子犬の死亡率が高い病気①狂犬病
原因
狂犬病という病気に関しては、犬を飼っている人なら必ず聞いたことがあると思いますし、その危険性を知っている人も少なくないでしょう。狂犬病は日本で唯一、法律によってワクチン接種が義務付けられている病気です。生後3か月を過ぎた子犬は役所への畜犬登録と狂犬病ワクチンの接種を必ず行わなければなりません。さらに年に一度ワクチンの追加接種が必要です。
日本では狂犬病予防法が施行されたおかげで、1950年から国内で狂犬病が発症した事例はありません。そのため「日本に狂犬病はないから」という理由でワクチンを受けさせない人もいるようですが、世界的には欧米やアジア諸国を含め狂犬病発生国が数多くあります。
そうした地域に訪れた人が狂犬病ウイルスを持った動物から感染した事例があり、それが日本に持ち込まれる可能性も0ではありません。万が一の備えとして、そして日本に狂犬病を蔓延させないためにもワクチン接種は必ず行わなければなりません。
症状
狂犬病の初期症状はほとんど出ませんが、不活発になったり物音などに過敏になったりと、行動に変化は見られることがあります。
その後手当たり次第に周囲のものを噛むようになり、意識が鈍くなることも。次第に神経症状があらわれ全身に麻痺が見られるようになり、数日のうちに死に至ります。直接的な原因としては呼吸器系に麻痺が起こることで呼吸困難に陥ると考えられており、死亡率が極めて高い病気です。
治療法
狂犬病を発症した動物については、治療にあたる人間への危険性が高いことなどを理由として基本的に治療は行いません。検査などを行い狂犬病であることが確定された場合には、関係当局への連絡をした後で獣医師によって安楽死が行われます。
子犬の死亡率が高い病気②ジステンパー
原因
人間の、はしかウイルスに似たウイルスが原因で起こる病気で、特に3歳未満の若い犬を中心に発症します。発病率は25~75%と高く、感染した動物の死亡率は50~90%と非常に高い数値となっています。
ウイルスはアルコール消毒など、通常の消毒法で死滅するような比較的弱いものですが、犬のくしゃみやその他分泌物、排泄物によって感染が広がります。
症状
ジステンパーウイルスに感染すると目やにや鼻水、発熱などの症状があらわれます。初期症状は軽めですが、子犬のように免疫力の弱い犬の場合は二次的な細菌感染も起こりやすく重篤な症状を引き起こすことも。
また、神経細胞などにウイルスが侵入することで痙攣発作や脳炎などを起こし、チックや歩行困難などの障害を招いたり最悪の場合死に至ったりします。
治療法
残念ながら、ジステンパーに感染した場合に有効な治療薬は現時点ではありません。そのため、細菌などによる二次感染を防ぐための抗生物質投与や、症状に対する対症療法のみでの治療となります。
子犬の死亡率が高い病気③パルボウイルス
原因
パルボウイルスは非常に強力なウイルスでアルコールやクレゾールによる消毒は無効、60℃で1時間熱しても死滅することがありません。そのため、環境下に数か月以上生存することがあり、人間の靴や犬の足などについて様々な場所に運ばれてしまいます。
感染源はウイルスを持った犬の糞便として排泄され、それが他の犬の口や鼻などに移ります。
症状
感染しても発症しない犬も多く、症状がほとんどあらわれないことから次々にウイルスが広まっていきます。その中で子犬や老犬のように免疫力の低い犬が感染した場合、発症してしまうことがあります。
発症率は20%以下、死亡率は5%以下とそれほど高いようには見えませんが、症状が出てからの死亡率はとても高いとされています。
具体的な症状としては発熱や食欲低下、下痢(血便)、嘔吐、脱水などが見られ、死に至ることもあります。急性の場合は発作や呼吸困難などで、発症からすぐに死亡してしまうこともあります。
治療法
パルボウイルスと診断された場合は薬物投与による治療が行われるとともに、嘔吐や下痢、脱水などへの対処治療、二次感染予防などが行われます。感染が分かった場合にはすぐに他の犬と隔離し、次亜塩素酸などによる徹底した消毒が必要となります。
まとめ
ここで紹介した子犬の死亡率が高いとされる病気はすべて「コアワクチン」と呼ばれる子犬の時期に必ず受けることが必要だとされているワクチンに含まれるものです。ワクチンを適切な時期に適切な回数受けることで防ぐことのできる病気なので、子犬を飼い始めた場合は愛犬を守り、病気を広めないためにも、ワクチンスケジュールに則りしっかりと行ってほしいと思います。