犬の遺伝性疾患と発症しやすい代表的な犬種

犬の遺伝性疾患と発症しやすい代表的な犬種【獣医師監修】

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かわいい愛犬には病気をせずに長生きしてもらいたいもの。ですが、病気の中には、飼い主さんがどんなに気をつけていてもかかってしまう遺伝性疾患もあります。今回は、その中のいくつかをご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

股関節形成不全

二匹のラブラドールレトリバー

好発犬種

ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパード等の大型犬でよく発症します。症状は生後6ヶ月頃から現れるとされています。

症状

多くの場合は両足の股関節に発症し、足を引きずったり、持ち上げて歩くようになったり、走るときにウサギとびのように両足を揃えるようになります。

また、症状は成長と共に目立つようになり、ひどい場合には股関節の脱臼などの二次的な病気を引き起こすこともあります。

治療法

軽度の場合には運動制限・体重制限と安静生活にし、痛みが生じないように軽い運動を行います。中度では鎮痛薬等を用いた内科療法をとりますが、それでも効果がない場合には外科療法に移行し、股関節を人工関節に取り替える等の手術を行うことになります。

緑内障

シーズーの顔アップ

好発犬種

シー・ズー、アメリカン・コッカースパニエル、柴犬などによく見られます。主に中年期以降に発症します。

症状

眼圧が高くなることで視神経に影響が出、視野が狭くなる病気です。病気が進行すると痛みを伴うとともに、瞳孔が開いたままになるため、目の色が普段よりも緑色や赤色に見えるようになります。

重症化すると目が飛び出したようになり、失明に至る場合もある病です。

治療法

初期段階では眼圧を下げる薬や眼房水の産出をおさえる薬、眼房水の排泄を促す薬などにより、内科療法を行います。ただし、慢性かつ重度の緑内障になると完治は難しく、痛みを取り除くために眼球摘出手術を行うことも少なくありません。

変性性脊髄症

芝生に伏せるコーギー

好発犬種

かつてはジャーマン・シェパードに多いとされていましたが、現代日本ではウェルシュ・コーギーでの発症が多く報告されています。シニア期に多く発症します。

症状

変性性脊髄症は痛みを伴わずにゆっくり進行するのが特徴で、後ろ足からはじまって徐々に前足に症状が遷移し、更には首の脊髄から呼吸障害等を引き起こします。

初期症状は後ろ足をひきずったり、後ろ足を交差して歩いたりするようになるもので、他の腰や関節の病気と見分けがつきにくいことが多いです。

しかし、症状が進行すると、前足で上半身を支えきれず、普段からフセのような体勢をとるようになり、やがて寝たきりの状態でトイレの介助を必要とするようになります。その後、呼吸不全の症状が進行し、発症から3年程度で死に至るといわれています。

治療法

完治のための治療法は現段階ではありません。そのため、それぞれの段階での症状に合わせた対症療法をその都度行っていくことになります。

進行性網膜萎縮症

トイプードルの顔アップ

好発犬種

トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフント、パピヨンなどの小型の洋犬でよく見られます。多くが6歳前後で発症しますが、早い場合には生後半年程度で発症することもあります。

症状

光に対する瞳孔の反応が遅れるようになる病気のため、まず、夜間の散歩や活動を嫌ったり怖がったりする夜盲症に似た症状が現れます。

ただし、日中や明るい場所では変化は見られないため、わかりづらい疾患です。症状が進むと二次的に白内障を引き起こし、失明に至ります。

治療法

完治のための治療法は、現在ではありません。多くの場合、ビタミンEを含むサプリメント等の使用により、症状の進行を遅らせる治療がとられます。

ガングリオシドーシス

眠る柴犬の子犬たち

好発犬種

柴犬によく見られる疾患です。多くが生後半年前後で発症します。

症状

ガングリオシドと呼ばれる酵素が中枢神経内に蓄積し、全身に神経症状や運動失調を起こした末に死に至る難病です。発症直後は身体のバランスを崩しやすくなったり、音に敏感になったりします。

その後、視覚障害やけいれん等を引き起こし、歩行・自立ができない寝たきりの状態となり、生後13~15ヶ月で死に至ります。

治療法

現在のところ、根本的な治療法はありません。

遺伝性疾患を撲滅するために

獣医師に抱かれる白い犬

遺伝性疾患は先天的なものであるため、ほとんどの場合で予防は難しく、疾患に苦しむわんこを減らす方法はただ1つ、その病気を発症した犬を繁殖に使わないことだけです。現在では、遺伝子検査で遺伝性疾患の有無を検査してくれる機関もありますから、繁殖の前の検査が広まることが望まれます。

また、家族に迎えたわんこが遺伝性疾患を発症した場合で、親犬の身元がはっきりしている場合には、そのブリーダー等に病気の発症をしっかり伝えましょう。それが病気の拡大防止につながります。

まとめ

犬の背中に腕を回す女性

いかがでしたでしょうか?これらの疾患は、一時のブームに乗った無計画な繁殖や近親交配等、人間の身勝手が原因で拡大したものも少なくありません。何の罪もないわんこが苦しむのは悲しいこととしか言えません。

疾患と向き合うことはわんこにとっても飼い主さんにとっても苦しく、辛い経験です。しかし、もし万が一、家族に迎えたわんこが遺伝性疾患を発症したとしても、どうか最後まで愛情と責任を持ってお世話をしてください。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    40代 女性 匿名

    シェルティです。眼周辺、鼻、口角の脱毛,かゆみでアレルギーの治療をしてきました。
    全くよくなりません。
    独学で調べて 家族性皮膚筋炎という遺伝疾患ではないかと思い ドクターに相談。ドクターはその病気を知りませんでした。
    顔の組織生検をし、結果は遺伝疾患。
    ドクターも 色々勉強してくれ、 試行錯誤し現在治療中です。家族性皮膚筋炎の診断を受けた方
    どのような治療をしているのか 教えて下さい。
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