犬のエキノコックスの正しい知識 原因と症状・治療や予防法について

犬のエキノコックスの正しい知識 原因と症状・治療や予防法について【獣医師監修】

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エキノコックスという寄生虫のことをどれほど知っていますか?北海道の方なら耳にしたことがあるかもしれません。エキノコックスは、北海道だけの寄生虫でしたが、ここ数年で本州にも広がっている恐ろしい寄生虫です。キツネが感染する病気だと思われがちですが、犬も感染源になる寄生虫なのです。ここでは、エキノコックスの正しい知識、予防や対策など詳しく説明したいと思います。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。仙台市の動物病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬にも感染するエキノコックスとは?

聴診器とzoonosisの文字列

エキノコックスと(別名:多包条虫)は、体長約5mmの寄生虫で、キツネ、ネズミ、そして人と犬にも感染する恐ろしい人獣共通感染症(ズーノーシス/zoonosis)です。エキノコックスは、「虫卵→幼虫、幼虫→成虫」へと成長する過程で寄生する対象動物が異なります。つまり、食べる側と食べられる側の自然界の動物の関係を上手く利用し増殖していく寄生虫です。

エキノコックスの原因と犬に感染する経路

エキノコックスと関連性が深いネズミ

犬にエキノコックスが寄生してしまう原因は、虫卵や幼虫が体内にいる感染動物を食べることで感染します。感染経路は、まず自然環境にある、エキノコックスの虫卵をネズミが摂取します。ネズミの体内では虫卵→幼虫へと成長します。そのネズミをキツネや犬が捕食します。

キツネや犬の体内では幼虫→成虫へと成長します。成虫へと成長したエキノコックスは、1日最大500万個の虫卵をキツネや犬の糞便と一緒に排出します。排出された虫卵は、自然環境に広がりまたそれをネズミが摂取し…というサイクルを繰り返してエキノコックスは増殖していきます。

人の場合の感染経路は、自然環境に広がる虫卵を口から摂取することにより感染します。自然環境に広がる虫卵は主に、小川や淡水、野山の山菜や果物に付着しています。

犬がエキノコックスに感染したときの主な症状

横たわる犬

エキノコックスに感染すると人と犬では症状が異なります。

「犬」がエキノコックスに感染した場合に現れる症状

犬がエキノコックスに感染しても基本的に無症状です。大量寄生した場合は、軽い下痢をしたり粘液の便が出ることもありますが通常は無症状です。無症状ですが、糞便の中には大量の虫卵が排出されています。感染しているかどうかは獣医師を介して糞便を検査機関に送れば調べてもらえます。

「人」がエキノコックスに感染した場合に現れる症状

犬とは違い、人がエキノコックスに感染した場合は適切に治療しなければ死亡します。人の体内では、感染してから時間をかけて体を蝕んでいきます。その期間は大人で10年以上、子供で5年と言われています。

エキノコックスは、最初は肝臓へと住み着き少しずつダメージを与え、小さな風船のようなのう胞を肝臓にたくさん作ります。時にはのう胞が破裂して幼虫が血流にのり、肺や脳へと転移することもあります。肝臓が虫の巣になるため正常に機能しなくなり、肝硬変や肝機能不全により90%の確率で死亡します。

エキノコックスが犬に感染した場合の治療法

診察中の犬

「犬」がエキノコックスに感染した場合の治療法

犬の体内にいるエキノコックスを駆除すれば治療は終わりです。市販薬ではなく、動物病院にある専用の駆虫薬を犬に飲ませればほぼ100%駆除することが出来ます。

「人」がエキノコックスに感染した場合の治療法

残念ながら、人がエキノコックスに感染し末期になってしまったら有効な治療薬はなく、感染した肝臓をエキノコックスごと手術で摘出するしかありません。また、エキノコックスだと確定診断するにはとても困難で、自覚症状がないまま肝臓が虫の巣になっていることが多く、症状が出た頃には肝臓ガンと勘違いされることが多いようです。

手術でお腹を開けてみたらエキノコックスだったと分かることもあるようです。早期に発見することが出来れば完全に治癒することが出来るので、早期診断が非常に重要です。

犬にエキノコックスを感染させないための予防と対策

犬とキツネ

犬の感染予防と対策

  • ネズミを捕食させない
  • 犬を放し飼いにしない(ネズミの捕食を防ぐため)
  • 犬が外で拾い食いやネズミを捕食した場合は駆虫薬を与える
  • キツネがいる地域に住んでいる場合は定期的に犬に駆虫薬を与える

犬の場合の感染予防は、とにかくネズミを捕食させないことです。犬がエキノコックスに感染してしまった場合、糞便に虫卵を排出するまでには約1ヶ月かかります。もし、エキノコックスの感染が疑われるようなときは虫卵が排出される前に駆虫薬を与えることで未然に防ぐことが出来ます。

愛犬がエキノコックスに感染してしまうと、知らないうちに虫卵を排出しており側にいる飼い主さんに危険が及びます。人の感染を防ぐ為にも放し飼いは絶対にしないよう気をつけましょう。

人の感染予防と対策

人の場合は自然環境にある虫卵を口から摂取することで感染します。

  • 小川や淡水などの生水は飲まない
  • 山菜や果物などは、よく洗うか十分に加熱してから食べる
  • 手をよく洗ってから食事をする
  • 犬を外で放し飼いにしない
  • 犬の糞便を片付けた後は手洗いをよくする
  • 野良犬や野良猫を触らない、もし触った場合はきちんと手を洗う

まとめ

散歩中の犬と飼い主

これまでエキノコックスは、キツネが多数いる北海道だけで感染が起きていましたが、ここ数年で本州でも感染が広がりつつあります。もし、愛犬がエキノコックスに感染してしまうと飼い主さんやその家族だけでなく周辺の住民の方も危険にさらされてしまいます。

エキノコックスに対しての正しい知識を持ち予防と対策をきちんとすれば感染は防げる寄生虫ということをきちんと覚えておきましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 patata

    この記事を読んでエキノコックスは本当に怖い感染症だと感じました。犬や狐に感染したとしても無症状なのに人間に感染してしまうと死に至る可能性もあります。ねずみ等の小動物を狩り食している狐の糞等から感染する事が多く、エキノコックスの感染者は北海道で多いと聞きましたが、近年、本州と北海道がトンネルで繋がりエキノコックスに感染した狐と犬が北海道から本州に移動し、本州でも年々感染者が増加してきているそうです。エキノコックスによる被害者を多く出してしまった北海道は、エキノコックスの危険性を道民に伝え、エキノコックスに感染しないの対策、エキノコックスに感染してしまった場合の症状と治療等を色々な形で道民に伝えて来た為、年々エキノコックスによる死者が減少してきている様です。しかし、本州に暮らしている私達は、エキノコックスについてまだ無知に近い状態で、どのようにして感染予防するのか、感染してしまった場合の症状、感染してしまった場合の治療法なども分かりません。しかもエキノコックスが人体に感染してしまってから、症状が出始めるまで10年くらいかかると言うのですから、何が原因で感染してしまったのかも特定しにくいと思います。こういった、エキノコックスの注意を訴えた記事は、犬と暮らしている私達だけでなく、多くの人達に知って貰いたいと思いました。
  • 投稿者

    40代 女性 ととりこさまんさ

    アラフォーぐらいの世代で、手塚治虫氏の「ブラックジャック」の愛読者なら、エキノコックスは聞いたことがある寄生虫かと思う。主人公のブラックジャックは医師でもあり自身で診察・治療を行なえたが、あくまで漫画の話。実際には、記事にもあるように、エキノコックスの感染症と診断するのは困難であり、症状が出てからの治療成績もよくないとのこと。地域環境的に発生しやすい北海道では、啓蒙に尽力されており、犬の飼い主さんだけでなく一般の方にまで広く知られているようだが、本州ではまだまだ認識されている寄生虫とはいえないでしょう。
    動物(愛犬)からのエキノコックス感染を防ぐには

    1.愛犬をエキノコックスに感染させない
    2.愛犬からエキノコックスをうつされない

    の2つが重要。1については、キツネやネズミと愛犬が接触・捕食する機会を取り除くことと疑いがあれば検査をすること。(犬の早期発見の場合は治療は短期間ですみ予後も良好)2については、愛犬の排泄物(糞便)を適切に処置すること。

    飼い主として出来ることはシンプルですが、この2点を遵守するだけでも、防げる確率は大幅に上昇するのは様々なデータから明らかになっているのですから、愛犬のためにも、自身や周囲の人のためにも、実践したいものですね。
  • 投稿者

    40代 女性 Romane

    「エキノコックス」という名前は初めて聞きましたが、そういう感染症についてはやっぱりちゃんと知っておくべきですね。
    ネズミと直接、接することは無いだろうな~とは思いますが、色んなところで感染媒体はあるので自分の犬(家族)を守るという意味でしっかり覚えておきたいです。
    また、人間にも感染する恐れがあるということで余計怖いですね。
    確かに、お散歩の時に病名もはっきりしない感染症にかかることがあると聞いたことがあります。
    犬は散歩中に自分の縄張りを確認する意味も含めて、いろんな所の匂いを嗅いでいますがそういうところで何かしら良からぬウイルスに感染する危険性もあります。
    また、感染症にかかっているワンコの糞尿から感染する事も考えられます。
    かといって、匂いを嗅がせる行為を辞めさせるのは犬にとってはもの凄いストレスになります。ホント、難しいですね。
    いずれにしても屋外では何か変なものを口に入れていないか?など注意を払うようにしないといけないですね。
  • 投稿者

    30代 女性 ナナコ

    エキノコックス、こちらの記事で初めて知りましたがとてもこわいですね。サナダムシの一種のようですが、人への影響のほうが甚大のようで飼い主としてしっかりと管理しなければと感じました。愛犬から感染することはもちろんですが、他人に感染させる可能性があることがとてもこわいです。目に見えないものは本当にこわいです。愛犬がねずみを捕食しなくとも、人間の感染の可能性のある場所のほうが身近に感じました。小川や淡水、野山の山菜や果物、自然の中で遊ぼうと思えばどこでも可能性がある気がします。ただ、こちらの記事で知識をえられたことはとても大きなメリットでした。身近な可能性として愛犬も人間も予防ができます。調べてみた所、私の居住する県でも野犬から検出されていることがわかりました。本州を通り越して九州でも報告されているとのことです。愛犬も家族もまもるため、これからは予防策を徹底したいと思います。
  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    エキノコックスと聞くと、まず浮かぶのが北海道のキツネです。ですが、ネズミ、猫、犬、人にまで感染するとは思っていませんでした。ネズミが感染源なら猫が一番危険な気がします。野ネズミの捕食が一番の感染源ということは、それほど心配しなくても大丈夫ですね。散歩コースに野ネズミはいませんし、あまりそういったものを追いかけることがない犬種なのでまだ安心できる方です。ですが、感染源が今後どう変化していくかは予想しきれるものではないので、散歩中にやたら匂いを嗅いでいる時などは注意しておこうと思います。

    犬の症状は下痢などで軽く済むようですが、そこから人に感染した場合、人間は死に至ることもあるんですね。犬の排泄したものにも細心の注意が必要だと感じました。

    北海道では人間のエキノコックス検査を無料で受けることができるそうです。本州でも増えてくるようなことがあれば、必要になってくるかもしれませんね。
  • 投稿者

    女性 モキ

    エキノコックスについて、初めて聞きました。一般的な意見ですが、犬が感染してしまったらとても怖いですね・・・。「犬にエキノコックスが寄生してしまう原因は、虫卵や幼虫が体内にいる感染動物を食べること」とありますが、これは大型犬などが危ないのではないでしょうか?うちの犬はラブラドールなのですが、たまに外で動物の死骸を運んでくる場合があり、ビックリしてしまうことがあります。今まで食べてしまったことは無いと思うのですが、隠れて何をしているか分かりません・・・。ドッグパークへ行く際には、自分の愛犬が何をしているかをよく注意してチェックしておかないといけませんね。体内で幼虫が成長してしまうなんて想像しただけで気持ち悪いです。
  • 投稿者

    女性 うずら

    以前北海道でキャンプをしていたら、キツネが現れてなにか食べ物を与えようとしていたら、北海道に住む友人に注意されたことがあります。関東で育った私は、日常生活にキツネの話題がなかったので知りませんでしたが、キツネから人間に感染する病気があるということで驚きました。意外と知らない人、多いのではないでしょうか。
  • 投稿者

    30代 女性 匿名

    北海道在住でポメ(♂)を飼っている者です。
    北海道では有名な人獣共通の感染症の1つです。
    なので家は毎月動物病院から処方して頂いた予防薬を服用させています。

    昔は人里に下りてくる野生動物は少なかったのですが、今は山等にエサが少なくなったり、
    また人がエサをやるので人里にしょっちゅう下りてきます。

    北海道の高速道路上や車通りの多い一般道でも野生動物は出てきます。
    そして衝突事故がおきてしまったり、JR北でも衝突事故がおきています。

    なので野生動物を見つけてもエサを上げないでくださいね。
    昔知床の方で小学校にエゾヒグマが出て来てしまってハンターに殺された事もあります。
    結局は人がエサをあげる事によって地元小学校まで出て来てしまったのが原因です。
    話が反れてしまって申し訳ないのですが・・・。

    あと北海道にペット連れでご旅行に行かれる際は、出発前にかかりつけの動物病院に
    行かれて、相談された方が良いと思います。

    エキノコックスは記事通り我々飼い主にも感染します。
    飼い主が感染してしまうとペットはどうなりますか?
    という事を考えて頂けると幸いです。
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