ドッグフードの原材料「添加物」を紐解く
ドッグフードの原材料について、今まで肉類と穀類の表記についてお話してきました。
ドッグフードの原材料に関する情報▼
お肉の見方⇒ドッグフードの原材料ラベルの読み方〜お肉編穀物の見方⇒ドッグフードの原材料ラベルの読み方〜穀物編
添加物の見方⇒ドッグフードの原材料ラベルの読み方〜添加物編
肉類や穀類の表記でわかりにくいものがあると言っても、何となく想像はつくものですが、原材料一覧の真ん中あたりからだんだんと化学物質のような名前が増えてきて「???」となりがちです。
原材料の表記は使われている量が多いものから順番に記載されていると以前に書きましたが、最後の方に書かれている物質(つまり量的には一番少ないもの)にも大きな意味があります。
そんな、使用されている量は少なくても存在感の大きい、ドッグフードに使われている添加物についてお話ししたいと思います。
そもそも添加物ってなに?
食品添加物というと、あんまり良いイメージを持たない方もいるかもしれません。
けれど何も化学物質だけが添加物ではありません。
栄養バランスを整えるためのビタミンやミネラルも添加物に含まれます。
また、食いつきを良くするための風味や香り付けのための香料や肉エキスなども添加物です。
そして添加物と聞いて最初に頭に浮かぶ酸化防止剤や安定剤など、これらもハーブなど天然由来のものから化学物質までたくさんの種類があります。
栄養調整のための添加物
ドッグフードは総合栄養食として「これだけ食べていれば必要な栄養素はバランス良く摂取できる」というのが一番の特長である食べ物です。
製造されるフードは全て一定の品質で同じ栄養バランスであることが大前提ですから、ビタミンやミネラルなどの栄養素を添加することは不可欠です。
ビタミン類
原材料一覧の真ん中〜後半くらいにかけて表記されています。多くのフードでは「ビタミン類」と書いてその後にカッコ書きで各種ビタミンの名前が並んでいるので、わかりやすいかと思います。
ビタミンAなどのように頭にビタミンと付くものの他に、ナイアシン、リボフラビン、葉酸、ビオチン、コリンなどもビタミン類として含まれる添加物です。
ミネラル類
ビタミン類の後に表記されているのがミネラル類です。これも多くの場合「ミネラル類」と書いてその後にカッコ書きで各種ミネラルが表記されています。
カルシウム、鉄、亜鉛、カリウム、セレン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リンなどがミネラル類として含まれる添加物です。
フードによっては原材料にミネラル類を多く含む卵殻や骨粉、海藻類が使われているために、他のフードに比べて添加物としてのミネラル類の表記が少ない場合もあります。
アミノ酸類
アミノ酸とは簡単に言えばタンパク質を作っている最小の成分です。体を作る素になる栄養素で多くの種類があります。犬の場合、食物として摂取しなくてはいけない必須アミノ酸は10種類。
肉や魚など動物性のタンパク質がメインになっていれば、それで自然とアミノ酸のバランスも取れているのですが、穀物がメインのタンパク源になっているフードでは足りない必須アミノ酸を補うために添加物としてプラスされます。
10種の必須アミノ酸の中で植物性タンパク質からは摂取できないリジン、メチオニンがアミノ酸類として添加されることが多いです。
品質保持のための添加物
ドライのドッグフードは開封した後もそのまま使用するもので、参加しやすい脂肪分も含んでいるため品質を保持する酸化防止剤などはどうしても必要です。酸化防止剤も天然由来のものと合成されたものがあり、それぞれに注意が必要です。酸化防止剤などは原材料一覧の一番最後に書かれていることが一般的です。
天然型酸化防止剤
アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール、ミックストコフェロール(ビタミンE)これらは酸化防止剤として表記されている場合と、ビタミン類として表記されている場合がありますが、結果的には同じです。
他に天然由来の酸化防止剤で代表的なものはローズマリー抽出物です。(ローズマリーエキス、ハーブエキスと表記されている場合も有り)
天然型のものは合成型に比べると、肝臓での代謝の負担や発がん性の心配も少ないものですが、酸化を防ぐという点では効果は弱めです。
「合成の酸化防止剤や保存料を使っていない製品を」と考える方は多いと思いますが、その場合は開封後1ヶ月程度で食べきれる量を目安に大きすぎるパッケージのものを買わない、しっかり封をして保存するなどの注意が必要です。
合成酸化防止剤
自然界には存在せず、工業的に合成された化学物質の酸化防止剤です。
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
酸化作用が強く効果的です。動物実験で肝臓や甲状腺への影響が見られるとされており、使用量の上限が定められています。
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
BHT同様に強力で効果的な酸化防止剤です。同じく動物実験で健康への影響が懸念されており、使用量の上限が定められています。
エトキシキン
酸化防止の作用は強力ですが、毒性も高く、高用量を一度に摂取すると肝臓や腎臓への障害を引き起こします。低用量であれば影響はないとされており、使用量の上限が厳しく定められています。また人間用の食品の添加物としては認められていません。
先にも書いたようにドライフードの酸化を防止するための策は必要不可欠なものです。上にあげた3つの合成酸化防止剤はいわゆる「悪名高い」物質ですが、酸化した脂肪分は規定された分量の合成酸化防止剤よりももっと危険なものです。......ということを前提にした上で、筆者個人はこれらの合成酸化防止剤が含まれるフードは買わない、与えないという選択をしています。
プロピレングリコール
カリカリしたドライフードには使われていませんが、セミモイストタイプと呼ばれるしっとりした食感のフードに保湿剤および防腐剤として使われています。
毒性が高いため使用量の上限が厳しく定められています。高用量の摂取では肝臓や腎臓への障害、赤血球の変化などの可能性があります。ペットフード安全法で猫向けの製品には使用が禁じられています。
フードだけでなく、ジャーキーなど犬用オヤツに使われることが多いので、複数の製品から摂取してしまうことも多いため注意が必要です。
筆者個人としては、プロピレングリコールも合成酸化防止剤同様にラベルで名前を見かけたら「買わない、与えない」と決めています。
その他の添加物
風味付け、香り付けのための添加物
チキンエキス、ビーフエキス、チキンフレーバー、チーズフレーバーなどフードの表面に吹き付けることで味と香りを強くして、犬が喜んで食いつくためのものです。タンパク源が穀物由来のフードでよく使われる手法です。
人工着色料
赤色102号、青色2号、黄5などの書き方で表記されているのが人工着色料です。(色名の後の数字は他にもいろいろ有ります)犬にとっては全く必要のないもので何の意味もありません。余計なもので体に負担をかけることを思うと、これらのものが含まれるフードは極力避けることをお勧めします。
発色剤
亜硝酸ナトリウム、亜硝酸塩などの名前で表記されており、缶詰フードでよく使われます。肉の変色を防ぎ、おいしそうな赤っぽい色に見せる効果があります。必要なものではない上に他の保存料や一定のアミノ酸と反応すると発がん性物質に変わる危険があるので避けたい添加物のひとつです。
まとめ
代表的な食品添加物をいくつか挙げてきましたが、これらは膨大な種類の添加物のごく一部です。
知っておいていただきたいことは
- 食品添加物はドッグフードに必要不可欠なもの
- 品質保持のための酸化防止剤は天然型と合成の物質がある
- 天然、合成、両者の利点とリスクを知り、注意すべきポイントを知る
- 添加物の中でも、犬のために必要がなく危険性の高いものは避ける
ドッグフードを選ぶときに、表のきれいなパッケージや魅力的な宣伝文句だけでなく、裏面に細かい文字で書かれた大切な情報をしっかり読み取りたいものですね。
ドッグフードの原材料に関する情報▼
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添加物の見方⇒ドッグフードの原材料ラベルの読み方〜添加物編
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40代 女性 RENA