犬にも感染するエキノコックスとは?
エキノコックスと(別名:多包条虫)は、体長約5mmの寄生虫で、キツネ、ネズミ、そして人と犬にも感染する恐ろしい人獣共通感染症(ズーノーシス/zoonosis)です。エキノコックスは、「虫卵→幼虫、幼虫→成虫」へと成長する過程で寄生する対象動物が異なります。つまり、食べる側と食べられる側の自然界の動物の関係を上手く利用し増殖していく寄生虫です。
エキノコックスの原因と犬に感染する経路
犬にエキノコックスが寄生してしまう原因は、虫卵や幼虫が体内にいる感染動物を食べることで感染します。感染経路は、まず自然環境にある、エキノコックスの虫卵をネズミが摂取します。ネズミの体内では虫卵→幼虫へと成長します。そのネズミをキツネや犬が捕食します。
キツネや犬の体内では幼虫→成虫へと成長します。成虫へと成長したエキノコックスは、1日最大500万個の虫卵をキツネや犬の糞便と一緒に排出します。排出された虫卵は、自然環境に広がりまたそれをネズミが摂取し…というサイクルを繰り返してエキノコックスは増殖していきます。
人の場合の感染経路は、自然環境に広がる虫卵を口から摂取することにより感染します。自然環境に広がる虫卵は主に、小川や淡水、野山の山菜や果物に付着しています。
犬がエキノコックスに感染したときの主な症状
エキノコックスに感染すると人と犬では症状が異なります。
「犬」がエキノコックスに感染した場合に現れる症状
犬がエキノコックスに感染しても基本的に無症状です。大量寄生した場合は、軽い下痢をしたり粘液の便が出ることもありますが通常は無症状です。無症状ですが、糞便の中には大量の虫卵が排出されています。感染しているかどうかは獣医師を介して糞便を検査機関に送れば調べてもらえます。
「人」がエキノコックスに感染した場合に現れる症状
犬とは違い、人がエキノコックスに感染した場合は適切に治療しなければ死亡します。人の体内では、感染してから時間をかけて体を蝕んでいきます。その期間は大人で10年以上、子供で5年と言われています。
エキノコックスは、最初は肝臓へと住み着き少しずつダメージを与え、小さな風船のようなのう胞を肝臓にたくさん作ります。時にはのう胞が破裂して幼虫が血流にのり、肺や脳へと転移することもあります。肝臓が虫の巣になるため正常に機能しなくなり、肝硬変や肝機能不全により90%の確率で死亡します。
エキノコックスが犬に感染した場合の治療法
「犬」がエキノコックスに感染した場合の治療法
犬の体内にいるエキノコックスを駆除すれば治療は終わりです。市販薬ではなく、動物病院にある専用の駆虫薬を犬に飲ませればほぼ100%駆除することが出来ます。
「人」がエキノコックスに感染した場合の治療法
残念ながら、人がエキノコックスに感染し末期になってしまったら有効な治療薬はなく、感染した肝臓をエキノコックスごと手術で摘出するしかありません。また、エキノコックスだと確定診断するにはとても困難で、自覚症状がないまま肝臓が虫の巣になっていることが多く、症状が出た頃には肝臓ガンと勘違いされることが多いようです。
手術でお腹を開けてみたらエキノコックスだったと分かることもあるようです。早期に発見することが出来れば完全に治癒することが出来るので、早期診断が非常に重要です。
犬にエキノコックスを感染させないための予防と対策
犬の感染予防と対策
- ネズミを捕食させない
- 犬を放し飼いにしない(ネズミの捕食を防ぐため)
- 犬が外で拾い食いやネズミを捕食した場合は駆虫薬を与える
- キツネがいる地域に住んでいる場合は定期的に犬に駆虫薬を与える
犬の場合の感染予防は、とにかくネズミを捕食させないことです。犬がエキノコックスに感染してしまった場合、糞便に虫卵を排出するまでには約1ヶ月かかります。もし、エキノコックスの感染が疑われるようなときは虫卵が排出される前に駆虫薬を与えることで未然に防ぐことが出来ます。
愛犬がエキノコックスに感染してしまうと、知らないうちに虫卵を排出しており側にいる飼い主さんに危険が及びます。人の感染を防ぐ為にも放し飼いは絶対にしないよう気をつけましょう。
人の感染予防と対策
人の場合は自然環境にある虫卵を口から摂取することで感染します。
- 小川や淡水などの生水は飲まない
- 山菜や果物などは、よく洗うか十分に加熱してから食べる
- 手をよく洗ってから食事をする
- 犬を外で放し飼いにしない
- 犬の糞便を片付けた後は手洗いをよくする
- 野良犬や野良猫を触らない、もし触った場合はきちんと手を洗う
まとめ
これまでエキノコックスは、キツネが多数いる北海道だけで感染が起きていましたが、ここ数年で本州でも感染が広がりつつあります。もし、愛犬がエキノコックスに感染してしまうと飼い主さんやその家族だけでなく周辺の住民の方も危険にさらされてしまいます。
エキノコックスに対しての正しい知識を持ち予防と対策をきちんとすれば感染は防げる寄生虫ということをきちんと覚えておきましょう。
ユーザーのコメント
女性 patata
40代 女性 ととりこさまんさ
動物(愛犬)からのエキノコックス感染を防ぐには
1.愛犬をエキノコックスに感染させない
2.愛犬からエキノコックスをうつされない
の2つが重要。1については、キツネやネズミと愛犬が接触・捕食する機会を取り除くことと疑いがあれば検査をすること。(犬の早期発見の場合は治療は短期間ですみ予後も良好)2については、愛犬の排泄物(糞便)を適切に処置すること。
飼い主として出来ることはシンプルですが、この2点を遵守するだけでも、防げる確率は大幅に上昇するのは様々なデータから明らかになっているのですから、愛犬のためにも、自身や周囲の人のためにも、実践したいものですね。
40代 女性 Romane
ネズミと直接、接することは無いだろうな~とは思いますが、色んなところで感染媒体はあるので自分の犬(家族)を守るという意味でしっかり覚えておきたいです。
また、人間にも感染する恐れがあるということで余計怖いですね。
確かに、お散歩の時に病名もはっきりしない感染症にかかることがあると聞いたことがあります。
犬は散歩中に自分の縄張りを確認する意味も含めて、いろんな所の匂いを嗅いでいますがそういうところで何かしら良からぬウイルスに感染する危険性もあります。
また、感染症にかかっているワンコの糞尿から感染する事も考えられます。
かといって、匂いを嗅がせる行為を辞めさせるのは犬にとってはもの凄いストレスになります。ホント、難しいですね。
いずれにしても屋外では何か変なものを口に入れていないか?など注意を払うようにしないといけないですね。
30代 女性 ナナコ
女性 ゴン吉
犬の症状は下痢などで軽く済むようですが、そこから人に感染した場合、人間は死に至ることもあるんですね。犬の排泄したものにも細心の注意が必要だと感じました。
北海道では人間のエキノコックス検査を無料で受けることができるそうです。本州でも増えてくるようなことがあれば、必要になってくるかもしれませんね。
女性 モキ
女性 うずら
30代 女性 匿名
北海道では有名な人獣共通の感染症の1つです。
なので家は毎月動物病院から処方して頂いた予防薬を服用させています。
昔は人里に下りてくる野生動物は少なかったのですが、今は山等にエサが少なくなったり、
また人がエサをやるので人里にしょっちゅう下りてきます。
北海道の高速道路上や車通りの多い一般道でも野生動物は出てきます。
そして衝突事故がおきてしまったり、JR北でも衝突事故がおきています。
なので野生動物を見つけてもエサを上げないでくださいね。
昔知床の方で小学校にエゾヒグマが出て来てしまってハンターに殺された事もあります。
結局は人がエサをあげる事によって地元小学校まで出て来てしまったのが原因です。
話が反れてしまって申し訳ないのですが・・・。
あと北海道にペット連れでご旅行に行かれる際は、出発前にかかりつけの動物病院に
行かれて、相談された方が良いと思います。
エキノコックスは記事通り我々飼い主にも感染します。
飼い主が感染してしまうとペットはどうなりますか?
という事を考えて頂けると幸いです。