犬にもある「水中毒」
「水中毒」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?人間の病気の1つとして知られるようになって来ています。水中毒は短時間に大量の水を飲んだ時に、血液中のナトリウム濃度が極端に低下することで起こります。
犬にも同じことが起きる場合があります。川や湖で口を開けたまま泳いで大量の水を飲んでしまったり、水の中に投げられたボールを何度もキャッチして水を飲んでしまう。また運動した後に一度に多すぎる量の水を飲んだ時などは要注意です。
過剰な量の水を飲むことで、体の細胞の外のナトリウム濃度が低下して低ナトリウム血症と呼ばれる状態になります。このバランスを調整するために身体は細胞内に水分を取り込みます。
水分を取り込んだ細胞のせいで内臓などが腫れた状態になるのですが、周囲を骨で覆われている脳は腫れが酷すぎると対応できず障害を受けることがあります。水中毒は頻繁に起こる病気ではありませんが、命に関わることもあるので知っておくことは大切です。
水中毒の症状
水中毒の症状は次のようなものがあります。急速に進行することもあるので、これらの症状を示した場合はすぐに病院で診察を受けましょう。
- よろける、転ぶなど体のバランスを失う
- 怠そうな感じ
- 眠気
- 吐き気、嘔吐
- 腹部の膨満
- 瞳孔散大(明るい所にいるのに瞳孔が大きくなっている)
- 目が曇る
- 歯茎の色が薄くなる
- 大量のよだれ
さらに重篤な症状では、呼吸困難、昏睡、痙攣などがあります。この場合、救急診療ですぐに処置を受ける必要があります。
水中毒の予防
水中毒が最も起こりやすいのは、川や湖でのレジャーの場面です。ラブラドールやニューファンドランドなどは水の中で活動するよう選択育種されて来た歴史があるので、泳ぐ時に自然と口を閉じることができる個体が多いそうですが、一般的には口を開けたままで水に飛び込んだり泳いだりする犬は少なくありません。
これは水中毒のリスクの高い行動となります。また水に向かってボールを投げてモッテコイ遊びをすることもハイリスクです。ボールを咥えると必ず大きく口が開くため、水が入りやすくなるからです。
水辺でモッテコイをする時にはウォーターダミーなどを使うようにしましょう。犬が水に入って遊んでいる時には頻繁に休憩を挟んで水を飲む機会を減らし、排尿をする機会が増えるようにすることが大切です。また水に入らなくても、長時間に渡ってスプリンクラーやホースの水に犬が飛びついて遊ぶことで水中毒になることもあります。
まとめ
暑い季節に向かって気をつけたい犬の水中毒についてご紹介しました。海での遊びは塩辛い海水を飲み過ぎないように気を配る飼い主さんが多いのですが、淡水の場合にもリスクがあることを知っておくのは大切です。
水中毒は頻繁に起きる病気ではありませんが、知識を持っておくと万が一の時の対応に差が出て、犬の命を救うことにもつながります。大切な愛犬を守るための知識を身につけて、楽しい夏を過ごしましょう。
《参考URL》
https://www.akc.org/expert-advice/health/can-dogs-drink-much-water-dangers-water-intoxication/
https://www.aspcapro.org/resource/shelter-health-poison-control/treating-acute-water-intoxication-pets