犬の包皮炎とは?
犬の包皮炎(ほうひえん)とは、オスの生殖器の病気であり、ペニスの外側の表面と、それを包んでいる包皮の内側で細菌が増殖することによって炎症が起こった状態のことを言います。
犬の局部には様々な細菌が常在しており、膿が出ていることはさほど珍しいことではありませんが、特に病原性のあるものによって引き起こされる炎症を包皮炎と呼びます。
犬の包皮炎はすぐに生命に関わるような病気ではありませんが、一度完治しても再発を繰り返すことも多く、気長に治療を行う必要があります。去勢済みであっても発症することがある病気ですが、やはりペニスからの分泌物が多い、未去勢の犬のほうが発症率は高い傾向にあるようです。また、基本的に包皮炎が他の犬にうつることはありません。
犬の包皮炎の原因
犬の包皮炎の原因は、犬の包皮の常在菌が深く関わっていると考えられています。常在菌とは、本来の健康な状態であれば悪さをしない、害のない菌のことを指しますが、何らかの原因でこれらのバランスが崩れることで、病原性のある細菌が増殖して炎症が起こります。
過剰なマウンティングによってペニスに傷が付いたり、排尿時にペニスの毛先が地面に接触したりすることで、病原性のある細菌に感染する場合も。
犬の場合、陰茎の先が包皮に包まれたままの状態、所謂「包茎」が正常であるため、包皮内が蒸れやすく、汚れも溜まりやすいため細菌感染が起こりやすい環境でもあります。
犬の包皮炎は、どの年齢にも見られる病気ではありますが、特に分泌物が増える発情後の犬や、免疫力が低下しがちな老犬などの場合は注意が必要です。
犬の包皮炎の症状
- 包皮から膿が出る
- ペニスを執拗に気にする
- おしっこを細切れにする
- ペニスが腫れる
犬の包皮炎の代表的な症状として、ペニスの先からクリーム状の膿が出るというものがあります。愛犬を抱っこした時にその症状に気付く飼い主さんも多く、膿の色は黄色や緑、白など、匂いは「酸っぱい」「生臭い」と表現されます。
犬が炎症によってペニスに違和感を覚えると、陰部を執拗に舐めたり、痛みからおしっこの出が悪くなることで細切れに排尿したりすることもあります。舐めたり、噛んだりすることによってペニスのかぶれや腫れ、さらには出血を伴う場合もあり、早期に治療を行うことが重要です。
また、排尿が上手くいかない状態が続くと尿道炎や膀胱炎などを併発することもありますので、おしっこが出ない、血尿が出るなどの場合は早急に動物病院を受診してください。
犬の包皮炎の治療法
患部の洗浄
犬の包皮炎の治療方法は、患部の洗浄、消毒が基本となります。症状が軽度である場合は、動物病院で洗浄や消毒をした後、自然治癒を待って経過観察という場合もありますが、自宅での処置が必要となる場合も少なくありません。
と言っても、その洗浄方法は動物病院から処方される洗浄液をシリンジなどを用いて包皮内へ注入するという比較的簡単な処置です。
包皮炎の洗浄方法
- シリンジなどでペニスの先端から洗浄液を注入する
- ペニスの先端を軽くつまみ、付け根から揉むようにマッサージする
- 手を離し、注入した洗浄液を排泄する
上記の方法での洗浄、消毒自体は犬自身に痛みは殆どないようなので、安心して行ってください。また、犬の包皮炎の洗浄液には、ヒビスクラブ消毒液やイソジンきず薬などを希釈したものが多く使用されます。このイソジンは、人間のうがい用ではありませんので、市販のものを使用する際は注意してください。
包皮炎を発症すると一度完治しても再発する可能性も高く、日常的な洗浄が望ましいため使用する消毒液や希釈方法についてかかりつけの獣医師に確認しておくといいですね。ちなみに、イソジン同様に身近な消毒液であるマキロンは、犬への使用は不向きであると言われています。
投薬治療
犬の包皮炎の症状が重度である場合や患部の傷や腫れがひどい場合などには、その細菌に有効な抗生物質やステロイド剤の内服薬、塗り薬が処方されることもあります。
一般的にセフェム系抗生物質のラリキシン錠や、アミノグリコシド系抗生物質のゲンタシン軟膏、ステロイド剤軟膏のマイザークリームなどの薬が処方されることが多いようです。
犬の包皮炎の治療は、まず患部を清潔に保つことが重要となります。包皮炎の治し方は、愛犬の体質や生活環境、日頃のケアなどを見直すことも必要となります。一度包皮炎を発症すると、なかなか治らないことや再発を繰り返すことも少なくありませんので、免疫力の向上や体質改善を試みることも、完治、再発予防の鍵となるかもしれません。
犬の包皮炎の治療費
犬の包皮炎の治療費については、症状が軽度であれば診察料のみの場合もあれば、洗浄や消毒、薬の処方などが必要になった場合で2,000円~8,000円程度の費用が必要になる場合もあるようです。包皮洗浄の費用そのものは、1,500円~4,000円程度であることが多く、洗浄に必要な時間によって料金が異なることもあります。
いずれも、動物病院によって治療費の料金設定が大幅に異なる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。また、加入しているペット保険によっては犬の包皮炎の治療費が補償対象となる場合もありますので、加入先の保険会社やかかりつけの動物病院へ確認してください。
犬の包皮炎の予防法
犬の包皮炎は、さほど珍しい病気ではありません。特に未去勢の犬の場合は、以下のような方法で日頃からしっかりと予防しておくことが大切です。
陰部を清潔に保つ
犬の包皮炎を予防するためには、陰部を清潔に保つことが最も重要となります。陰部の洗い方については、予防段階であればぬるま湯でペニスやその周りを優しく洗ってあげるだけでも十分です。しかし、分泌物が多い場合や過去に包皮炎を発症している場合には、定期的に動物病院で処方される消毒液などを包皮内に注入する方法で洗浄を行いましょう。
また、お散歩や排尿の後に、ぬるま湯で薄めた犬用の薬用シャンプーで陰部を洗う習慣を付けるのもいいかもしれません。ただ、市販の消毒液の中には粘膜に使えないものもあるため、使用するときには事前に獣医師に相談してください。
去勢手術をする
犬の包皮炎の原因が、過剰なマウンティングや多量の分泌物である場合は去勢手術をするのも一つの手です。何度も包皮炎を繰り返していた犬が去勢手術をした後にピタッと再発しなくなったというケースも多く、去勢手術をすることで包皮炎以外にも予防できるオス特有の病気も多数あります。ドッグショーへの出場や繁殖などの予定がない場合は去勢手術も考えてみてください。
ペニスの毛をカットする
犬種によっては、ペニスの先端の毛が長かったり、足が短かったりすることで排泄後に地面や床などの雑菌の多い場所に接触することがあります。これも包皮炎の原因となる可能性があり、汚れや腫れなどの異変にも気付きにくくなるため、ペニスの先端やその周りの毛は短くカットしておくと良いでしょう。
まとめ
犬の包皮炎についてご紹介しました。動物病院の先生曰く、包皮炎はすぐに生命に関わるような危険な病気ではないとのことですが、包皮炎から、尿道炎、さらに膀胱炎、腎盂腎炎…と症状が拡大してしまう可能性も十分にあるため、早期治療が重要となります。
オス犬のペニスから膿が出ること自体はさほど珍しいものではないため、つい安易に捉えてしまいがちですが、その量やニオイ、愛犬の仕草などに異変を感じた場合はすぐに病院を受診するように心がけましょう。日頃から分泌物の多い犬や陰部を舐める回数が多い犬の場合は、ぬるま湯で洗うなどの自宅ケアの回数を増やすことで、包皮炎をしっかりと予防しましょう!ただ、独断で市販の消毒液を使用した洗浄を行うことは危険なため、必ず獣医師に相談してください。
ユーザーのコメント
女性 PON
30代 女性 まろんママ
女性 シュナ
女性 ぽーる
うちの子もちょうど一年ぐらい前にかなり舐めていたのでちょっと心配になり別の目的で動物病院に連れて行ったときに診てもらったのですが、ばい菌が入っただけでしょうということで抗生剤を出されて何とかひどくならずに済みました。もしかしたら包皮炎の前兆だったのかもしれません。
白い膿までは出ていませんでしたが、舐めたことにより赤くなって炎症を起こしていました。
確かに男の子は散歩にいくと、電柱や壁など他のワンコがマーキングしたところにオシッコをかけます。そのときに自分のおちんちんが付いてるのが私もとても気になっていました。
そういうところから何かしらの病気が感染することも考えられます。
かといってさせないわけにもいかず。。。
なので、記事にあるようにお散歩から帰宅後は薄めたシャンプーで洗うようにしています。
ただ、逆に神経質になってしまうとデリケートな部分なので洗うときはほどほどにした方がいいと思います。
40代 女性 ゆか