犬と電車に乗るときのルール
犬と電車に乗る時は、各鉄道会社でルールが定められています。利用する電車によって多少異なりますが、犬は「手回り品」とされ所有物として扱われると決められています。
手回り品として扱われるため、犬は全身が入るケースに入れて運ぶ必要があり、規定サイズのケースに入らない中型犬や大型犬は残念ながら電車に乗ることはできません。例外として、盲導犬や介助犬、聴導犬といった補助犬はサイズに関係なく電車に乗ることができます。
サイズの他にも、「他の乗客に迷惑をかける恐れがないもの」と規定で定めている鉄道会社もあります。電車内で犬が吠え続けたり、ケースの外に出してしまったりしないよう、他者への配慮も求められています。
鉄道会社別 乗車料金
JR
- 手回り品料金:1個280円
- ケースサイズ:長さ70cm以内、縦/横/高さの合計が90cm程度
- 重さ:10kg以内
JRグループ全社共通で、犬を電車に乗せる際の規定が定められています。犬の全身がおさまっていても、ソフトケースやドッグスリングの使用はできません。ペットカートはケースとカートが分離できる場合に限り使用が可能です。また他の乗客に迷惑になる恐れがある場合や、混雑時は持ち込みを断られる場合もあるので、事前に利用駅の窓口で確認をしましょう。
東京メトロ
- 手回り品料金:無料
- ケースサイズ:長さ70cm以内、縦/横/高さの合計が90cm程度
- 重さ:10kg以内
東京メトロではケースの種類については明記されていませんが、規定サイズのケースに犬の全身がおさまっていることが持ち込みの条件となっています。また「他の乗客に危害がない」「迷惑をかける恐れがない」と認められたものに限り、電車への持ち込みが許されています。
東京都交通局(都営地下鉄)
- 手回り品料金:無料
- ケースサイズ:縦/横/高さの合計が250cm以内のもの2個まで
- 重さ:30kg以内
東京都交通局は、犬などの小動物の持ち込みを含め、一般的な手回り品の規定については上記のように決められています。電車へ持ち込むケースの種類の明記はありませんが、完全にケースに入れた状態で乗車し、他の乗客に迷惑とならないよう注意してほしいと呼びかけています。
横浜市交通局
- 手回り品料金:無料
- ケースサイズ:特に定めなし(一般の手回り品は縦/横/高さの合計が250cm以内)
- 重さ:20kg以内
横浜市交通局では上記の他、犬の頭や身体の一部がケースの外に出ないことや、他の乗客に迷惑を及ぼさないよう注意することが規定に定められています。全身が隠れるタイプのドッグスリングであっても電車への持込は不可となります。
名古屋市交通局
- 手回り品料金:無料
- ケースサイズ:長さ2m以内、縦/横/高さの合計が250cm以内のもの2個まで
- 重さ:30kg以内
名古屋市交通局の犬の電車利用では上記の他に、小動物であることと、少数量であることが規定で定められています。この規定には具体的な明記がないため、持ち込みに心配な場合は利用駅の窓口で事前に確認しておきましょう。持ち込むケースの種類は、規定サイズ内であれば特に制限はありません。
Osaka Metro
- 手回り品料金:無料
- ケースサイズ:特に定めなし
- 重さ:特に定めなし
Osaka Metroでは手回り品としてのサイズや重さの制限は設けていませんが、犬のサイズは小型犬であることが条件となっています。
電車に持ち込むケースの種類は専用ケージやペット用キャリーバッグなど、持ち運びに適当なサイズであり、ふたができる容器であることとしています。その上で体毛の飛散を防ぎ、他の乗客から犬の姿が見えないようにするために、ケースを布で覆うなど対応を呼びかけています。
阪急電鉄
- 手回り品料金:1個280円
- ケースサイズ:長さ70cm以内、容積0.025㎥以内
- 重さ:10kg以内
阪急電鉄での犬の電車利用では、手回り品としてケース1個につき280円の料金が必要ですが、ケースの個数制限は設けていません。また規定のサイズと重さがクリアしていれば、ケースの種類は特に問われないようです。しかし他の乗客に危害を及ぼし迷惑をかける恐れがあると判断された場合は、持ち込みができなくなります。
犬と乗車するために必要なもの
ハードクレート
硬い材質でつくられたケースのことで、キャリーバッグや犬用のトートバッグなど布製のケースよりも丈夫です。衝撃に強くて安定感がありますが、クレート自体が重いので長時間の移動は大変でしょう。
ハードクレートは家でもドッグハウスとして使えるので、家用と携帯用の両用が可能です。普段からドッグハウスとして中に入ることに慣れさせておけば、電車移動のときにも安心してクレートの中ですごしてくれます。
キャリーバッグ
ここでいうキャリーバッグは、犬専用の布製バッグのことを指します。ハードクレートよりもかさばらずコンパクトに使えるのが特徴です。他の一般的なバッグと見た目が変わらないので、より犬の存在を隠すことができ他の乗客にも目立ちません。
犬は足元が安定せず体勢が変えられないと、負担となりストレスの原因にもなります。ソフトタイプのキャリーバッグは移動中揺れやすいので、硬い底板のものを選んであげるとよいでしょう。また移動時間が2時間以上になる場合は、バッグの中で犬が体勢を変えられるよう大きめのバッグを選ぶのがポイントとなります。
手回り品の規定として、電車に持ち込みのケースをハードタイプに制限している鉄道会社もあるので事前にチェックしておきましょう。
ペットカート(ペットバギー)
持ち上げて運ぶ他のキャリーグッズと違って、ペットカートにはキャスターが付いているため引いて移動できるのが魅力です。2匹以上の犬を一緒に移動させるのにも向いているでしょう。電車へ持ち込む際の決まりでは犬が全身ケースに入っていることが基本されているので、ジッパーなどでふたができるタイプを選ぶ必要があります。
またサイズや重さの制限をしている鉄道会社では、サイズが大きいペットカートの持ち込みは難しい場合もあります。エアバギーのようにカートとキャリー部分が着脱できるタイプであれば、持ち込みが可能となる鉄道会社もあるので確認しておきましょう。
ドッグスリング
ドッグスリングとは、犬の抱っこ紐のことです。キャリーグッズの中で最も軽く、使用しないときは小さく折りたためるので持ち運びにも便利です。また移動時に両手がふさがらないことや、抱っこ好きな犬であれば大人しくなってくれるのもうれしいポイントです。
ドッグスリングは顔を出すことができるということがよいところではありますが、電車を利用するときには全身を隠すような工夫が必要です。犬の顔が隠せるフード付きタイプや、スリング専用の全身カバーを用意しましょう。
ドッグスリングは電車内では体勢を変えるのが難しいので、移動が1時間以内の近距離向きです。鉄道会社の規定で、ドッグスリングを不可としている場合があるので事前に確認しましょう。
リュック
一般的なリュックとは違い、犬をいれる専用の造りになっている背負うタイプのキャリーグッズを指します。両肩に重さが分散され負担が軽減されることや、両手が空くことがリュックの良い点です。布地でソフトなものは振動が伝わりやすいので、底板は硬くしっかりしたタイプにしましょう。
最近は機能的で便利な犬用リュックが豊富です。自立型は安定感もあり、電車内や旅先での簡易ドッグハウスとしても使えます。リュックだけでなく、キャスター付きのカートやキャリーバッグとしてなど2~3通りの使い方ができるタイプもあるので、状況に応じて使い分けることができ便利です。
電車内ではリュックは背負わず手持ちとしての持ち込みが原則なので、手で運んでも不安定にならないものを選んでください。また利用する路線が、ソフトタイプのキャリーケースが持ち込み可能かどうかを、必ず確認しておきましょう。
犬と電車に乗るときのマナー
利用者が多い時間帯は避ける
犬を電車に乗せる際の鉄道会社の規定として、他の乗客に迷惑を及ぼさないことが前提にあります。犬は手回り品としてケースに入れ持ち込む必要があるので、他の乗客の邪魔にならないような配慮が必要です。また、周りの人との距離が近いと、犬にも刺激を与えてしまうことになります。
犬と周りの方の安全確保のためにも、通勤ラッシュなど電車の利用者が多いと予測できる時間帯は避けてスケジュールを組みましょう。
キャリーケースにいれる
電車内はもちろんですが、駅のホームや待合室でもケースから犬を出さないのがマナーです。犬の存在に気づき「触らせてください」とお願いしてくる方もいるかもしれません。その場合はケースの外に出すのはルール違反であると伝え、丁重にお断りしましょう。
また動物アレルギーや犬が苦手な方、マナーに厳しい方など様々な人がいることを理解し配慮することが必要です。犬の存在をできる限り知らせないようにすることが、周りとのトラブル防止にもつながります。
電車内の立ち位置に気をつける
犬と電車に乗るときの立ち位置は、車内にいる他の乗客の位置や状況に応じて変えましょう。キャリーケースを持ち込む際は場所をとるので、車両の端に立ちケースを抱えるか、足元に置くのが基本です。足元に置く場合はできるだけ邪魔にならない場所を選び、人の移動の妨げにならないようにします。また犬が落ち着かず鳴くときは抱えた方が良いでしょう。
場所をとるからといって網棚にケースを置くのは、危険なのでやめましょう。近くに人がいなければ、座席に座り膝の上にケースを置きます。
ドッグスリングのような密着度の高いキャリーグッズを使う場合は、犬の顔を電車のドアや壁側を向かせ周りとの接触を避けてあげましょう。
犬と電車に乗るときの注意点
手回り品の手続きをする
犬を手回り品として電車に持ち込む際、有料にしている鉄道会社もあります。その場合は手回り品切符の購入手続きが別途必要になります。窓口または券売機で切符を購入しましょう。無料の場合は特に手続きは必要ありませんが、持ち込むキャリーグッズの種類などで不安があるときは窓口で確認しておくと安心です。
最短の経路を使う
利用できる路線がいくつかある場合は、時間を優先し目的地まで最短で着く経路を選びましょう。また乗り換えが必要な際は、どの車両の出口が乗り換えに最も近いかを事前に調べておくと、ホーム間の移動を最小限に抑えることができます。
乗り換えが多い、混雑しやすいなどの問題がある場合は、なるべく犬と飼い主、双方に負担がかからない経路を選ぶのが大切です。犬を初めて電車に乗せるときは、いきなり長時間移動するのは避け、慣れるまでは短い区間の乗車を試し、少しずつ練習していくのがおすすめです。
事前準備は入念に
犬と電車に乗るための事前準備として、人ごみで吠えることがないようトレーニングをしたり、キャリーケースに入るのを慣れさせたりと、普段からのしつけが重要です。また電車に乗る前に、犬の排泄をすませておくことも必要です。
しかし準備を重ねていても、慣れない移動で吠えたり電車酔いになったりする可能性はあります。その場合はいったん電車を降りなければなりません。犬と飼い主にかかる負担を最小限にするためにも、余裕を持った計画を立て、あらゆる事態に備えておきましょう。
まとめ
犬と電車に乗るときは、犬を手回り品としてキャリーケースに入れて持ち込むことが必要なこと、各鉄道会社によって持ち込むケースのサイズや重さの規定が定められていることなどをご紹介しました。規定内のケースであっても種類によっては利用不可であったり、各社で基準が少しずつ違うということを覚えておきましょう。
初めての路線を利用する際はどんなことに注意すべきかを、直接係員に聞いておくのもおすすめです。電車を利用する人全員が気持ち良くすごせるように、ルールとマナーを守って犬との電車移動を楽しみましょう。
ユーザーのコメント
20代 女性 mimi
30代 女性 芽衣子
40代 女性 もも
30代 女性 koz
30代 女性 ちゃー
女性 ゴン吉
会社ごとに総重量が20kg以内だったり、10kg以内だったり違いがあるんですね。愛犬とケースを合わせて10kg以内となると小型犬に限られてしまいますね。
電車となると色んな人が乗っているので、愛犬が無駄吠えをしないか、唸ったりしないか、何か粗相をすることがないか、とても気を使わなくてはならないことが多いので、飼い主さんの心労は絶えない気がします。
小さい子供さんに見つかってしまうと、遊びたくて「出して」と言われてしまうことは予想できます。どんなにお願いされても断ることが大事ですね。
電車に乗る機会が殆どないので、知らないルールばかりでした。読んでおいてよかったです。
ただ、ここら辺は電車に乗って移動するような土地ではないので、車がメインになる我が家では、愛犬と共に電車に乗る日が来たら、その日は一大事件になりそうです。
女性 夏奈
30代 女性 ハッピー
女性 チョコミント