江戸時代に伊勢神宮ブームが巻き起こった!?
三重県といえば、1番に伊勢神宮を思い浮かべる方も少なくはないでしょう。それは、江戸時代の人々も同じだったようです。
古くから、伊勢神宮は”日本人の心のふるさと”とされてきました。特に、江戸時代は伊勢神宮ブームが巻き起こり、多いときは日本人の6人に1人がお参りしたともいわれています。
江戸時代の人々は、伊勢神宮へ参拝に行くことに強い思いを抱いていました。そのため、仕事を抜け出して参詣に行く奉公人や、親に内緒で参詣する子どもが多かったそうです。このように、コソコソと陰に隠れてお参りに行ったのが「お蔭参り」の由来だといわれています。
「おかげ犬」を知っていますか?
「いざ、江戸から伊勢神宮まで!」とは言っても、江戸時代には車や電車はありません。そのため、ひたすら歩いて伊勢神宮を目指します。それは、なんと片道400kmを超える距離。日数にして15日間を要する、それそれは大層な旅だったのです。
お金も時間もかかりますし、歩ける体力も必要になります。病気や年齢のため、行きたくても行けない人が大勢いました。
そんなときに現れたのが「おかげ犬」です。
どうしても伊勢神宮へお参りに行きたいと願った主人は、愛犬に代理でお参りに行ってもらおうと考えました。
主人は、お金の入った袋を犬の首にをぶら下げて送り出します。おかげ犬を見かけた人は、犬の首にぶら下がっていたお金の中からエサを買い与えたり、宿に泊めてあげたりして、お世話をしたそうです。
おかげ犬からお金を盗もうなどと考える不届き者は、ひとりもいなかったそうな。反対に、ご主人に奉公するおかげ犬を称え、お金を入れてくれる人もいたそうです。それだけ江戸時代の人は、伊勢神宮への信仰が強かったのです。
おかげ犬のお話は、これで終わりではありません。初めは知り合いに愛犬を託し、同行させていたようですが、そのうちに犬だけで伊勢神宮までたどり着いたというケースが出てきました。犬はキチンとお伊勢でお札を買い、再びご主人の元に帰ったというから驚きです。
歌川広重の浮世絵にも描かれている!
ここで気になるのは、「おかげ犬は実在したのか」ということではないでしょうか?
その答えは、江戸時代の浮世絵師である歌川広重の絵を見れば一目瞭然です。歌川広重の作品のひとつである『伊勢参宮宮川渡しの図』には、首にお札を携えた白いおかげ犬がはっきり描かれているのです!
また、福島県須賀川市の「十念寺」には、松尾芭蕉の句碑と一緒に、おかげ犬”忠犬シロ”のものとされる犬塚があります。
愛犬とともにお伊勢参りに行きませんか?
おかげ犬のお話をポケットに詰め込んで、愛犬と一緒にお伊勢参りに行きませんか?
お伊勢さんは、途中までならワンコと一緒に入ることができますし、伊勢神宮の近くにはペット可のお宿もあります。ただし、本殿で一緒にお参りをすることはできないのであしからず。その代わり、ワンコは「衛士見張所(えしみはりじょ)」で無料で預かってもらうことができます。
お伊勢参りの帰りには、おかげ犬サブレや手ぬぐいなど、伊勢お土産もお忘れなく。
まとめ
今回は、江戸時代へタイムスリップし、心がほっこり温まるおかげ犬のお話をご紹介しました。いかがでしたか?
ご主人さまに代わって伊勢神宮へ向かうおかげ犬は、どのような景色を見ながら先を急いだのでしょう。道中では、美味しいものをご馳走してもらったり、温かいお布団を用意してもらったのかもしれません。
その証拠に、歌川広重が描く浮世絵の中のおかげ犬は、どこかいきいきして見えてきませんか?
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女性 シャンティママ