犬の肥満細胞腫の基礎知識

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犬の肥満細胞腫の基礎知識

愛犬の健康チェックを定期的に行っていますか?愛犬の健康管理を行っている飼い主さんの中には「肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ )」という言葉を聞いたことがあると思います。これは犬の癌の一種であり、愛犬を失ってしまうかもしれないとても怖い病気です。ここでは犬に多発する肥満細胞腫という病気の症状や治療法をわかりやすく説明していきたいと思います。

監修:獣医師 平松育子

(ふくふく動物病院)

犬の肥満細胞腫について

毛布の上で横になっている犬

犬の「 肥満細胞腫 」という病名を聞いたことはありますか?太っている体型の“肥満”とは関係はありません。

肥満細胞腫は犬のガン(癌)の一種であり、基本的には悪性の腫瘍ですのでそのまま放置してはいけません。犬の皮膚に発生する悪性腫瘍(皮膚がん)のなかでも16~21%を占めており、皮膚腫瘍の中では特に多くみられる腫瘍のひとつでもあります。

この病気は犬の体の中にある“肥満細胞”という細胞が腫瘍化して限りなく増えることで皮膚や皮下、体内にできものを作り、さらにリンパ節や全身にまで転移してしまう病気です。

そもそも“肥満細胞”とは、体の中にある免疫細胞の一種であり、外からの異物に対して炎症反応やアレルギー反応を起こす大切な働きをしています。

通常肥満細胞の中には、炎症を起こすヒスタミンと呼ばれる物質が蓄えられており、体に異物が侵入してくると、肥満細胞は刺激を受けてヒスタミンを放出して周囲に炎症を起こします。

この肥満細胞の腫瘍が肥満細胞腫なのです。皮膚に発生する肥満細胞腫が発生しやすい部位は、体幹から陰部周囲は約50%、四肢40%、頭部から頸部10%となってます。なお、不充分な切除では再発・転移を繰り返してしまうとても厄介な腫瘍として知られています。

犬の肥満細胞腫の症状

犬の後ろ姿

犬の肥満細胞腫は、しこり、腫れ、虫刺されのようなポツンとしたものや脂肪のようなやわらかい塊など症状はさまざまです。犬に以下のような症状が見られたときには皮膚腫瘍の恐れがあります。

これらは表面上に現れるものですが、被毛に覆われているため、普段の生活のなかで見つけることはなかなか難しいかもしれません。

  • 皮膚にしこりができて出血している
  • 皮膚の一部が蚊に刺された跡のように赤くなって腫れている、皮膚が荒れている
  • 毛が抜ける
  • 触っても痛がらない

また、犬に以下のような体調変化が起こった時には、内臓腫瘍の疑いがあります。

  • 食欲不振
  • 下痢、血便、黒色便
  • 排便困難
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 貧血
  • 発熱

肥満細胞腫は、悪性の度合いにより、3つの組織学的グレードに分類されます。肥満細胞腫の治療法と予後がグレードによって異なり、飼い主はこの病気の知識をつけておくことが重要です。

初診の段階で腫瘍の肉眼的な所見や細胞などから目安をつけることは可能ですが、摘出した腫瘍組織の病理検査がもとになるため、正確なグレードの判明は実際には手術後になります。

グレード 1

犬の肥満細胞腫のなかでも悪性度が最も低いものです。通常は皮膚の表面にできている1 ㎝以下のしこりであり、周囲への浸潤もそれほどしていないため簡単な手術で切除が可能です。

グレード 2

悪性度は中間くらいです。通常体の他の部位には転移することはないため、腫瘍を完全に取ることができれば治ります。しかし稀に付近のリンパ節、おなかの中の臓器(肝臓や脾臓等)全身の皮膚等に転移している場合があります。

また周囲の正常な組織にまで浸潤しているため、完全に切除するためには腫瘍部分だけでなく、周囲の組織までの広範囲で切除することになります。なおグレードの微妙なものは中間のグレード2に分類されることがあり、グレード1に近い2なのか、それともグレード3に近い2なのかによって治療法や予後が違います。

グレード 3

悪性度の一番高い腫瘍です。成長が早く急速に進行してしまいます。 診察のときには、すでにリンパ節や他の臓器に転移していることが多く、腫瘍の切除だけでは完治しません。

正しい判断のためには「腫瘍はいつからできたのか」「どれくらいの速さで成長しているのか」などの情報が必要になりますので、診察の際には飼い主が連れて行くようにしましょう。

犬の肥満細胞腫の原因

床で横になっている犬

犬の肥満細胞腫瘍の正確な原因は、現在明らかにはなっていません。しかし環境要因、遺伝、また免疫機能の低下により発症するなどの原因が考えられています。

年齢や犬種に関係なく発症しますが、遺伝的要因で肥満細胞腫のなりやすい犬種として、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、またパグ、ボクサー、ブルドッグなどの短頭犬種は、他の犬種より発症しやすいとも言われています。しかしどの犬種であっても発症する可能性がある病気ですので、注意が必要です。

検査について

細胞診

最初に細胞診という検査を行います。注射針を使って細胞を採取し顕微鏡で検査します。ほとんど痛みはなく、麻酔なしで簡単に行えます。

転移の確認

付近のリンパ節、体の他部分に腫瘍が転移していないかどうかの確認です。もしリンパ節への転移が見つかった場合、その他の臓器の検査も必要となります。麻酔は不要です。

CT 検査

腫瘍が切除しにくい場所の場合、体の断面図を診るための検査です腫瘍を完全に取り除くための手術するためのもので、麻酔をかけて検査を行います。

遺伝子検査

細胞を少量採取することにより、腫瘍細胞の遺伝子異常を調べることができます。悪性度や治療薬の効きやすさを予測するのに有効です。

※他にも症状により、転移や他の病気がないかなどを調べるための検査を行います。

犬の肥満細胞腫の治療法

手術中の犬

治療は進行具合、グレードにより異なります。以下の3つの中から最も適したものを組み合わせて行います。

外科療法

転移をしていない肥満細胞腫の場合には外科手術を行います。ただしグレードが2以上の場合にはガン細胞が周囲の組織に浸潤してしまっており、腫瘍のみ切除しても再発する可能性があるため、腫瘍とその周囲を含めた広範囲で摘出します。

放射線療法

外科手術だけでは腫瘍が全て取り切れない場合には放射線療法を行います。体の中の腫瘍細胞を強い X 線で殺傷する治療法です。

放射線治療では小線量の照射(15~20 回)で行う方法と大きめの線量で照射(4~6 回)する簡易的な方法の2種類があります。獣医師と相談し、飼い主さんが理解した上で、一番適した方法を選んで決めてください。

内科療法

飲み薬や注射薬により治療する方法です。ステロイドホルモン剤、抗がん剤、分子標的薬というような薬剤があげられます。通常、肥満細胞腫が全身へ転移してしまった場合やグレードが高く先々転移病変の発生が考えられる場合に行われます。また抗がん剤は副作用があるため注意する必要があります。

治療後の経過と回復

犬の肥満細胞腫の予後は、グレードと進行度により大きな差があります。

グレード1

グレード1の肥満細胞腫では、外科手術だけで完治することがほとんどです。

グレード2

グレード2になると、転移率自体は低く8 割程度の患者は局所治療のみで治りますが、リンパ節転移を起こすことが稀にあるため、経過にはとても注意が必要となります。

グレード3

グレード3の予後はとても厳しく、適切な治療をした場合であっても平均の生存期間は 6 か月といわれています。しかし、現在では手術の技術だけでなく放射線治療器の性能の進歩、また新しい薬の開発にともない治療オプションが増えていますので、将来はさらに結果の向上が期待できると思われます。

犬の肥満細胞腫の予防法

散歩中の犬

残念ながら原因が不明のため、予防法はありません。しかし早期発見、早期治療が大事です!普段から愛犬の体に触ってチェックをしていれば、いち早く皮膚上の病変を見つけることができます。

マッサージをしてあげながらしこりや腫れているところがないか、確認するようにしましょう。そして少しでも「なにかおかしい」と思うことがあれば、早急に動物病院または獣医さんに連れていくことをおすすめします。また、定期的な健康診断も早期発見に有効な手段の一つです。

犬の肥満細胞腫のまとめ

おすわりをしている犬

いかかでしたでしょうか。もしものときの為に犬に起こりうる病気の知識をつけておくことは、とても大切なことです。特にこの肥満細胞腫は早期発見、早期治療が重要になります。

定期的に健康診断を受けることも大切ですが、愛犬の体の異常にいち早く気づくことが出来るよう、普段からチェックする習慣をつけておきましょう。

記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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  • 40代 女性 匿名

    我が家の愛犬は2歳になってすぐ、前足の付け根にシコリができました。
    病院の先生から『あやしいので、大きくとっていいか?』と聞かれ『ワンコに1番いい方法で』とお願いしました。病理検査の結果、肥満細胞腫でした。
    まさかこんなに若く癌になるとは思わず、ショックでした。
    術後1年経過しましたが、再発・転移はありません。毎日のボディチェックと3ヶ月おきのエコー検査は続けています。
    半年前に胆泥症も見つかりましたが、すぐに病院食に変えて良くなりました。
    何事も早期発見・早期治療が大切ですね。
  • 女性 シュナ

    肥満細胞種、初めて知りました。記事のとおり、はじめは肥満系の病気なのかと思っていましたが癌の1種なんですね。原因もわからないとのことで予防ができないのは心配です。ですが、毎日愛犬の体にさわったり、様子がおかしいなどの異常は感じられるので気をつけていきたいと思います。私は過去、皮膚病で愛犬に異常があったときなどに動物病院にお世話になっていますが、その他は年1回のワクチンや狂犬病、フィラリアのときくらいしか連れて行っていません。愛犬は3歳のシュナウザーですが、みなさんはどんな頻度で病院に行っていらっしゃるのでしょうか。うちの頻度で考えると、愛犬の健康診断的な相談は注射などの際の年2回くらい、主に春での受診になるのですがこれではすくないのでしょうか。ふと気になり、よろしければどなたかコメントいただけると嬉しいです。
  • 女性 ゴン吉

    肥満細胞腫はほぼ皮膚に表れるので、まずは愛犬のボディチェックをして怪しいしこりがないかを確認することですね。
    もししこりや赤く腫れた部分を見つけたら、ぐりぐり押したりしてはいけません。万が一肥満細胞腫だった場合、その刺激から顆粒が放出されさらに腫瘍が広がってしまいます。局所的に赤みが増したり、痒みや痛いみを引き起こします。気になるからと触り過ぎず、まず動物病院に連れていくことです。

    胃にも症状が表れます。胃酸の分泌促進から胃潰瘍になり、食欲不振や嘔吐が見られる場合があります。グレードも進んでいる可能性があるので、できるだけ早めの治療が必要です。
    血管に影響がある場合、低血圧を引き起こしふらつきなどが見られることもあります。心臓にも負担がかかるため不整脈が起っていることもあります。

    検査はとても数多く、血液検査、血液凝固系検査、レントゲンや超音波など、犬にとっても負担の大きいものも多いです。グレードが上がるにつれ検査の種類も細かく増えていくので経済的負担もあります。

    肥満細胞腫は遺伝であったり、原因不明な点も多く予防することは容易ではありません。愛犬との日々のスキンシップの中で上手く体をチェックしておくことで、早期発見に繋がるのではないかと思います。
  • 30代 男性 さとう

    人間のガンと同じように早期発見しか策はないのでしょうね。
    犬は皮膚が被毛で覆われていますから、なかなか気が付きにくいのではないかと思います。
    以前トリミングサロンで、トリマーさんから皮膚に小さな湿疹が出来ていると教えてもらったことがありますが、本当に小さな湿疹で、飼い主の私ですら知らなかったものでした。
    きっとトリマーさんは、犬のそういった異常に気が付く術を体得しているのでしょうね。
    湿疹は被毛のもつれている箇所が蒸れてできたものだったので、大事にはいたりませんでしたが、気が付いてあげられなかったのことがショックで、それ以降はブラッシングをする際には皮膚までかけわけて、何か異変がないか出来るだけチェックするよう気を付けるようにしています。
  • 30代 女性 nico

    癌って本当に種類が多いんですね!肥満だと誘発される癌なのかと思いきや、肥満細胞にできる癌ということなんですね。ほかの癌でも聞くことがありますが、病気の原因がはっきりとはわからず予防法がないというのはやっぱりこわいですね。犬を病気で失うのが本当につらい。だからできる限りのよぼうはしてあげたいというのは多くの飼い主が感じることだと思うので、それがわからずなすすべがないというのは怖いとしか言えません。もうずいぶん古い話になりますが、私は実家の犬を癌でなくしているので、癌がとにかくこわいんです。亡くなる前の苦しそうな姿を見ていたので、無条件に恐怖心を感じてしまうんですよね。予防法はないかもしれませんが、できる範囲で健康的な生活をさせたり食事に気を付けてあげたいなと思います。
  • 40代 女性 チョコママ

    毎年誕生日に『犬ドッグ』という全身の健康診断を受けさせています。血液検査も受けていますが、今のところ肥満細胞腫などの疑いもなく聞いたことがありませんでした。
    それにしても本当に腫瘍はどこにでもできるものなんですね…。それに転移していくというのが本当にこわい。どうか腫瘍ができないでほしいし、できうる限り早期発見早期治療をしてあげたいです。
  • 40代 男性 そらまる

    うちのシーズーもまさに今肥満細胞腫と闘っています。再発です。最初は余命2年と宣告されましたが2018年7月で2年目を迎えるはずでした。日頃ブラッシングや身体各所を触り触診してましたが、半年前に腹部にブヨブヨと柔らかいものというかぜい肉のような触り心地で獣医師さんに聞いてみたら太り気味だといわれ、それを鵜呑みにしてしまいました。なんせ素人ですから。そして3日前、その柔らかいお肉の奥にレモン型でそれより少し大き目のシコリが急にでき、皮膚には内出血していました。翌日に検査をし、結果は再発でした。検査翌日はさらに大きくなり腹部半分全体に内出血をしていて痛みを伴っているようです。とりあえず痛みを取ってあげたくてもGW中の夜中ですから診てくれるところもありません。今うちの子はとても痛そうで辛いようで見ていて私もとても辛いです。とにかく朝になるのを待って診てくれる病院を探しますが、半年前に気付いていたのに獣医師さんにもっとしっかり診てもらっていたらと思うととても辛いし悔しいです。気付けたはずなのに。ネットで調べてみると肥満細胞腫は小さなシコリからわかりやすいもの、ただの肥満のようなぜい肉的なブヨブヨとした触り心地のもの(うちはこれです)、様々で非常にわかりにくいそうですが気付けたはずでした。恐らくリンパや脾臓などに転移しているでしょう。かかりつけの病院はお休みで他で診てもらった獣医師さんからは言われませんでしたが、心の準備が必要なのだと思います。もちろん発見が遅れたのは獣医師さんのせいにするつもりは全くありません。獣医師さんも人間ですし約2年前に助けていただいたのですから。自分の知識不足と疑問に思った事をもっとしっかりと解消できなかった自分がこのような状態にしてしまいました。だから皆さんも他人事だとは思わず日頃から大切なワンちゃんとのコミュニケーションをとってあげてください。ワンちゃんをいっぱい触ってあげて少しでも異常や疑いを持ったらしっかりとその疑いを解消してください。何度も何度もしつこいくらい獣医師さんに問いかけて下さい。私の二の舞にならないように。
  • 50代以上 女性 たかちゃん

    うちのラブラドールのこてつ、去年末くらいに足指近くに腫瘍ができ、獣医さんと様子観察してましたが、段々と大きくなってきて、4月に念のため指ごと切除しました!病理診断の結果「肥満細胞腫」!綺麗に取りきれている!との事でした。
    傷が落ち着き、抗がん剤治療を考えていた矢先に、右足全体にポコポコと転移が見つかり…
    ステロイド治療中の今も、右の足指全体に再発!
    赤く腫れ上がり、歩くのも痛そうで、中々自分で立ったり、寝たりが困難になってきています!
    今月の27日で14才になり、おじいちゃんラブなんだけど…痛いのが可哀想で…?
    先月の始めにこてつと同じ年のチワワを心臓病で亡くしたばかり…悲しみ、寂しさが癒える間もなく、こてつの介護になってしまいました?

    こんなに早く進行するなんて…肥満細胞腫の事も知らなかったし…もっと早く手術した方が良かったのか?抗がん剤治療を早く始めた方が良かったのか?など自問するばかり…痛そうなこてつを見てるのも辛く涙がでます!

    多頭飼いで、みんな大切な家族で、健康チェックはマメにしていて、爪切りも獣医さんとこで全身観察と共にしてもらっていたのに…という思いもあります!

    でも、色々考えても仕方ないので…少しでも痛みを和らげ、楽に過ごせるように、看てあげたいと思っています!

    どのワンコもどんな病気であっても、しんどくても言葉を話せないので、少しの異変にも気付けて、早期発見、治療してあげたい!

    一才半のチワワは、口蓋裂で産まれてきました!
    赤ちゃんの時は、お乳が吸えずに…カテーテルを口から入れて注射器でミルクをあげていました!
    今は、とても元気で、とても癒してくれます?

    共働きで家を空ける事も多いけど、亡くなったチワワのももちゃん、急に亡くなったので、色々後悔あります!

    後悔ないように、みんなと楽しく過ごしたいと思います!

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