犬の痴呆
犬も人間並みに物忘れをするのでしょうか。ドリトル先生ならぬ私たちには分かりませんが、データを見る限り、犬にも物忘れから痴呆へのプロセスがあるようです。老化によって認知力や反応力が低下し、物覚えも徐々に悪くなってくることは、どうやら間違いないようです。
アメリカのカンザス大学医学部のジェイコブ・モーザー先生によると、犬の痴呆は老化とともに避けられないことが突き止められています。犬の神経組織内での情報の伝達速度を比べると、若い犬は時速360キロで老犬は80キロ、脳内のブドウ糖代謝量も3歳から減少が始まり、14歳を過ぎると若い頃の半分にまで減るということです。
犬の痴呆の症状
犬の場合、痴呆はどのような症状に現れるのでしょうか。研究によると、症状は大きく5つに分かれるようです:見当がつかなくなる、交流ができなくなる、眠りが不安定になる、それに排泄が乱れること、行動に乱れが見える、など。それぞれについて、説明します。
見当がつかない(見当識障害)
これまでの経験知が混乱することで起こる症状で、知っているのに外や家のなかで迷子になる、家内外でどこにいるのか分からない、家のなかで間違ったドアの方へ歩いて行く、落着きなく家の中を歩きまわる、など。
交流ができなくなる(社会的交流)
撫でられても反応しない、遊ぶことに興味をなくす、ほかの犬と遊ぶことに興味を示さない、指示に対して反応がにぶい、など。
眠りが乱れる(睡眠サイクル)
昼間寝ることが多くなり夜間の眠りがすくなくなり、夜中に徘徊して遠吠えをする、不眠と過眠を繰り返す、など。
排泄が乱れる(不適切な排泄)
室内での排尿と排便がコントロールできなくなるので、家のなかで飼い主が見ている前で排泄する、トイレサインが見られなくなる、外から戻ったあと家のなかで排泄する、など。
行動に乱れが見える(活動性)
意味のある行動が減って無意味な行動が増えるようになり、無関心な様子がみえる、慣れ親しんだ刺激に反応しない、何もないところを見つめたり噛み付いたりする、人やものを舐め続ける、目的のないうろつきが増える、食欲が低下する、など。
犬の痴呆(認知症)の原因
アルツハイマー型の認知症は、脳内の酸化がすすむと発症すると云われています。酸化の副産物としてアミロイドと呼ばれるタンパク質が発生、これが脳内に蓄積してアルツハイマー型の認知症を発症させることが分かっています。
予防と対策
脳細胞が死滅して発症した認知症には、基本的に治療法はありません。でも、認知症が発症する前に飼い主が、犬のある特定の生活習慣を守っていれば、犬の脳の老化や認知症の発症を防ぐことができるのではないか、と一部の研究者は考えています。イリノイ大学心理学部のウィリアム・グリーノ教授もその一人。教授は研究によって、「脳に適度な刺激を与えれば老化現象を遅らせることができる」という事実を突き止めています。
また、普段の生活よって脳を活性化することで、犬の認知症を遅らせることができると考える人もいます。散歩の時の歩き方を変えるとか、知育を狙った玩具を与えるとか、芸やトリックを教えるとか、犬と旅行をするとか。新しいペットを迎えるなど、刺激を増やしてやることで、脳が活性化するといいます。
ほかにも、食餌療法として抗酸化物質を含んだ食餌がアルツハイマー型認知症を予防すると云われています。
痴呆の治療
まず、犬の痴呆を治す薬はありません。犬の場合、サプリメントの投与や食餌療法やストレスが軽減される生活環境をつくる、犬に合わせた生活スタイルを築くとか、生活パターンの見直しが効果的といわれています。
まとめ
痴呆の犬と生活するからには、どうしても犬主体の生活スタイルを強いられることになります。散歩にしても、こちらの勝手で「散歩だよ」というわけには行かなくなります。嫌がる様子なら無理に連れ出さない。なによりも、排泄をめぐる難しさが飼い主を悩ませます。それでも、元気だった頃の思い出を下敷きに、犬のために「愛の妥協」をしてあげてください。
ユーザーのコメント
40代 女性 匿名
23時を過ぎる頃毎晩
家中を意味なく歩き回る事30分〜1時間。。
出来る事は歩く場所を危なくない
ように工夫し安全に過ごさせる事
邪魔をしない事
徘徊し気が済むと私の横で
眠りに着く。
眠りに着く間際
頭や体を優しく撫でてあげる
撫でられながら毎晩グッスリ眠りに着くこの子が愛おしい。
生きていてくれる
それだけで幸せです。
命ある限り
この子の過ごしやすい環境を作り
この子を全力で守り
この子を愛します。
50代以上 女性 匿名