フィラリア予防薬について 投薬時期や種類、副作用から値段まで

【獣医師監修】フィラリア予防薬について 投薬時期や種類、副作用から値段まで

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春あたりになると、フィラリア予防の薬についての案内を動物病院から受けることがあるかもしれません。フィラリアとはどのような症状や危険がある病気なのでしょうか。今回の記事ではフィラリアの予防薬の効果や投薬の時期の他、薬の種類や副作用、値段、予防の必要性についてご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬のフィラリア症を防止する「フィラリア予防薬」とは?

注射器を見る犬

フィラリア予防薬とは、経口薬や注射によって犬フィラリア症への感染を防ぐ薬を指します。

犬フィラリア症は和名を「犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)」といい、犬糸状虫という寄生虫の成虫が心臓や肺動脈に寄生して深刻な障害を起こす病気です。

蚊がフィラリアにかかっている犬から血を吸うことで、蚊の体内にフィラリアの赤ちゃんであるミクロフィラリアが移動します。そして蚊の体内で感染能力を持った感染幼虫にまで成長します。その蚊が別の犬に吸血するとき、感染幼虫が犬の体内へ移動し、成長しながら最終的に心臓や肺動脈に住み着いて成虫となります。

感染幼虫が成虫になるまでの期間が約2カ月、成虫の寿命が5~6年といわれており、時間をかけて病状が進行してくため深刻な症状が現れるのは、感染から数年経ってからということも多いようです。症状が重度化すると、不整脈や呼吸困難に陥り、数日のうちに死亡することもあることから、薬を使ってフィラリアを予防することが推奨されています。

フィラリア予防薬の効果

診察を受ける犬

フィラリアを予防する薬は感染幼虫を成虫になる前に殺すことから、駆除薬とも言われています。感染幼虫が皮膚下にいる間は犬の体に変化がないため、感染幼虫が成虫になる前に定期的に駆除することで予防の効果が期待できるということです。

いつから犬にフィラリア予防薬を投薬するの?

注射器を見る犬

一般的にフィラリアの予防薬を投与する時期は春から秋とされており、処方されることが多い経口薬の場合、飲ませる間隔は1カ月に1度です。感染幼虫が成虫になるまでの期間が約2カ月なので、毎月ほぼ決まった日に投薬することでフィラリアの感染幼虫が成虫になる前に駆除し、十分な効果があります。

投薬を始める目安は蚊が飛ぶようになった時期から1カ月後、投薬を終えるタイミングは蚊がいなくなってから1ヵ月後と言われています。お住まいの地域やその年の気温によって蚊の発生時期が異なるため、何月から始めていつまで続けるのかは病院と相談して決めるとよいでしょう。

ただし、予防薬の投与をする前には、必ずフィラリアに感染しているかの検査をする必要があります。フィラリアに感染していたりミクロフィラリアが血中に存在したりする状態で予防薬を飲ませると、一度に大量のミクロフィラリアが駆除されることで、犬がショック状態や大静脈症候群になる可能性があるからです。

フィラリアの薬の種類

注射器と薬

  • 内服薬(錠剤タイプ、チュアブルタイプ、顆粒タイプ、経口ゼリータイプ)
  • 塗布薬(スポットタイプ)
  • 注射薬

フィラリアを予防する薬は、大きく3種類に分けることができます。チュアブルタイプは素材に牛肉を使用したジャーキーのようなもので、嗜好性が高いため犬に簡単に食べさせることができます。

塗布薬は犬の皮膚に薬を直接塗ることで感染幼虫の駆除と予防を行います。注射薬は6か月間効果が続くものやそれ以上長く効果が続くものがありますが、注射液の中に小さなカプセルが含まれていて、この中に薬剤が入れてあり、薬剤が徐々に放出されるため効果期間が長いことが特徴です。

フィラリア予防薬は「要指示医薬品」であるため、獣医の処方箋がないと手に入れることができません。海外の通販サイトから個人輸入をして購入しようと考えることもあるかもしれませんが、問題が起こった場合の責任追及が難しいためおすすめはできません。以下にフィラリア予防薬の代表的なものをまとめました。

カルドメック

カルドメックには錠剤タイプとチュアブルタイプがあります。錠剤タイプはフィラリアの感染予防のみの薬で妊娠中の犬にも投与可能とされており、チュアブルタイプはフィラリアや消化管内線虫の予防、駆除を行う成分が含まれています。それぞれ犬の体重によって薬の分量が異なるため、処方する獣医の指示に従いましょう。

カルドメックチュアブル
カルドメック錠

ネクスガード

ネクスガードには2つの種類がありますが、フィラリアの予防薬として効果があるのは「ネクスガード スペクトラ」のみです。フィラリア予防とノミやマダニなどの外部寄生虫駆除が一緒になったチュアブルタイプの薬なので、一度の投薬で体内外の寄生虫を予防することができます。

ネクスガード

パノラミス

パノラミスは錠剤タイプの予防薬で、フィラリアを含む、ノミやマダニ、犬回虫などの6種類の寄生虫対策が可能です。食事とともに投与することが推奨されているため、投薬の前後には少量の餌を与える必要があります。

パノラミス パノラミス

アドボケート

アドボケートはフィラリアの予防とノミや犬鉤虫などの駆除をするスポットタイプの薬です。経口薬と同様、1カ月に1度塗布する必要があります。皮膚に直接投与するものなので、投薬後90分は水に濡れないようにする、シャンプーは4日後からにするなどの注意点があります。

アドボケート

モキシデック

モキシデックには注射タイプと錠剤タイプの2種類があり、注射タイプは1回の注射でフィラリアの予防効果が6カ月持続します。薬を注射した部分を犬が痛がることがあるので、散歩をする日や運動量などは獣医の指示に従ってください。

注射用モキシデック
モキシデック錠

フィラリア予防薬の副作用とは?

ぐったり眠る犬

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 歩様異常
  • 起立困難
  • 痙攣
  • 呼吸速迫
  • 蕁麻疹、湿疹
  • 顔面腫脹

薬の成分や犬種などによっても異なりますが、フィラリアの予防薬を投与することによって上記のような副作用が見られる場合があります。特にコリー種はイベルメクチンという成分に対しての感受性が高いため、低用量であっても副作用を起こす可能性があるようです。愛犬がぐったりしている場合は、薬を処方してもらった動物病院に相談しましょう。

副作用が起こってもすぐに動物病院を受診できるように、投薬の時間を午前中に設定することをおすすめします。経口薬を吐き出してしまうと予防の効果がなくなってしまうので、犬の様子をこまめに観察するようにしましょう。

薬によって週齢や体重、犬種などに使用制限があるため、予防薬は必ず獣医に処方してもうらようにしてください。

犬のフィラリア予防薬の値段

お金をくわえる犬

フィラリアの予防薬の価格は薬の種類や体重によって差があり、動物病院によっても異なります。

例として、チュアブルタイプまたは錠剤タイプの1カ月分の価格は、種類や体重に応じて約900~2,500円程度となっています。スポットタイプは7回分で約8,500~14,000円、注射タイプは1回で約10,000~20,000円です。

フィラリア予防以外の成分が含まれている薬を投与する場合はさらに値段が上がり、初診料や再診料などもかかります。事前の検査費用は約1,500~3,000円程度です。

犬にフィラリア予防薬を飲ませてないとどうなる?

薬を見つめる犬

フィラリアの予防薬を飲ませていなくても、すぐに重篤な症状にはならないと考えられます。フィラリアの感染幼虫が成虫になるまでには約2カ月かかるので、数週間程度であれば飲ませるのを忘れたとしても問題はないでしょう。

しかし、フィラリアが心臓や肺動脈に入ると予防薬では駆除できないので、感染幼虫を確実に全滅させるため、毎月きちんと服用させましょう。

カレンダーに記入したりスマホにスケジュール登録をしたりしておくと、飲み忘れを防ぎやすくなります。その際、投薬の日を月初めや月末などの覚えやすい日に設定するとよいでしょう。注射タイプの投薬の場合は、病院からお知らせが届くこともあるようです。

反対に、薬を多く飲ませたときは副作用が強く出る心配があるため、犬の様子に異常を感じたらすぐに動物病院に相談しましょう。

フィラリア予防薬は不要?必要あるの?

はてなマークの書かれた黒板を見る犬

フィラリアの予防薬の投与は任意であるため、投薬しなければならないという決まりはありません。フィラリアが成虫になってしまったとしても、投薬による治療をすることで90パーセント以上の確率で駆除に成功するとも言われています。

フィラリアに感染した場合の治療方法は犬の年齢や全身の状態、寄生の状況などによって変わりますが、予防薬と同様にリスクは伴います。例えば薬剤による成虫駆除では死滅したフィラリアが血管に詰まって状態が悪化したり、重度の循環不全に陥ったりすることが懸念されます。また、犬が手術や駆除薬に対応できないと判断された場合は咳を抑えたりお腹にたまった水を除去したりすることしかできません。

フィラリアの成虫駆除に成功したとしても傷ついた臓器を元に戻すことはできないため、予防薬を投与してフィラリアを予防することが犬の健康を守る一番の方法であるといえるでしょう。

まとめ

犬たちを抱き寄せる医師

フィラリアは犬の臓器に重大な影響を及ぼし最悪の場合死に至らしめる恐ろしい病気ですが、きちんと予防をすることで防ぐことができるものです。危険性を理解し毎年定期的な薬の投与をすることが、愛犬の健康と命を守ることに繋がるのではないでしょうか。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 momo

    我が家には現在14歳の大型犬がいます。若い時はずっとフィラリアの予防に月一回の飲み薬を与えていました。昨年13歳の時に大病を患って、治療の為に沢山の薬を与えるようになりました。その為に、薬を与えると下痢気味になってしまい、先生と相談して首に塗るタイプのフィラリア薬に変更するようにしました。『アドボケート』という塗り薬で、体重によって何種類かあるようです。我が家は25㎏~40㎏用のものを処方していただきました。(写真有)
    シニアで薬をあまり飲ませたくない場合や、どうしても飲み薬が苦手な子の場合は、獣医さんと相談してこちらを使ってみるのもよいのかもしれません。どちらにしても、フィラリア予防は必ずした方が良いそうです。
    momoの投稿画像
  • 投稿者

    40代 女性 まる

    フィラリアの予防は欠かさず行っています。フィラリアは薬さえ飲んでおけば予防することが出来るので記事にもあるように本当に飼い主次第だと思います。ビーフジャーキー型のフィラリア予防を我が家でもしていますが本当におやつの様であげるのも簡単です。※ただシェットランドシープドッグなど一部の犬は使用出来ないこともあるので動物病院で聞いてみてください。カレンダーを用意しておけば箱の中にハートのシールが入っていてあげたら貼るようになっているので忘れずにあげられます♪フィラリアにかかると手術もとても難しく、薬で駆除も血管へのリスクがあったりと本当に死に関わってしまいます。そうならない為にも予防で済むならしっかりとしたいですね。
  • 投稿者

    女性 うし

    フィラリア予防とノミダニ対策の時期にそろそろなりますね。
    うちでは冬の間はフィラリアとノミダニの薬をお休みしてしまうので、3月から再開となります。
    以前フィラリア予防とノミダニ対策が1つになった飲み薬タイプのものを試したことがあるのですが、うちの犬には副作用が出てしまってダメでした。2社の製品どちらも試しましたがどちらもダメでした。それ以来ノミダニ対策はスポットタイプにしています。意外とノミダニ対策用の服薬で副作用が出る犬がいるようです。フィラリア薬は錠剤タイプです。毎月飲ませるのは億劫だからと、注射を検討したことがありましたが、獣医さんに注射だと副作用が出た時に対応ができないと言われてしまって(半年くらい効き続けるので)怖くて断念しました。
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