い主さんは分からない事が多いですが、愛犬に関して敏感に何か異変を感じたり些細な事は獣医さんよりも飼い主さんの方が細かく気づくとの事ですので、普段から愛犬の様子はチェックしてあげたいですね。

    我が家のわんこも一時期目やにが多く診察を受けた事があります。普段よりも目やにが多い日が続いたり、涙が出ていたりなど、あれっ?と思う時は診察を受けるのも良いと思います。
    結果何もなかったのですが、異常がないという事が分かるだけでも安心しますし、私自身は気になったらすぐに診察して貰うようにしています。
    診察料金も、大きな検査はなかった為診察料と目薬代のみで1000円もかかりませんでした。

    原因が分かりづらく、ぶどう膜炎になってしまった場合は根気よく治療して行く必要があるんですね。病気はワンちゃんだけでなく飼い主さんも一緒に乗り越えなくてはなりません。無理せず焦らず回復してくれることを信じる事が大事だと思います。
  • 投稿者

    20代 女性 あめたま


    床に目を擦り付ける行為は現在飼育している愛犬も頻繁にやっているので、気を付けて見ていないといけないと感じられました。

    犬のぶどう膜炎の症状は、日常生活を送る上でよく見られるものなので医療知識の乏しい飼い主には判断が難しいです。

    したがって、少しでも疑わしいと感じられる事があれば獣医さんに相談し、診察してもらう事が早期発見に繋がります。

    ぶどう膜炎の治療方法は自然治癒力によるものが主なので、症状が軽いうちに治療を開始した方が治りは早くなります。

    どの病気にも言える事ですが、早期発見早期治療が愛犬の身体にも心にも負担をかけずに済むので、大袈裟だろうかと思わずに不安に感じたら医療機関の受診をお勧めします。
  • 投稿者

    女性 JIN

    ぶどう膜炎という病気ははじめて聞きましたが、目の健康が気になるお年頃の犬を飼っていますので拝読いたしました。
    高齢による白内障を心配しているのですが、目の健康はそれだけではありませんものね。これまで幸い、愛犬は目を負傷したりぶどう膜炎のような炎症を起こしたことはありませんでしたので、こういう症状の病気もあるんだと勉強になりました。
    愛犬の目は、いつも話しかけるたびにのぞき込むようにじっくり見ています。痛みなどは分かってあげられませんが、見た目でわかるような異常にはいち早く気が付いてあげられるようにしたいです。よく、太陽の光の明るい下で目を見たら濁りが分かった、などと聞きますので、明るい時間帯によく光に当ててみるようにしています。
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