1.てんかん
てんかんは珍しい病気ではなく、100頭に1頭の割合で起こるといわれています。人間のてんかんと同様、犬のてんかんでも痙攣が代表的な症状に挙げられます。
てんかん発作は、脳を作っている神経細胞であるニューロンが何らかの異常をきたした場合に発症します。原因は脳そのものの異常である場合もあれば、ストレスや他の病気が引き金となる場合もあります。1〜3歳までの幼い時期に発症することが多いと言われています。
その他の症状
痙攣以外の代表的な症状としては、四肢の硬直、失禁、口から泡を吹く等が挙げられます。また、発作が起きた直前や直後に、いつもと違う行動をとったり、ふらふらする、やたらに食べたり飲んだりする、急に甘えてくる等の症状が現れることもあります。
治療法
ストレスや他の病気が原因の場合には、まずその原因を取り除くとともに、薬物療法を行うことになります。長期の治療が必要となることが多いので、突然けいれんをおこしたらすぐに動物病院に相談しましょう。
2.低体温症
痙攣とは、筋肉が自分の意思とは関係なく急激に動作することをいいます。この動き、実は私たちも身近によく感じることがありませんか?そう、寒いときの「震え」です。犬の場合も同様で、著しい寒さを感じた場合にはプルプルと震えることがありますが、あまりに極端な震えは低体温症を発症している場合があります。
その他の症状
犬の平熱は38.5〜39度前後といわれていますが、一般的に体温が37.8度を下回った場合に低体温状態と呼ばれます。私たちは普段、何となく、平熱より高熱となったときを心配してしまいますが、実は、発熱状態よりも低体温状態の方が深刻な状態です。
治療法
低体温状態を放置しておくと、生命の危険に晒されることになります。低体温状態にあることが判明したら、すぐに暖かい場所に移動させ、毛布でくるんだり身体をさすってあげたりして、とにかく体温を取り戻してあげることが応急処置になります。同時に、獣医師の指示を仰ぎましょう。
3.低血糖症
低体温症と少し関わりがある病気で、低血糖症というものがあります。これは、血液中の糖分濃度、すなわち血糖値が著しく低下した場合に発症する病気で、パピー期に発症するものと成犬期に発症するものの大きく2種類に分けられます。
パピー期に発症するものは、空腹、嘔吐や下痢が原因といわれています。一方、成犬期に発症するものは、空腹、運動で血糖を使いすぎた場合、糖尿病治療でのインスリンの過剰投与の他、膵臓がんが原因となるものもあります。
その他の症状
痙攣の他には、ぐったりして元気がなくなる、泡を吹く、ひどいよだれ、ふらふらして立てない等の症状が代表的です。ただし、低血糖状態がどのくらい継続したか、血糖値がどのくらいまで下がったかによっても症状は異なり、パピー期の子犬が低血糖を起こすとぐったりして動けなくなり、最悪の場合亡くなることもあります。
治療法
パピー期の場合には、ブドウ糖を投与することで症状が治まります。また、低体温が原因の場合には身体を温めること、空腹が原因の場合にはごはんを与えることで改善される場合もあります。膵臓がんが原因の場合には、がん治療が根本的な治療となります。
4.破傷風
破傷風は、土の中に存在する破傷風菌が傷口から体内に進入したことで発症する、急性の感染症です。破傷風菌が存在する場所でケガをした場合や、去勢手術の後などに感染することが多く、感染した場合には多くが発症から5日以内に死亡してしまう恐ろしい病気です。
その他の症状
破傷風菌に感染しても、すぐには症状は起こりません。一般的に、感染してから5〜8日後に、初期症状として顔面の痙攣が現れます。この痙攣はてんかんの発作等とは違って長時間にわたり、飲食にも支障をきたします。その後、痙攣は全身に広がっていき、寝かせていても四肢をつっぱっているような状態になります。更に症状が進むと、知覚過敏や呼吸困難を引き起こして死に至ります。
治療法
破傷風菌が侵入した外傷部分の組織を取り除き、消毒を行ったうえで、投薬治療を行います。また、同時に血清や鎮静剤を投与し、栄養剤で栄養補給を行うことになります。ただし、これらの治療ができるのはあくまで発症初期段階であり、症状が進んでしまっていると治療方法はありません。おかしいと思ったら、すみやかに動物病院を受診しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?犬の痙攣から疑われる病気はさまざまありますが、自分では判断がつきかねることもありますよね。まして、愛犬が痙攣を起こしている姿を見たら、パニックになってしまう飼い主さんがほとんどです。取り返しのつかない状況になる前に、まずは獣医師の診断を受けることが大切ですよ。