恐ろしい犬の椎間板ヘルニア!あなたの家族は大丈夫?

【獣医師監修】恐ろしい犬の椎間板ヘルニア!あなたの家族は大丈夫?

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ミニチュアダックス等のダックス系やコーギーに代表される、胴が長く足が短い体型の犬が注意しなければいけない病気のひとつとして特に知られている「椎間板ヘルニア」。胴長短足犬だけの病気だと思っていませんか?実はそんなことはないんです。症状が出たら最悪命も落としかねないこの椎間板ヘルニア、大切な家族を守るためにも犬種を問わず知っておきましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

そもそも「椎間板ヘルニア」って何?

コーギー仔犬

人間にも起こりうる病気なので、聞いたことがある方も多いと思います。
症状としては発症部位と進行状況によって様々ですが、頸部の椎間板ヘルニア(以下、ヘルニア)の場合には頸部、神経麻痺による足の引きずりといった症状が見られ、重傷になると前肢・後肢の麻痺、半身麻痺や排便排尿コントロールができなくなります。
また胸部や腰部のヘルニアの場合、腰~背中に痛みが出るので触られるのを嫌がったり、症状が進行するとこちらも下半身の麻痺、排便排尿コントロールができなくなってしまいます。

原因

激しい運動や肥満、骨の老化など...その原因は様々です。
そういった様々な原因により、骨と骨との間でクッションの役割をする椎間板が損傷し、椎間板内部の髄核(ゲル状の物質のこと)が飛び出して神経を圧迫することで痛みや麻痺などの症状が出てきて起こります。

注意すべき犬種は様々!

冒頭に書いたミニチュアダックスなどダックス系やコーギーはもちろん、ペキニーズ、トイプードル、シーズー、パグなど...「軟骨異栄養症性犬種」という犬種に多く見られ、症状が出やすい年齢も2歳~年齢を重ねるごとに多く見られるといわれています。

筆者の経験から...友人宅のトイプードル

ある日筆者の友人が「この格好が可愛くて仕方ないんだよ」と、笑顔で携帯の動画を見せてくれました。
そこには友人が飼っているトイプードルの両前足の脇に両手を入れて抱き上げ、下半身が不安定な状態のまま、腰~後ろ足をブラブラと振り子のように揺らしている映像が!
こうして下半身に負担をかけることはもちろん厳禁です。(ちなみにその友人には丁寧に説明して、きちんと理解してもらいました。)

日常の小さなことで予防できる!今日から始めましょう

そんな怖いヘルニアですが、日常にある小さなことの積み重ねや、飼い主さんの少しの気遣いで充分予防できる部分も大きいのです。
今日、いまから始められることもあるので、ここに幾つか挙げてみましょう。

あなたのおうちはフローリング床ですか?

最近のお家の室内の床は、その多くがフローリング床だと思います。
でもちょっと待って!その床、とっても滑りませんか?

フローリングの床は犬にとっても足元が滑りやすいもの。
足元に踏ん張りがきかず、大切な下半身に多くの負担がかかってしまいます。
同時にフローリングのように硬質の床は、歩くだけで負担がかかってしまいます。
犬の行動範囲内にマットレスを敷くなどの工夫をしましょう。

筆者の経験から...洗えるタイルマット

粗相をしても洗えるように、筆者の自宅には洗えるタイルマットを敷きました。
これならレイアウトも自由ですし、部分的に外して洗うことや交換することもできます。
敷くのも楽なのでとってもオススメですよ。

元気なジャンプに要注意!

楽しくて嬉しくて、跳ねまわっちゃう!
そんな光景は飼い主としては見ていて可愛らしいものですが、そのジャンプのし過ぎに気をつけてください!
室内やコンクリートなどの固い地面に着地する際、犬の体を支える腰には大きな負担がかかっています。
高いところへ飛び乗ったり、逆に飛び降りることはもちろん、ダックスやコーギーなど胴が長く足が短い犬に関しては、階段の上り下りも負担が大きいのでやめた方が良いでしょう。

下半身を支える抱っこ

犬を抱っこする際、上半身だけを支えて抱き上げていませんか?これでは下半身の重さが全て腰から下の部分にかかってしまい、大きな負担となります。抱き上げる時には、必ずお尻を支えて体全体を抱くようにして抱っこしてあげてくださいね。

獣医さんにすすめられた抱っこの仕方(右利きの場合)

まず犬の頭を左に、お尻を右にします。
自分の右手を犬のお尻側から後ろ足の間を通し、胸の下あたりまで挿し入れます。
手のひらで犬の胸付近を支えてそのまま抱き上げ、必要があれば左手を添えて安定した体勢をとります。
こうすれば飼い主にも犬にも負担なく、しっかりと犬の体を支えた姿勢で抱き上げることができます。(左利きの方や逆のほうが抱き上げやすい場合には、手を左右逆にして抱っこしてみてくださいね。)

肥満の防止

肥満は大敵!重い脂肪を支えることは、脊椎に大きな負担になります。
適度な運動と適切な食事で、その犬種にあった体格をキープすることはとても大切なことです。

体験談:重度5の椎間板ヘルニアの恐怖

ダックス仔犬

筆者のミニチュアダックス(♀・うずら)が5~6歳の頃、重度5の椎間板ヘルニアに襲われました。

日々様子に気をつけていましたが、その予兆らしきものにはまったく気づくことができず、突然重度5という最悪の診断をされてしまいました。
※椎間板ヘルニアの重度は1~5で示され、5は後肢完全麻痺という最悪の状態になります。

椎間板ヘルニアがどれだけ恐ろしいものなのか...予防するためにもみなさんにぜひ知ってもらいたいので、症状の出始めから再発まで、ここに書き留めておこうと思います。

いつも通りにお散歩していたのに...突然の下半身麻痺

その日は夕方、いつも通りにお散歩していました。
ご飯もしっかり食べ、さあ寝ようとなった頃、ケージの中でやたらと鼻鳴きをしているうずら。

そういえば、しばらく前から鼻鳴きしているなとは思っていましたが、日頃からほぼ吠えることがなく鼻鳴きの多い子なので、さほど気に留めていませんでした。
ケージの扉を閉めれば寝るかなと思い近寄ってみると、ケージ内で前脚だけを動かしてわずかに移動。
下半身がまったく動いていないんです。

びっくりした筆者はうずらを抱き上げてリビングへ。
すると前脚だけを動かして、まったく動かない下半身を引きずるようにして、懸命に移動しようとします。
同時に痛みのせいか、全身もかすかに震えています。
この時で深夜0時頃、急いで主人と緊急診療をしてくれる病院に向かいました。

発症から24時間が決め手。だけど...

病院では重度5の椎間板ヘルニアと診断され、具体的な症状としては下半身の完全な麻痺、排便排尿のコントロール不可という症状が見られました。
本当なら即手術をしたいのだけど、病院にはMRIの設備がないため、明日MRIのある施設に行ってMRIを撮り、患部を確認してからでないと手術はできない...との判断でした。
同時にこの神経麻痺が万が一頸部にまで達すると、心臓停止や呼吸停止を起こすことがあり、獣医でもどうしようもない、という非常に残酷な宣告もありました。
この時点で深夜1時~2時頃でした。

特に重症のヘルニアの場合、発症から24時間以内にどこまで正しい処置ができるか?というのが後の治癒に大きく関わってきます。
軽度の場合には自宅で安静にしつつ経過観察となる場合もありますが、気になることがあったらためらうことなくまずは病院へ!

MRI~手術まで

翌日の朝イチ担当医から電話があり、とにかく今すぐ来てくださいとのこと。
急いで車で病院へ向かい、うずらをピックアップしてMRIのある施設へ行く流れになりました。

通常だったら診察室に通される病院ですが、この日は到着すると受付に担当の先生が待機していてくれて、その場でうずらを引き渡してくれました。
そしてごく簡単な説明がありました、
「MRIのある施設は混雑していますが(私たちが)到着次第撮影できるように手配済してありますので今すぐに向かってください。そして撮影が済んで書類を受け取ったらすぐに戻ってきてください、手術の用意をしておきます」
とのこと...これらのことから、発症後24時間の処置がどれくらい大切か、おわかりいただけるのではないかと思います。

MRIは全身麻酔で撮影します。
これだけでも犬には大きな負担になります。
撮影から書類を受け取るまでは約2時間ほどだったでしょうか。書類と画像、そして麻酔から目覚めたばかりのうずらを引き取って、急いでまた病院へ。
到着後、即手術となりました。

手術終了~2週間の入院

夕方5時頃に手術は終了。
患部は二箇所ありましたが、頸部は軽度だったのと場所の問題でそのまま残し、重症箇所だった腰部分の患部を手術で取り除いたとのことでした。

その後きちんと目覚めてくれましたが、本当に治癒したのかどうかはこの後...しばらく経たないとわかりません。
ですがとても大きな手術だったので、飼い主としては無事に手術後目覚めてくれただけでもホッとしたのが正直なところです。

入院は2週間ほど、その間毎日面会に通いました。
最初の2~3日はぐったりした様子で心配でしたが、その後は会うたびに快くなっていくのが目に見えてわかるほど回復が早かったことを覚えています。
下半身はまだ力が入らず不自由そうでしたが、少しずつ尻尾を振ることもできるようになり、最終的にはこちらから「いつ退院できますか?」と申し出たほどでした。(笑)

ここからが大切!ケージステイと毎日のリハビリ

退院後はしばらくの間、ケージステイ(安静のためケージから出さず、ケージの中だけで生活させること)とリハビリの生活になります。
普段はケージステイで静かに過ごしてもらい、あとは毎日獣医さんに指示された屈伸運動を決められた回数こなしていきます。
屈伸運動は抱き上げた状態で行うのですが、これは安静を保ちつつ足の筋力の低下を防ぎ、神経に「動かすこと」を忘れさせないためにも非常に重要なことです。

回復と再発

その後うずらは排便排尿についても回復し、後ろ足の麻痺に関しても(以前より弱くはなりましたが)ほぼ完治しました。
その後2年ほどの間に、軽度ではありますが2度ほど再発しました。
その都度獣医さんの指示に従い、ケージステイとリハビリ、場合によっては投薬も併せて行い、回復しています。

うずらの場合、アレルギー性皮膚炎の予防と体を温めることを目的に、ほぼ毎日天然素材の温泉の素で温浴しています。
温浴するようになってからヘルニアの再発もなくなったので、体を温めてあげるのは良いことなのかもしれません。(温泉の素が合わない子もいるかもしれないので、獣医さんに相談してくださいね。)

まとめ

犬と飼い主

異変に気付いたら、とにかく病院へ行くことをおすすめします。症状が軽度であればあるほど回復は早いですし、手術などで負担をかける必要もなくなります。
そしてもし、ヘルニアにより半身麻痺などの後遺症が残ってしまった場合...症状にもよりますが、ヘルニアの症状の回復には長い時間がかかる場合があります。
その間、犬と飼い主が少しでも快適に過ごせるように工夫されたグッズもたくさん販売されています。
場合によっては担当の獣医さんが協力(手作りグッズの提案や作成など)してくれることもありますので、絶対にあきらめないでくださいね。

飼い主さんの前向きな気持ちが、犬の気持ちを前向きにさせ、ひいては病気の回復に繋がることもあるのですから。。。

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