トラウマ/PTSDとは
非常に強い恐怖体験やストレスが原因で精神に傷を負うことを「トラウマ」といいます。日本語では「心的外傷」や「精神的外傷」と訳されるように、本能的に衝撃を感じるような深い心の傷を表しています。これらのトラウマは本人が望んでいないにも関わらず、ふいに思い出されてしまい、繰り返し恐怖を感じてしまいます。
また、このトラウマ体験を日常的に繰り返すことや命を脅かすなど強い経験によって、日常生活にまで支障が出る状態を「PTSD(ポストトラウマティックストレス障害・心的外傷後ストレス障害)」といいます。
犬のトラウマ
心の傷であるトラウマ。実はこのトラウマを感じるのは人間だけではありません。動物も同じように精神的に強い傷を負うことで、その体験がトラウマとなってしまいます。場合によっては人間と同様にPTSDにまで発展することもあるそうです。
昔は犬を含めて動物には感情がないと考えられていた時代もありました。しかし、動物にも感情があります。恐怖やストレスも感じます。だからこそ強い恐怖体験やストレスにより、トラウマを抱えてしまうこともあるのです。
犬がトラウマにより怯えている場合やPTSDを発症している場合、以下のような症状を表します。
- 震えが止まらない
- 怯えて隠れている
- 鳴き続ける
- びくびくしている
- パニックを起こす
- よだれを流している
- 下痢や嘔吐をしている
その他にも飼い主さんになら分かるような、いつもとは違った様子や、怯えたような表情を見せることもあるようです。
トラウマの対象
- 体罰や虐待
- 怪我
- 恐怖体験
「体罰」や「虐待」は人間同様に最もトラウマになりやすいものです。そういった経験がある犬は「男性・女性・子ども」といったような「特定の性別」や「年代」、もしくは「大きな音」や「特定の音」を対象にトラウマを抱えることがあります。これらの対象によって何かしらの恐怖体験をしたことが考えられます。特に虐待や体罰を受けていた犬は、人に対して強いトラウマを持っている場合が少なくありません。
また、虐待や体罰に限らず、場合によっては日常的な行動、例えば飼い主が良かれと思ってやっていた「爪切り」で痛い思いをした、「フローリング」を走って痛い思いをした、といったように「特定の物」や「特定の場所」で強い恐怖を感じるとトラウマを抱えることがあります。「棒」「階段」「病院」「お風呂」といったものも、体験内容や犬によってはトラウマの対象となる可能性があります。
トラウマは解消できるのか
トラウマというのは「本能」で恐怖を感じるような強い衝撃のため、簡単に解消できるものではありません。人間の場合も何年もトラウマやPTSDと戦っている方がいますよね。一筋縄で解決できるものではなく、対処方法も犬やトラウマの内容によって異なってきます。
飼い主さん自身がトラウマは簡単には治せるものではないということを理解した上で、その子のペースで治療を行っていくことになります。トラウマといった恐怖体験を克服させるには、飼い主さんと信頼関係を築くことが何よりも大切です。まずは愛犬をよく観察して「何に恐怖を感じているのか」をしっかりと認識してあげましょう。
恐怖を克服するには、まずは恐怖の対象から離すといった行動療法を取り、それから恐怖刺激に対する行動療法を行っていくのだそうです。トラウマの治療にはそれなりの時間と根気がいります。また、PTSDを発症している場合は、投薬による治療というのもあるそうです。愛犬と向き合い様子を良く観察しながら、どう対処していくのか見極める必要があるのですね。
まとめ
我が家にいる愛犬の1匹は保護犬ですが、保護した当初は過去の経験が関係していたのか、男性や子どもに対して強いトラウマを抱えていました。それらの対象が散歩の時に遠目に見えただけで、震えて固まってしまうか、パニックになり一目散に逃げ帰ろうとしていました。
初めはそれらの対象から急いで遠ざけるようにしていましたが、周りの優しい男性や子どもと接する機会を少しずつ、本当に少しずつ増やすことで、今は震えたり、逃げたりするということはなくなりました。ここまでにくるのに5年間を要しました。それくらい愛犬にとっては怖い体験をしていたのかと想像すると、いつも胸が締め付けられる思いです。
犬や動物にも感情があること。それをよく理解したうえで、相手にトラウマを与えるような経験を少なくとも故意に行うような人が一人でも減ることを願います。
ユーザーのコメント
50代以上 男性 ハッピーホープ
たぶん、劣悪な環境下で仔犬を生産するパピーミルで産まれたんだと思います。
今ではお散歩を嫌がる事はありませんが、小さな物音にもビックリするほど臆病です。