犬の銅貯積肝障害の症状や原因、注意したい犬種について

【獣医師監修】犬の銅貯積肝障害の症状や原因、注意したい犬種について

犬の銅貯積肝障害は、特定の犬種で発症することがある、肝障害の一つです。この記事では銅蓄積肝障害とはどういった病気なのかについてと、注意したい犬種をまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の銅蓄積肝障害とはどのような病気なのか

横を向いて立つベドリントンテリア

銅は、犬の必須微量栄養素であり、身体の健康な機能を維持する働きをしています。食事から摂取された銅は肝臓で処理され、酵素や補酵素として使われたり、貯蔵されたりしています。使われなかった銅は、肝臓から胆汁の形で排泄されています。

銅蓄積肝障害は、銅が何らかの原因で排出されず、過剰に貯蔵されてしまうために起こります。肝臓に過剰に貯蔵された銅が、肝臓の細胞を傷つけ、傷ついた肝細胞が炎症を起こし、やがて慢性化、最終的には肝硬変を引き起こします。

犬の銅蓄積肝障害の症状

症状は、肝疾患の際に現れる、体重減少・食欲減退・多飲多尿・下痢・嘔吐などです。重症化すると、黄疸・腹水・肝性脳症・溶血といった症状をおこす場合もあります。また、症状に現れる前に、健康診断などの血液検査で、肝臓機能の異常から発見される場合もあります。

犬の銅蓄積肝障害の原因

犬の銅蓄積肝障害の原因は何でしょうか。
この病気は、その名の通り「銅が蓄積してしまうこと」が原因で起こります。

銅は犬の身体にとって重要な栄養素であり、多くの犬では問題なく代謝されます。ですが、銅蓄積肝障害を発症した犬では、銅の貯蔵機能の異常、又は、銅の排泄障害が起きています。これらの異常の原因は、犬種特有の遺伝的な問題であると言われています。

犬の銅蓄積肝障害の診断と治療

犬の銅蓄積肝障害の診断の際には、まず、血液検査と超音波検査を行います。血液検査では、肝酵素(GPT・GOT・ALP・GGT)や、肝機能(ビリルビン・アルブミン・BUN・Cre・血糖値・コレステロール)の確認を行います。

超音波検査では、肝臓の大きさや炎症の有無、胆管の状態を確認します。血液検査と超音波検査で、肝臓の状態を確認した段階では、銅蓄積肝障害の確定診断はできません。これらの検査で銅蓄積肝障害の疑いがあると判断された場合は、肝臓の細胞を採取して行う、肝生検を行い確定します。

治療には、蓄積された銅を除去するキレート剤や、銅の吸収を阻害する亜鉛製剤を用いる他、肝臓の状態を改善するための治療が行われます。

銅蓄積肝障害に注意したい犬種

並んで座る三匹のウエストハイランド・ホワイト・テリア

この病気は遺伝上の問題により、かかりやすい犬種がいくつか知られています。

べドリントン・テリア

銅蓄積肝障害を起こしやすい犬種として、まず挙げられるのは、ベドリントン・テリアです。ベドリントン・テリアは遺伝的な問題から、銅を胆汁に排泄することができなくなってしまうことがあり、その因子を持って産まれてくる子は、全体のなんと7割に及びます。このため、因子を持っているベドリントン・テリアには、肝機能の検査が、欠かせません。

ベドリントン・テリアが銅蓄積肝障害を発症すると、肝細胞の障害・壊死が広く起こることで、急性肝不全となって昏睡状態となることがあります。症状は、肝臓の銅の蓄積量が問題になってくる2~4歳頃から出始め、治療を行わなければ2~7歳で死に至ります。

その他の犬種

ベドリントン・テリア以外にも、銅蓄積肝障害を引き起こす可能性がある犬種があります。

  • ウェストハイランドホワイトテリア
  • スカイテリア
  • ダルメシアン
  • ドーベルマン
  • ラブラドールレトリバー

これらの犬種では、肝臓に何らかの障害が起きた際に、胆汁の流れが滞り、それにより銅の貯蓄が起こると考えられています。このため、どんな年齢でも発症する可能性があります。

肝臓の銅貯蓄量と症状の重さには関係がなく、銅貯蓄量がベドリントン・テリアと比べて少なくても、重度の肝障害を起こすことがあります。

まとめ

床に伏せるドーベルマン

犬の銅蓄積肝障害についてまとめました。この病気は、特定の犬種で発症する可能性がある病気です。特にベドリントン・テリアと暮らしている方は、必ず頭に入れておかなければならない病気ではないでしょうか。

銅蓄積肝障害を早期発見するためには、症状が出るよりも前から定期的な血液検査を行い、肝臓の状態を確認しておきましょう。

動物病院での定期的な健康診断をお勧めします。

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