犬の精巣腫瘍について ~症状と原因、治療や予防法~

【獣医師監修】犬の精巣腫瘍について ~症状と原因、治療や予防法~

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犬の精巣腫瘍という病気をご存知ですか?オス犬に起こる可能性のある、精巣の病気です。愛犬がオスであるならばぜひ知っておいてもらいたい病気の一つです。犬の精巣腫瘍について知るきっかけとして、その症状や原因、治療方法、予防法をまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の精巣腫瘍とは

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オス犬に発症する精巣腫瘍。
普段あまり聞き慣れない病気なので、愛犬が診断されてしまったとしたら困惑してしまいますよね。発症する可能性が考えられる病気について、少し知っているだけでいざ発症したときの飼い主自身の心持は変わってきます。
様々な病気のことを知り、事前に予防していきましょう。

精巣腫瘍について

診察中のパグ

その名の通り、オスの精子を作り出す精巣に発生する腫瘍のことです。
精巣の中には、麺が密集しているような精細管という細い管があります。さらにその精細管の中には、精子の元となる精粗細胞、その精粗細胞に栄養を与えるセルトリ細胞、精細管の間で男性ホルモンを分泌するライディッヒ細胞があります。そして、それらの細胞のどれかが腫瘍になった状態を精巣腫瘍といいます。

精巣腫瘍の種類

手術前の犬

セルトリ細胞腫

セルトリ細胞が腫瘍になった状態です。老犬に多く発症しやすく、片方の精巣が巨大化します。

セミノーマ

精粗細胞が腫瘍化した状態で、精上皮腫とも呼ばれています。ほとんどは片側だけに発症し、2cmほどの大きさになります。

間質細胞腫瘍

ライディッヒ細胞が腫瘍になった状態です。老犬に多く発症が見られます。ほとんどは片側のみに症状が見られ、1~2cmほどの大きさになります。

精巣腫瘍の症状

痛みなどの症状がなく、精巣部分を触って片側だけが大きいことで発見されることがほとんどです。脱毛や前立腺の腫れ、乳腺がはるなどのメスのような症状がみられます。

犬の精巣腫瘍の原因

診察中の犬

精巣が本来あるべき場所からずれ、陰嚢内にない状態や加齢が原因と考えられています。
胎児のときに精巣は腎臓のすぐ後ろへ移動し、産まれるまでにさらに体の後方を移動して陰嚢内に入っていきます。しかし、先天的な異常によって精巣の移動がうまく行われず、途中で止まってしまうことで腫瘍化しやすくなると考えられています。

精巣が途中で止まってしまう状態になる発症率は約1.2%で、その内の3/4が片側のみに発症しています。トイプードル、ポメラニアン、ヨークシャーテリアや、トイやミニチュアと付く犬種に多いようです。途中で止まっている状態のままにしておくと、若い間は特に大きな問題はありませんが、高齢になるにしたがって精巣腫瘍になる危険性が10倍高まるため、すぐに病院で治療することが大切です。

犬の精巣腫瘍の治療法

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手術

精巣腫瘍の治療は、腫瘍化した精巣を除去する手術を行います。
陰嚢内にある精巣を除去する場合は、去勢手術と同じ手順で行いますが、途中で止まってしまっている精巣を取り除く手術は、去勢手術よりも困難になります。

特におなかに止まっている状態であると、レントゲンや超音波でも発見しづらいため、おなかを一度開けて精巣を探してから取り除くことになります。

薬物療法

腫瘍が悪性化してしまった場合や、犬が除去手術に耐えることが難しい場合は、抗がん剤などの薬物療法が行われますが、抗がん剤のみを用いることはレアケースです。薬物療法は、除去手術後、悪性と判断された場合には治療としても使用されます。

ホルモン療法

途中で止まってしまっている精巣を正しい位置へ移動させるために、性腺を刺激する人工ホルモンを投与します。
この治療法は4か月以下の子犬にしか行うことができず、4か月を過ぎた子犬に精巣が移動することはほとんどなく、6か月を過ぎると確実に移動することはありません。ただし、若齢犬にホルモン剤を投与すると思わぬ副作用が起こることもありますので通常行いません。

犬の精巣腫瘍を予防するためには

手術中の犬

精巣を摘出する去勢手術をすることが一番です。去勢手術をすることで、精巣腫瘍を防ぐだけでなく、前立腺の病気、肛門周辺の腫瘍を防ぐことができます。

さらに、性的欲求不満からくるストレスや問題行動が予防される、マーキングやマウンティングなどの攻撃性が軽減されるなどのメリットがあります。産まれてから6か月経つ前までには、去勢手術について考えるようにしましょう。

犬の精巣腫瘍に関するまとめ

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精巣腫瘍は痛みを伴う症状がないため、飼い主自身の観察やスキンシップでしか発見できません。下腹部は普段見えづらい部分なので、1週間に1回ぐらいは体の隅々まで確認するようなスキンシップを取ることを習慣づけてみてはいかがでしょうか。

普段あまり聞きなれない病気のひとつである、精巣腫瘍。オスを飼っている方は知っておくべき病気のひとつであるため、頭の片隅で覚えておくようにしましょう。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    30代 女性 匿名

    我が家の初代愛犬も精巣腫瘍で、彼の場合は、おなかの中に残っていたのが、13歳の時にソフトボール位の大きさの腫瘍になりました。
    高齢で、太っていたのもあって、手術はしませんでした。
    良性の腫瘍なので、それで亡くなる事はないとは言うものの、当時はかなり心配しました。
    近所にも、偶然同じ病気の子がいたので、たまに情報交換したりしてました。
    彼が天に召されて8年になりますが、まだまだ忘れられないです。
  • 投稿者

    30代 女性 Joliem

    先代の子はオスで9歳の時にもしかしたら精巣腫瘍の疑いがあるという話を動物病院の先生からされた事があります。その後、精巣腫瘍を発症する事はなく、高齢となり看取る事になりました。

    しかし、今思えばきちんと子供の頃から去勢をしていれば良かったなと思っています。結果的に精巣腫瘍と診断されなかったものの、何かしら身体の不調はあったでしょうし、結局子供を作るという機会もなかったためです。

    子供を作る可能性があれば去勢をしなくても良いと思いますが、子供が生まれるとその後の責任も重大ですから、なかなかそう簡単に子供を作らせる機会は少ないかと思います。

    私の場合は、当時は初めて飼った犬で「ただ切られてかわいそう」という飼い主の個人的な感情や、病気のリスクなどの知識が乏しい中で去勢はしないと決めてしまったので、この記事を読んで次の子の時はその先のリスクまでしっかりと考えていこうと思いました。
  • 投稿者

    30代 女性 そらりん

    我が家の愛犬も、片方だけ精巣が降りてこず、途中で止まってしまいました。
    このまま放っておいたら腫瘍となるため、摘出手術を行いました。
    途中で止まってしまった精巣の位置が奥の方だったり見えにくい場所であれば大手術になり、もう少し金額が高くなるという説明を受けました。
    愛犬は見える場所であったため、通常の去勢手術代である8万円でありました。

    予定では6ヵ月に去勢手術を行う予定でしたが、骨折をしてその治療をしたため、8ヶ月に行いました。

    やはり8ヶ月では遅かったようで、マーキングは散歩30分のうち10回以上はしてます。最後の方は出ていないのに足をあげています。

    去勢したら性的欲求がなくなるという話も聞きますが、時期が遅かったからか、ヒート期間にはおもちゃにマウンティングしています。
  • 投稿者

    女性 メロンパンナ

    うちのワンコを飼った時も去勢手術をすること自体に反対で、無理して身体にメスを入れるのは絶対にしたくない!!と思っていました。
    男の子は精巣腫瘍など色々と今後の病気を考えると絶対に去勢手術が悪いことではないからと周りからも言われたこともあり、5歳で去勢手術を受けました。(マウンティングもひどかったので)
    少し年齢的にも遅かったので可哀想な気もしましたが、今となってはもっと早くに受けさせるべきだったと思っています。
    健康な身体に麻酔をしたり、メスを入れることは愛犬家としては心が痛みますよね。
    きっかけは周りに言われたこともありますが、知人のワンコが精巣腫瘍になったことも理由のひとつにあげられます。
    その子はまだ2歳になったばかりでしたが、おしっこをする時の変な体勢やおしっこの出が悪いのが気になって病院につれて行ったところ発見したようです。
    まだ腫瘍自体がそこまで大きくなっていなかったので小さな傷でキレイに取り除くことが出来たそうですが、もしかしたら先天性のものだったのかもしれませんね。
    男の子の場合、将来的にも前立腺がんなど人間と同じような病気も考えられるので、出来るだけ病気にさせない為にも去勢手術することが悪いことではないと思いました。
  • 投稿者

    20代 女性 ロコン

    こういった、正直よくわからない病気を自分が早い段階で気がついて見つけてあげられるかがすごく心配です。下腹部なんてまじまじ見たりしないけど、うちの子はよく目の前のお腹を出してゴロゴロしているからそういう時に気が付ければいいんだけど…。でも、願わくば病気にかからないで欲しいです。
  • 投稿者

    20代 女性 わんこマニア

    我が家の愛犬も停留睾丸でした。去勢手術をするか考えたときに、やはり停留睾丸が原因で腫瘍になってしまうリスクについて考えました。そして去勢手術を決めました。去勢手術も腫瘍摘出手術も同じ手術ですが、やはり去勢手術は若くて元気なときに麻酔をかけてやるので回復するのもとても早かったです。我が家の愛犬(超小型犬)は手術の次の日にはとても元気でした。ですが、腫瘍摘出手術となると病気になってしまったあとで、体力がなくなっている状態かもしれませんし、高齢犬になっているかもしれません。やはり、同じ手術で同じ麻酔でもリスクは違うなと思いました。そしてなにより、病気にさせて痛い思いをさせてしまうのが一番かわいそうなことだと思います。ですので、私は停留睾丸の子は、去勢手術マストだと思います。
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