犬にダウン症はあるのか
犬にダウン症はあるのかについてですが、結論から言いますと、人と異なる染色体構造が違う生物は染色体に記録されている遺伝情報も異なりますので、身体的な症状が似ていてもダウン症と同じ症候群になることはありません。
犬以外の動物にダウン症はあるのか
ダウン症とは、人の21番染色体のトリソミー(生物の正常な染色体に加えてさらに1本の染色体があること、つまり通常2本のものが3本あること)から起こる症候群です。
ネット上にはダウン症ではないかと思われる動物、犬、猫、チンパンジー、虎、猿などの写真がありますね。
ダウン症の身体的な症状に、目が二重でパッチリして少しつり上がっている様子、顔全体がなんとなく平らに感じる様子など共通した特徴がありますが、そのような身体的な症状が似ている動物がダウン症なのではないか?と考えられています。
先にも述べましたが、犬も含めて他の動物は、人と染色体構造が異なっています。どの生物にももちろん染色体異常は起こり得ますが。遺伝情報が違うのでどの動物も人と全く同じダウン症の症状を表すことはないと言えます。
例えば、人と似ているチンパンジーは遺伝的に近いように思われていますが、人は22対の常染色体に対してチンパンジーは23対の染色体です。京都大学霊長類研究所のチンパンジーのカナコは、1歳の時両目が白くなり始め白内障になりました。心臓の異常もあったことから染色体の検査をしたところ、22番染色体が3本ある染色体異常が見つかりました。これは人のダウン症で見られる特徴に似ていて、この異常は人間のダウン症に相当するというということですが、人の染色体異常と同じダウン症ではないということです。
ダウン症と関係のある染色体はチンパンジーでは22番染色体になりますが、人は21番染色体に異常が起きている場合をダウン症と言います。異常を起こしている染色体の番号が異なりますので、染色体が1本多いトリソミーではありますが、人の病気のダウン症とは異なります。
遺伝子検査が身近になった今、ゲノムという言葉を聞いたことがおありでしょうか?
ゲノムとは、ある生物がもっている遺伝情報を総称した言葉です。人の遺伝情報は「ヒトゲノム」といいますが、犬を含めてあらゆる動物や植物にもそれぞれ独自のゲノムがあります。
ダウン症に似た身体症状を示す動物がいることは確かですが、別の遺伝子の異常もしくは全く別のことが原因の疾患だということではないでしょうか。
まとめ
ネット上では、ダウン症に似ている症状を示す虎、猫、犬、チンパンジーなどの画像を見かけますが、調べてみると、ダウン症の身体的な症状に似ていたり、心臓疾患や白内障の様子が人のダウン症が示す症状と似ていたりします。
しかし、人とその他の生物の遺伝子構造が全く違う事から、犬も含めて他の動物の中にもダウン症に相当する疾患があるのではないかと考えることができます。しかし、はっきりしない部分も多いので違うのではないかとういう推測になります。
遺伝子の異常によって疾患をもって生まれてくる動物は犬も含めているので、障害を持って生まれた彼らにも少しでも元気よく暮らせるように、少しずつでも動物医療も進歩したらいいなと願っております!
ユーザーのコメント
女性 EHA
いたからです。記事にもありましたが、よく考えると人間の持つ染色体と犬の持つ染色
体は違うので、ハッキリと「ダウン症」というものにはならないのでしょう。また、
「染色体」というもの自体が、とても不思議ですよね。今後もこのような面白くて役に
立つ記事が読みたいと思います。