犬との登山は賛否両論!?
登山ブームも相まり、犬を登山へ連れていく飼い主さん、登山へ連れていきたいという飼い主さんが増えています。いつもと違う自然環境に身を置くことはリフレッシュにもなりますが、犬同行の登山には気を付けたいことも多くあります。
実際に犬を登山へ連れていくことに対しては賛否両論あります。まずはどういった反対意見があるのかを知りましょう。
- 犬が苦手な登山者の存在
- 生態系への影響
反対意見は大きく分けてこの2つが挙げられています。まず「犬が苦手な登山者の存在」についてです。これは街中でも同じことが言えますが、世の中、全員が犬好きとは限りません。どうしても犬が苦手な人、嫌いな人はいます。登山道は狭く、すれ違う距離もとても近いです。譲り合って道を通る必要がある場合もあります。そんな登山道で犬が苦手な人と犬が出会ったらどうなるでしょうか。そもそも不快な思いや怖い思いをさせてしまうだけでなく、犬に驚いたり怖がったりした登山者が転んだり滑落してしまう危険性もあります。特に狭い登山道だからこそ、こうした犬が苦手な登山者の存在には配慮が必要になってくるのです。
次にあげられる「生態系への悪影響」について、これは犬が入山することで野生生物の環境を破壊してしまうといった意見です。犬が踏み荒らしたり、糞尿を残すことでこういった悪影響がささやかれています。しかし、実際の科学的な根拠は明確ではありません。人間がよくて犬はダメというのはどうなのか、という意見もありますし、古くは狩猟犬は入山していたという歴史もあります。
生態系への悪影響については明言はできませんが、犬の入山については、その山の管理者の範疇によって決められるものです。嫌がる人がいることを前提として、犬を入山させる場合は犬の入山が許可されている(もしくは許可などは特にない)山なのかどうかを確認するようにしましょう。
犬を登山に連れて行くときに考えたい危険性
犬を入山させることについては賛否両論ありますが、実際に犬を連れていく場合、犬に危険がおよぶ場合があります。次に犬を登山に連れて行くときに考えたい危険性を3つご紹介します。これらの危険性もよく知ったうえで入山の判断をしましょう。
1.事故
- 岩場での事故
- 水場での事故
登山に事故はつきものです。人間一人でも、自分の命を守ることに最善を尽くす必要があります。例えば岩場や水場は事故を起こしやすいことが考えられます。岩場を歩き回るのは人間も大変ですが、犬の足には不向きだといわれます。人間であればよじ登れる鎖場であっても犬には登れない場合があります。また、水場では足が取られる危険性もあります。つり橋も犬にとっては怖い場所になり得ます。
これらの人間でも慎重になるような場所に犬を連れていく場合、飼い主さんは自分の命を守るだけでなく、愛犬の命も守る必要があります。そのため登山コースの選択には慎重になりましょう。必ず飼い主さん自身が行ったことがあり、犬に危険が及ぶようなコースがない場所を選択するようにしましょう。
2.体調不良
- 低山での熱中症
- 水分不足
- 下痢
- 虫刺され
山はいつもの散歩コースとは異なります。低山は気温が高くなりやすく、犬が熱中症になる可能性があります。また、いつも以上に体力を使うため十分な水分がないと水分不足に陥ってしまいます。山の水を飲んで下痢を起こす可能性もあります。蜂やブヨなどの刺されてしまうこともあるかもしれません。
こういった体調不良に陥った時、地上であれば動物病院へもすぐに連れていくことができますが、山ではそうはいきません。自力で下山し、処置はそれからになります。これらの体調不良が起きた時の危険性も考慮し、万全の対策をしておく必要があるでしょう。
3.山中での迷子、遭難
飼い主さんにとっても怖いのは山中で迷子になることではないでしょうか。山の中にいた動物を追いかけたり、雷などの天候に驚いて迷子になってしまうということはよくあります。
万が一、山中で迷子になった場合、体につけていたリードが気に引っかかり身動きが取れなくなることもあるでしょう。そうしている間に他の動物に襲われてしまう場合もあるでしょう。遠い山へ出かけていた場合、何度も通って探すことは難しいかもしれません。はぐれたまま二度と会えないなんて悲劇も起こり得ます。
また、人間も細心の注意を払わなければならないのが遭難です。どんなに低山でも一度ルートを見失うと遭難してしまう可能性は十分にあります。事故を防ぐのと同様に、遭難しないためにも事前にしっかりとした準備が必要です。
登山に連れて行くときはルールを守ろう
登山に連れて行くときには、最低限のルールも守りましょう。
- 登山道以外へ侵入しない
- 糞尿の後片付けをする
- リードの装着をする
登山道は決められています。これは山の生態系を守るためにも必要なことです。犬なら、1匹くらいなら大丈夫と考えずに、決して登山道以外には侵入をしないようにしましょう。また、登山道以外への侵入は遭難も招きますので注意が必要です。
糞尿の後片付けにも注意を払いたいものです。糞尿は土に還るから大丈夫と放置してしまう人がいますが、場合によっては生態系へ悪影響となったり、糞尿が理由で入山が禁止される可能性もあります。糞は散歩と同様に持ち帰り、尿は水でしっかりと流すようにしましょう。
また、迷子の防止や他の登山客への配慮のためにもリードの装着を行いましょう。犬が好きな人ばかりではありません。突然走り出す場合もあるでしょう。犬自身の危険や他の人へも影響することですので、リードの装着は必ず行うようにしましょう。
まとめ
私自身も登山をするため、山へ愛犬を連れて行きたいなと考えることもあります。しかし、周りの登山客への影響や、そのほかの危険性を顧みた結果、私は犬を連れて行くことはありません。
登山をされる方のレベルや山の状況、犬の種類にもよると思いますが、ぜひその危険性も考慮したうえで、最良の選択ができることを願っています。