犬の天疱瘡について その原因と症状、治療や予防法

【獣医師監修】犬の天疱瘡について その原因と症状、治療や予防法

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愛犬家のみなさんは犬の皮膚病の中でもよくみられる天疱瘡(てんぽうそう)という病気をご存知ですか?犬の天疱瘡は、一度発症するとなかなか根治しない病気です。早期発見をするためにも、この記事では犬の天疱瘡について詳しく紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の天疱瘡とは

クッションで伏せて悲しげな表情のラブラドール

  • 免疫異常による皮膚の病気
  • 体内にある「デスモグレイン」を自ら攻撃してしまう病気
  • 人が天疱瘡に発症すると難病に指定される病気
  • 完治するのが難しい病気

天疱瘡(てんぽうそう)とは表皮と粘膜上皮をくっつける「デスモグレイン」を、なんらかの原因で自ら攻撃してしまう病気です。犬や猫などの哺乳類に発症が確認されています。

人が天疱瘡に発症すると難病に指定される程で、犬も天疱瘡が発症すると、人と同様に完治するのが難しい病気のひとつです。

犬の天疱瘡と免疫異常の関係

聴診器を持つ医者の手

  • 免疫は体を守るため有害物を攻撃をする働きがある
  • 天疱瘡を発症すると免疫に何らかの原因で異常がおきる
  • 天疱瘡を発症すると体内にある「デスモグレイン」を攻撃をしてしまう

免疫異常とは通常、免疫は体を守るために体内に侵入してきた有害物に攻撃をし、体内から排除しようと働きます。

しかし、犬の天疱瘡はその免疫に何らかの原因で異常がおき、体内にある「デスモグレイン」を間違えて攻撃をしてしまいます。

例えば犬が花粉やほこりなどを免疫の攻撃対象としている場合、花粉やほこりなどを排除することは簡単です。

しかし天疱瘡を発症している場合、犬の体内にあるデスモグレインを攻撃対象としているので、体内からデスモグレインを排除が出来ないことから、天疱瘡は治療が難しい病気とされています。

犬の天疱瘡の原因

犬と薬

天疱瘡が発症する原因ははっきりと解明されていません。
現在は先天性と後天性の原因があると考えられています。

天疱瘡の原因その1︰遺伝(先天性)

好発犬種の存在から、天疱瘡が発症するのは何らかの遺伝要素が関わっていると考えられています。

天疱瘡の原因その2︰紫外線(後天性)

犬が強い紫外線を浴びることで、天疱瘡を引き起こすと考えられています。そのため夏頃になると天疱瘡が悪化する傾向があります。

天疱瘡の原因その3︰薬物(後天性)

犬の天疱瘡のひとつである落葉性天疱瘡は、犬への薬物投与によって引き起こされることがあると考えられています。継続的に犬に治療薬を使う事で、免疫系に異常が起こる事が原因と考えられています。

犬の天疱瘡3つの症状

伏せている茶色い目の犬

犬の天疱瘡は3種類に分けることが出来ます。

  • 尋常性天疱瘡
  • 落葉性天疱瘡
  • 紅斑性天疱瘡

犬の尋常性天疱瘡

  • 犬または猫のみに発症
  • 犬の毛が抜ける
  • 犬の口唇やまぶた、肛門の周りなどに水疱やびらんができる
  • 強いかゆみが起きる
  • 犬の爪周りに炎症が起きる
  • 症状が重症化すると死に至る

尋常性天疱瘡は犬または猫のみに発症が起きます。口唇やまぶた、肛門の周りなどの皮膚と粘膜の境界部に水疱やびらんができます。

また皮膚が薄い場所であることから、強いかゆみが起こりやすくなります。重症化すると、かき壊しによって二次感染などにより死亡することもあります。

犬の落葉性天疱瘡

  • 山羊や馬にも発症する
  • 4~5歳の犬に発症しやすい
  • 毛が抜ける
  • 皮膚に膿疱をつくる
  • 膿胞からびらんまたはカサブタを起こす
  • 重症化すると全身に広がる

落葉性天疱瘡は犬、猫以外にも山羊や馬にも発症します。4~5歳の犬で発症しやすく、特に犬は天疱瘡の中でも落葉性天疱瘡にかかりやすいと言われています。

犬が落葉性天疱瘡を発症すると、耳、目の周り、鼻稜、手足に膿疱を作り、壊れやすく、すぐに破れてびらんやカサブタになります。また肉球が角化亢進によってカサカサになることもあります。

落葉性天疱瘡が重症化すると症状が全身に広がってしまいますが、死亡する例はまれです。

犬の紅斑性天疱瘡

  • 毛が抜ける
  • 頭や顔の皮膚に膿疱をつくる
  • 落葉状天疱瘡の亜種
  • 膿胞からびらんまたはカサブタを起こす

犬の紅斑性天疱瘡は落葉状天疱瘡が頭部や顔面に現れる症状で、落葉状天疱瘡の亜種になります。

犬の天疱瘡の好発犬種

ドーベルマンの横顔

落葉性天疱瘡と紅斑性天疱瘡には好発犬種が存在しています。

落葉性天疱瘡になりやすい犬種

  • 秋田犬
  • ダックスフンド
  • ビアデッドコリー
  • ドーベルマン
  • チャウチャウ

赤斑性天疱瘡になりやすい犬種

  • ラフコリー
  • シェットランドシープドッグ
  • ジャーマンシェパード

犬の天疱瘡の検査方法

顕微鏡をのぞいている犬と聴診器をくわえている犬

犬の天疱瘡の検査方法には主に3方法あります。

  • 直接鏡検
  • 血清学的診断
  • 免疫組織学的検査

直接鏡検

水疱または膿疱の細胞を顕微鏡でみることで犬が天疱瘡であるかどうか判断します。

血清学的診断

犬の血清に含まれる抗体の検査でデスモグレインを攻撃している免疫があるのか検査し、犬が天疱瘡であるかどうか判断します。

免疫組織学的検査

天疱瘡を発症している動物の水疱または膿疱のある部分の皮膚を採取して標本をつくり、それをもとに総合的に犬が天疱瘡であるかどうか判断します。

犬の天疱瘡の治療法

ホメオパシー薬を持つ獣医の手とマルチーズ

  • コルチコステロイドの投与
  • ビタミン剤や漢方

犬の天疱瘡の治療法は主に、コルチコステロイドの「全身投与」によって行います。犬の免疫を調整する効果があるビタミン剤や漢方などを合わせることもあります。

天疱瘡の薬は1種類で済むこともあれば、複数の薬を使うこともあります。

また天疱瘡は完治しづらい症状のため、飼い主は長期的に愛犬の症状に向き合う必要があります。

犬の天疱瘡の予防

太陽

紫外線が犬の天疱瘡に関係していると考えられているため、天疱瘡の予防の為発症していない犬でも、日中犬の散歩は避け、太陽光が当る場所に犬を極力行かせないようにし、遮光カーテンをするなど紫外線対策を心がけましょう。

天疱瘡の予防は、なるべく犬が大量の紫外線を浴びるような事は避ける事が大切だといわれています。

また既に犬が天疱瘡を発症している場合でも、紫外線を避けたほうが愛犬への負担が少なくなると考えられています。

犬の天疱瘡に関するまとめ

犬にキスする女性

  • 犬の天疱瘡は完治するのが難しい病気
  • 早期発見が大切
  • 天疱瘡予防のため紫外線を避ける

犬の天疱瘡は現在はまだまだ解明されていない部分が多く、犬が天疱瘡を発症すると完治するのが難しい病気です。

ですが犬の天疱瘡を早期発見をすることで、薬でのコントロールがしやすくなります。

愛犬の状態をよく観察し、天疱瘡の初期症状を逃さないようにしてあげましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 サワダ

    はじめて聞いた病気です。治療もとてもむずかしそうな病気ですが、原因がわからないというのはこわいですね!予防法についても紫外線を浴びないことというのも何とも抽象的というか…。どれくらい浴びるといけないかなどについてもはっきりとわかっていないということだと思うのですが、対応がむずかしいな~と感じてしまいます。
  • 投稿者

    30代 女性 ハッピー

    天疱瘡という病名は初めて聞きました。てんぽうそうと読むんですね。うちの子がダックスなので少し怖いと思い読ませて頂きましたが、今のところは同じ様な症状がみられないので大丈夫そうです。ただ、先天性意外にも発症する事が有るとの事なので、薬選び等には注意が必要そうですね。
  • 投稿者

    女性 ドン

    初めて聞く病名で漢字も読めませんでした。好発犬種にうちの犬はいなかったので、ちょっと安心しましたが、最悪かきむしった傷口からの二次感染で死亡とあって驚きました!皮膚疾患で死亡ってあまり聞かないので、これもレアなケースなのかな。皮膚疾患、とくにかゆみを伴うものはワンちゃんにとってとてもつらそうですよね。ひどくなる前に気が付いて治してあげたいと思います。
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