老犬介護施設とは?
「一般社団法人ペットフード協会」が平成25年度に実施した「全国犬猫飼育実態調査」によると、この数年で犬・猫の平均寿命が2歳程(人間年齢で計算して)伸びているとの調査結果が出ています。
しかも全飼育数の約25%が10歳以上の高齢犬であるという驚きの結果に。
医療の高度化、ペットフードの改良等により、犬の高齢化はさらに伸び続ける事が予想され、愛犬家にとっては喜ばしい事ではあるのですが、その反面「シニア犬の介護問題」を抱えるペットオーナーが続出しているのが現状です。
また、飼い主世帯も高齢者となれば、問題はさらに深刻になります。
その対策として、この数年日本中に老犬介護施設がオープンし、その数は年々増加しています。
「我が家は終身飼い続けるから大丈夫!」
と考えるペットオーナーも、
「もし私が病気になったら・・」
「転勤でペットが飼えなくなったら・・」
等、様々な不安が残るのも現実ではないでしょうか?
老犬介護施設「老犬ホーム」のキーワードで筆者が最初に思い浮かべるのが、昭和53年世界の盲導犬施設でも初めて老犬介護施設を設置した「北海道盲導犬協会」です。
盲導犬としての役目を終えた老犬に、ゆっくりと楽しく暮らして欲しいと言う思いのもとに老犬介護施設が設置され、ボランティアの助けを借りながら運営されています。
愛犬家としてパートナーを最後まで看取りたいとの思いは、家庭の一員である愛玩犬に対しても同じですよね。
ですが海外赴任、飼い主の高齢化や病気、痴呆症の犬の介護疲れ等、様々な事情によりどうしても飼育出来ない時、老犬介護施設「老犬ホーム」はとても助けになる施設です。
老犬介護施設はどんな事をしてくれるの?
個人経営の小さな施設から、大手の企業が経営する大規模な施設、閉鎖したホテルをホームに改装した施設まで規模は様々です。
比較的元気なワンちゃんは、お散歩・トリミングから食事の世話を、そして寝たきりや病気を抱えている犬の場合は、トイレの世話から床ずれ対策、流動食の準備まで専門のスタッフが世話をします。
そして動物病院等と連携し、病気・ケガなどに対応している施設が多いですね。
老犬介護施設でどれくらいの期間預かってくれるの?
1ヶ月の短期から終身まで期間は様々ですが、基本的に高齢犬を対象にしているので、年齢制限のある施設も。
老犬介護施設での費用は?
老犬介護施設に預ける期間によって、また犬の大きさによって費用も大きく違ってきます。さらに大手企業が経営する大規模な施設から、数匹だけを預かる個人的な施設まで、その規模によって1ヶ月数万円から十数万まで。またほとんどの施設で、初期費用と病気に対応するための費用が必要となります。
さらにスタッフの人数や部屋の冷暖房等の設備、ドッグランの有無等、生活環境面と費用は比例して高くなっているのが現状です。
老犬介護施設の抱える課題
上記でご紹介したように、犬の介護施設は全国に広がりを見せていますが、私達がどうしても施設を利用しなければならない立場になった時、何を基準にして老犬介護施設「老犬ホーム」を選択すれば良いのでしょうか?
老犬介護施設はまずご自分の目で!
家族の一員であるパートナーを預けるのですから、まず老犬介護施設を訪問されて、ご自分の目で確かめられる事が大切です。
色々なサービスを提供している施設がありますが、パンフレット等に書かれた内容だけを鵜呑みにするのは避けたほうが良いでしょう。
納得出来るまで老犬介護施設「老犬ホーム」の責任者と話を!
もちろん多くの老犬介護施設は「愛犬家としての愛情を持って」犬の世話をしてくれますが、中には
そうでない施設も無いとは言い切れません。「ここなら大丈夫」とご自分の納得がいくまで責任者から説明を受けて下さい。
平成25年度に動物愛護管理法が8年ぶりに改正・施行されました。
1973年に施行されて以来3回目の改正で、犬・猫等の動物を守る法規制もやっと動き出しました。
その中に長期的に動物の世話をする事を商売とする「老犬・老猫ホーム」についても記述があります。
つまり販売業者だけでなく老犬介護施設も、対象になっているという事です。
ところが「老犬・老猫ホーム」と看板を出していても、一時預かりのペットホテルとしての認可を受けているだけの施設があるのも現状です。
これではもし施設が経営難に陥ったとき、入所しているペットの命が軽視される、最悪の事態も起こりかねないのでは?と懸念されています。
まとめ
日本の高齢化社会に生きるパートナー達は、自らの高齢化の問題も抱えています。その点から考慮すれば老犬介護施設は愛犬たちを守る最後の砦になるのかもしれません。
そうなるためにも老犬介護施設の開設に対して、健康管理・飼育環境等のより詳細な法整備が必要なのではないでしょうか?
また現在老犬と暮らす筆者も、もし施設利用が必要になった時、安易な施設選びをしない事が大切なのだと痛感しています。
ユーザーのコメント
女性 aoi
飼い主と同時に愛犬も長生きできるようになってきました。もし飼い主がご高齢の方なら、残された愛犬のことを思うと、老犬ホームという施設はとてもありがたいものなんだと思います。
ですが、老犬になると病気を持つ子が多いと思います。治療費や環境などにも配慮が必要になるため、生涯預けるとなると利用料金は150万近くかかってしまいます。
先日もニュースになりましたが、ペット霊園の急な閉鎖のように、経営者の都合で残されたペットもないがしろにされてしまうことも考えられます。預けることで必ずしも安心できるかどうかは自分で見極め判断しなくてはなりません。
個人的には、「高いお金を出しても預ける」ではなく「高いお金を出すくらいなら自分の家で看る」という人が多くなればいいなと思います。
40代 女性 momo
女性 ぽんぽん
お金もかかる施設でしょうね。ですが、お金があればその選択があるというのもなんとも複雑です。たしかに老犬介護は大変だと思います。ですが、飼い主と愛犬の間で、飼い主のできる限りの愛情で看取ってあげることが一番大切なのではないでしょうか。それはそれぞれの環境やできることの限りもあると思いますのでこうでなければいけない、というお話ではもちろんありません。
ですが、犬を飼い始めるのは人間です。犬の寿命もわかった上で飼うことを決断するのが人間なのになぜこの問題が起きるのかがわかりません。飼い主同士の交流の場や、悩むことがあったときに相談することは必要だと思います。ですが、どんな状況になっても、もっとこうしてあげていらと後悔することがあっても、私は自分の犬は自分で看取りたいです。
女性 ゆかり
しかし、です。
近年の日本では、自身の祖父母、あるいは年老いた両親を施設に預けること、そこが終の棲家になっているという現状は、どう考えるのか。また、重度の障害を持った子ども達の多くが、成人する頃には親元を離れ、特別な病院や施設、寮で暮らしているという現状は?
人間と犬を一緒に考えるのはナンセンスだとお叱りの声もあるかもしれませんが、自分の血がつながった肉親に対しても、色々と難しい側面、事情があるもの。理想を頂くのは大切なことですが、綺麗事ばかりでいかないものではないでしょうか。
ペットショップ、霊園、ブリーダー、ドッグフードメーカー、そして老犬介護施設等々、命を粗末にしビジネスに走る残念なニュースを耳にする機会が多い今日この頃、余計に抵抗感が生まれるのも仕方がないのですが、ペット先進国にある"ティアハイム"そのままは日本文化にそぐわない点があると思いますが、日本人の価値観や宗教観に見合った、"最後の砦" 的な場所が、人間のためにではなく、犬のためにできる日がくるといいなと願っています。
30代 女性 てとめろ
50代以上 女性 匿名
もちろん自分は終生一緒に暮らすんだと思ってる飼い主がほとんどだと思いますけれど、
高齢者ではなくても、若くても、自分がぜったいに病気をしないという保証はなく、
そのときに犬たちをどうしたらいいのかという問題に直面しないという保証はありません。
50代以上 男性 匿名
人生いろいろあります。仔細あって男一人の今、仕事ある身では限界があり、泣く泣くお願いしました。痩せたけどふかふかのあの子の頭を撫でることを思い出すと、涙が出ます。だれもが金で安易に預けるとは考えないでいただきたい。