犬の免疫介在性溶血性貧血について

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犬の免疫介在性溶血性貧血について

💊犬の免疫介在性溶血性貧血とは、人間で言うと貧血にあたる病気です。しかし、そのメカニズムは理解するのが難しく、また原因も多岐にわたるため、免疫介在性溶血性貧血は特定が難しい病気でもあり、犬の場合致命率が高い病気でもあります。そのため、飼い主さんの早期発見がとても重要な病気なのです。ここでは、免疫介在性溶血性貧血の治療法で用いる薬の内容まで詳しく書かせて頂きました。

監修:獣医師 平松育子

(ふくふく動物病院)

犬の免疫介在性溶血性貧血とは?

看護師と犬

自己免疫介在性疾患とは?

免疫とは、白血球や抗体などが体に入ってきた異物やウイルス、腫瘍細胞などを自己のものではないと判断し、それらを排除しようと自己の体を防御するしくみのことを言います。
しかし、これらのしくみがなんらかの原因によって狂ってしまい、自己と非自己を判断できず、自己の細胞を免疫反応により破壊してしまい、結果、起こる病気のことを自己免疫介在性疾患と言います。

犬に多い「自己免疫介在性溶血性貧血」

免疫介在性溶血性貧血には、

  • 抗生物質などの薬剤接種
  • ワクチン接種
  • 感染症
  • 腫瘍疾患

等から続いて起こる「外因性」のものと、原因不明の、「自己免疫介在性」とに分類されます。

犬に多いのは原因不明の「自己免疫介在性溶血性貧血」です。

自己の赤血球に対して抗体ができることで血管内や肝臓、脾臓、骨髄などで自己の赤血球が壊されてしまい、貧血になってしまう病気です。

免疫介在性溶血性貧血が起こりやすい犬種は?

犬種としてはコッカースパニエルやプードルに多いと言われています。雌犬の発生率が雄犬の発生率より2〜4倍高いようです。

どのような経過をたどるの?

免疫介在性溶血性貧血は病態が一気に悪化する急性、もしくは病態の進行が比較的穏やかな慢性経過をたどるものに分かれますが、急性経過の中でも短期間に大量の赤血球が破壊され、貧血が重度に陥ると、死亡率も高くなります。

免疫介在性溶血性貧血の症状・対処法・治療法

薬

症状

貧血のために呼吸が早い、食欲がない、元気がない、などの症状が現れ、舌や目の粘膜が白く見えます。
その他発熱、黄疸、血尿、嘔吐や下痢などの消化器症状なども見られます。

免疫介在性溶血性貧血の治療法

輸血による治療

免疫介在性溶血性貧血の治療は、免疫抑制剤による薬物治療と、悪化してしまった全身状態を維持させる支持療法を合わせて行われます。貧血が重度になれば支持療法として輸血も必要になってきます。

現在の日本にはペット用の血液バンクがないため、免疫介在性溶血性貧血になった場合、動物病院で飼われている供血用の犬や、献血ドナー犬、親や兄弟犬などに血を提供してもらうかたちになります。

輸血は必ず輸血される犬の血液型の判定と、ドナー犬の血と適合するかどうか、クロスマッチという試験を経てから行います。血液の不適合による拒絶反応が起こると、輸血で命を落としてしまうことになりかねないので検査は大切です。万が一のために事前に飼い犬の血液型を知っておくことも早急の措置がとれますので重要です。

薬による免疫介在性溶血性貧血の治療

免疫抑制剤の治療薬としては、主に副腎皮質ステロイドのプレドニゾロンを使用しますが、ホルモンバランスを崩したり、糖尿病を引き起こしたりと、副作用が多い薬剤です。その為、その他のアザチオプリン、シクロスポリンといった免疫抑制剤を併用することも多いようです。

しかしこれらの免疫抑制剤は効果が出るまでに時間がかかりますので、より貧血が重度の場合はヒト免疫グロブリン製剤を点滴で用いる場合もあります。

また、自己免疫介在性溶血性貧血は、血栓症といって、血管内に血の塊ができ、血の流れを止めてしまう病気を引き起こすことが多々あります。その為、抗血栓療法として低分子ヘパリンのような薬も同時に使われることが多いです。

飼い主さんができること

犬と人

自己免疫介在性溶血性貧血は、1年後の生存率が約50%と言われている、恐ろしい病気です。
たとえ貧血が改善したとしても、この病気が完治することはまれで、免疫抑制剤は長期的に服用することになります。

薬の副作用が出ず、病態が落ち着けば命の危険性も減ります。しかし、この病気は長期戦の為、飼い主さんのサポートが必須です。貧血が重度ですと食欲もなくなり、呼吸も苦しくなりますから、栄養面や環境面でも工夫が必要です。また、飼い主さんの早期発見が病気が治る重要なポイントです。

少しでも様子がおかしいな、と感じたらすぐ動物病院で診てもらいましょう。

記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

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  • 50代以上 女性 マロン

    現在、免疫介在性溶血性貧血で治療をしている5歳のビションフリーゼです。

    5月の後半、いきなり食欲不振、発熱、大好きなお散歩も行けず、病院に行ったところこの病気が判明しました。

    貧血が酷く、ステロイド、ガンマーガード、免疫抑制剤を使っても改善がなく、東京大学の動物医療センターに転院、50日間の入院、その後週1回の通院をしています。

    ステロイド投与によって血栓ができてしまい、また副作用で肝臓が悪くなり本当に治療は大変でした。
    東大病院は血液内科があり、日本一だと聞いていたのに病状が良くならず途方に暮れた時もありました。
    でも、この子に合う薬が見つかり今は、回復傾向に有ります。
    難しい病気だとはわかっていますが、大切なこの子を何としても元気にしたいその思いで毎日を送っています。
    完治しない病気だということは知っていますが、治ることを信じて出来ることを何でもしてしていきたいと思っています。
  • 30代 女性 38moto

    免疫介在性溶血性貧血は自己免疫の問題によって起こる難病です。栄養失調などによる貧血とは違うため、予防することはとても難しいです。何よりも早期発見、早期治療が必要になります。

    輸血による治療はとても効果がありますが、同じ犬からの輸血は一度しかできません。同じ犬から二回目の輸血を受けると拒否反応が出てしまい死に至ることもあります。
    内服による治療薬としてステロイドを使用することが多いと思います。免疫の働きを抑えることで症状の改善を図るものですが、使用する量が多いので副作用がとても強く出てしまいます。この副作用を抑えるために他の薬が必要になったり、予期しない病気を併発してしまったりすることがあり治療は容易ではありません。
    完治することは難しいですが、それでも症状を抑制していくことはできると思います。生きたいと頑張る愛犬の気持ちを汲んであげてほしいと思います。

    免疫抑制剤を使用している間はワクチンが打てないので、感染症には過剰なくらいの注意が必要です。
  • 女性 ポムポム

    免疫介在性溶血性貧血、こちらの記事で初めてしりました。うちのわんこは今のところ大丈夫かと思いますが、早期発見が大切とのことでこれから気をつけたいと思います。→食欲は旺盛なのですが、目の粘膜は白っぽい気がします。ちょうどワクチンの時期なので、その際に獣医さんに念のため相談をしてみようと思います。
    そして、こちらの記事を見てどきっとしたのですが私は愛犬の血液型を知りません。犬に献血や輸血の感覚がなかったのも事実ですが、何らかの病気にかかったときや手術のときなど、人間と同じに考えればありえることですよね。気づきませんでした。調べてみると、犬には血液型の種類が9種ほどあるようです。人間より大分多い・・。動物病院で5,000~10,000くらいで調べられるそうです。今は健康な愛犬ですが、もしものときを考えて血液型を調べることを検討したいと思います。
  • 30代 女性 バンバンジー

    1週間前に愛犬が嘔吐と血尿をしだし、病院へ行ったところ、免疫介在性溶血性貧血と診断されました。Drのお話しやいろいろなネット情報をみて病気のことは分かりつつありますが、不安がつのるばかりです。
  • 40代 女性 SUSU

    以前、住んでいた地域にある公園でよく会っていたトイプードルの男の子が突然、具合が悪くなり、病院に連れていったところ、免疫介在性溶血性貧血と診断され、翌日に亡くなってしまいました。
    トイプードルの中でも大柄の方で、お散歩は大好き、いつも元気いっぱいで前日まで全く症状はなかったそうで、お散歩仲間だった自分もとてもショックを受けました。
    獣医さんからは、突然、極度の貧血状態に陥ったためで、考えられる原因は見当たらないと言われたそうです。
    理由もなく突然、亡くなるといった病気があるのか、防ぎようもないとしたら、飼い主としてどうしたらいいんだろうと、この病気について少し勉強をしたことがあります。

    記事にもあるように、外因性のものと原因不明の自己免疫介在性のものとがあります。原因不明によるものが多いそうですが、予防出来る手段としては、過度の薬剤接種は行わない、感染症にかかりにくい丈夫な身体をつくる、シニア期に入れば特に、定期的な健康診断を受けさせるといったことはわりと簡単に出来るのかなと思います。

    その他、ワクチンの接種についてですが、毎年のワクチン接種には様々な意見があります。欧米諸国では3年おきであるのに対し、日本の毎年接種は身体に負担がかかりすぎる、又は、欧米諸国と日本のワクチンは製造方法が異なっており、日本のワクチンの抗体期限は1年であるといった意見もあります。
    どちらの意見が正しいのかは、判断が難しいところでもありますが、過度なワクチンの接種はワンコの身体に大きな負担となり、免疫介在性溶血性貧血だけでなく、内臓に深刻なダメージを与えることも考えられます。
    ワクチンは必要ですが、毎年の狂犬病予防接種とワクチン接種の時期は、獣医師界にとっては経済的に潤う時期とも言われています。
    飼い主としては不要な接種は避けたいところですね。

    我が家では、9歳とシニア期に入ったこともあり、ワクチンに対する抗体検査をしてもらってから、必要に応じて接種をしてもらうようお願いしています。抗体検査を受け入れている病院は多くはないのですが、インターネットなどで探すことは可能です。

    なお、貧血予防の食材としての代表的なのはレバーですね。ビタミンB群が豊富で赤血球を作り出す手助けをしてくれます。なお、レバーの中でも豚、鶏、牛の順に鉄分の量が違い、貧血には豚のレバーが最もお薦めです。
    その他、鶏ハツ、豚ハツ、納豆、卵の黄身、青のり、ひじきなどにも鉄分は含まれています。
    栄養面からのアプローチとしては、レバーだけでなく様々な食材を定期的にバランスよく取り入れ、貧血を予防していくしかないのかもしれません。

    原因不明の場合には、なす術もないのが現実かと思いますが、飼い主としては、例え無駄となっても出来る予防策を講じていきたいと思っています。
  • 女性 コロ

    原因が特定されていない貧血なんて恐ろしいですね。犬は人間のように血液を保存していないので、いざという時に輸血もままならないことがあります。
    予防したくても原因が不明では難しいと思いますが、日頃から体調を整えておくことも予防のひとつになるのではないかと思います。
  • 女性 バンビ

    完治しない病気で、長期的な治療を要するのは犬はもちろんですが飼い主さんにとっても戦いですよね。
    知人がこの病気の治療中のわんちゃんを買っています。薬を飲ませる時間だから、病院へ迎えに行く時間だから、と仕事と掛け持ちでとても大変そうです。わんちゃんが大変なのはいうまでもありませんが。
    知人は犬を理由に仕事場では肩身が狭い思いをしているそうですが、理解のある上司に恵まれて残業仕事は持ち帰りで対応させてもらいながら、できるだけ療養中のわんちゃんと多くの時間を過ごせるようにしているそうです。
  • 女性 ゴン吉

    免疫抑制剤のステロイドは副作用が強いものです。水をよく飲むようになるので腎臓に問題がある場合は負担をかけてしまいます。食欲も増加することから肥満、そして糖尿病、糖尿病性白内障など、ここはセットで発症しやすいです。
    体内の水分量等バランスが崩れやすくなってしまうので、心臓病を持つ犬も危険です。
    飼い主さんもステロイドのメリットデメリットを知っておく必要があると思いました。
  • 30代 女性 N

    愛犬のシーズーが現在、貧血で闘病中です。去年の9月頃発症し、ステロイドを投与し、回復傾向でしたが、ステロイドを減らしすぎた為、11月の中旬あたりで一気にヘマトクリットが6パーセント代まで減り、横倒れの状態でいつ死んでもおかしくない所までいきましたが、輸血対応の病院を何とか見つけ持ち直しました。
    現在もプレドニゾロン、アトピカを飲み続け、血液検査を週に1度くらいで受け慎重に薬の調整をしてもらってますが、なんせステロイドは副作用の強い薬なので肝臓肥大でお腹が膨張し、散歩もほとんど歩く事なく食事以外はずっと寝ています。毎月の治療費の事も含めると愛犬も飼い主もとても辛い病気だと思います。
    可愛い愛犬にもう半年ほど副作用の強いステロイドを飲ませているので本当に心が痛みます。
  • 10代 女性 いお

    今飼っているわんちゃんがつい3日前様子がおかしいと思い病院に連れて行き今日血液検査の結果がきて判明しました。
    生存率が一年後50%という事を知り心が張り裂けそうです。苦しいです。
    まだ、わんちゃんは2歳半です。一週間前まであんなに元気だったのにいきなりこういう風になるとは思っていませんでした。
    ステロイドを打ち今は元気に回復していますが、血小板の数値が下がっていく一方です。不安でたまりません。
  • 20代 女性 匿名

    先月愛犬が免疫介在性溶血性貧血で亡くなりました。診断からわずか5日後の事でした。

    散歩のペースが突然遅くなり、尿の色が茶色くなった事で異変を感じ病院へ行きました。免疫の活動を抑える注射の為に5日間毎日病院へ通い、苦手な薬も試行錯誤して飲ませました。
    その時にはもう末期だったのかもしれません。最後の2日間は歩く事も出来ませんでした。

    同じ病気で頑張っている子達を見る度に、どうして愛犬だけがあんなにあっという間にと思ってしまいます。
    もっと早くにSOSを出していたんじゃないか、それに気づいてあげられたらと後悔してもし尽くせません。

    言葉を話せないペットには過保護なくらいで十分だと思います。少しでもおかしい所があればすぐ病院に連れて行ってあげてください。
  • 30代 男性 匿名

    免疫介在性溶血性貧血の治療はステロイドの投薬が中心になります。ステロイドの使用は副作用が心配になりますがきちんと規定の投薬量を守っていれば副作用によって命を落とすことはありません。ステロイドは副作用のデメリットよりも治療効果の方が大きいです。副作用が心配だからといって投薬を急に減らしたり中止すると、病気が悪化するとともに副腎不全により発熱・悪心・嘔吐・脱力などの症状があらわれ、ショックに陥ることもあります(ステロイド離脱症候群)。自己判断で投薬を中止することは絶対にやめてください。

    私はそれを知らずに自己判断でステロイドの投薬量を減らし、その後あっという間に溶血が進行して愛犬の命をなくしてしまいました。一生の後悔です。
  • 30代 男性 ウチのワンコ

    ウチの愛犬は1歳半を過ぎた頃、突然血尿が出て免疫介在性溶血性貧血と診断されました。結果から言いますと、寛解の可能性も0ではありませんが、おそらく完治しまして現在4歳半となり元気に過ごしています。薬(ステロイド)も止めてから約2年になります。
    とは言っても、一時は危篤状態(ヘマトクリット値 6%)となり、ステロイド投与に輸血もしました。何とか一命をとりとめ、その後、錠剤のステロイドで回復→再発→ステロイドで回復を幾度か繰り返しました。
    その間、原因を突き止めるべく様々な検査をしましたが、確信できるような結果が何も出ず、医師の見解も先天性ではとのことでした。それでも諦めきれず、完治を願い原因を探る中、1つ怪しいものが浮かび上がりました。
    寄生虫予防薬(マイフリーガード)です。思えば、再発の数日前には、この薬を付けていたのです。それに気付いた後、寄生虫予防薬を止めてから順調に回復し、ステロイドも止め、現在に至るまで再発は一度もありません。
    もちろん、溶血性貧血の原因が全て寄生虫予防薬が原因とは思っていませんし、薬に対する抵抗力や反応にも個体差があるでしょう。
    ですが、ウチのワンコは99%寄生虫予防薬の副作用によるものだと思います。

    闘病中、この病気について調べても、悲しい情報しか見つかりませんでした。涙もたくさん流しました。だからこそ、同じ病気でつらい思いをされている方に、完治できる可能性があること、そして原因の一つに寄生虫予防薬があることをお伝えし、少しでも力になれたらと思い投稿しました。

    ワンコだって家族です。 そんなワンコがこの病気を乗り越え、共にまた幸せな日々が送れますことを心よりお祈りします。
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