ルアーコーシングってなに?
ルアーコーシングは英語で「Lure Coursing」、「Lure」は疑似餌を意味し、「Coursing」は走る、狩るという意味です。
広い野原でウサギなどの小動物をサイトハウンド(視覚を頼りに獲物を捕らえる犬種)に追いかけさせて、速さや判断力、耐久力などを競うアメリカのドッグスポーツ「コーシング」が起源となっています。
本物の獲物を使うことを禁止され、現在では、ルアー(偽の獲物)を使い、犬に追いかけさせて捕獲させます。ルアーはワイヤーにつながれており、電動モーターで巻き取りながら高速で移動します。
コースの距離は、団体やレベルによって異なりますが、国内では100m前後のコースが多く、長いものでは約900mの距離を競い合います。
ルアーコーシングに向いている犬種
ルアーコーシングの起源であるコーシングは、サイトハウンドをウサギなどの小動物を捕獲する競技でした。そのような背景から、ルアーコーシングの大会でもサイトハウンドを中心にエントリーしています。
現在では、サイトハウンドだけでなく、どんな犬種でも楽しめるものになっており、良い成績を残している犬も多くいます。
走力に優れたサイトハウンドが得意な競技
ルアーコーシングは、走力に優れたサイトハウンドに向いているドッグスポーツです。サイトハウンドとは、視力が優れ強靭な足腰を持つことから、獲物を追って捕らえる仕事を与えられた狩猟犬のことです。
それでは、ルアーコーシングに向いているとされる犬種を紹介します。
ボルゾイ
サイトハウンドの中でも有名な犬種です。「ボルゾイ」という名前は、ロシア語で「俊足」を意味し、その名の通り、速さは時速50㎞を超えると言われています。
性格は物静かで穏やかで、人にも懐きやすい犬種です。
アイリッシュ・ウルフハウンド
サイトハウンドの中でも体の大きな犬種で、100cmを超える個体もいて、2本の足で立たせた場合、2mもの高さになるものもいるようです。
大きさだけ見ると少し怖い印象を受けますが、性格は穏やかでとても優しいです。
アフガンハウンド
長く美しい毛が特徴のエレガントな雰囲気の犬種ですが、人が追いつかないほどの俊足をもち、ジャンプ力も優れています。性格は、自立心や独立心がありマイペースです。
サルーキ
スラっとしたスリムな脚、長くたくましい首、ポニーテールのような大きな垂れ耳が特徴の美しい犬種です。並外れた運動能力があり、活発で走ることが大好きです。
賢くて学習能力も高く飼い主に忠実ですが、警戒心も強いです。
イタリアングレイハウンド
「イタリアングレイハウンド」という名前の通りイタリア原産の犬種で、略して「イタグレ」と呼ばれています。
サイトハウンドの中で最小の大きさですが、動きは俊敏です。スレンダーで美しいボディ、「プロペラ型」と呼ばれる耳、大きな瞳が特徴的です。優しくて好奇心旺盛な性格で、飼い主には忠実に従います。
「IGLE イタグレ・ルアーコーシングを楽しむ会」によって、イタグレ限定のルアーコーシングの大会も開催されているようです。
ウィペット
引き締まった力強い筋肉、美しくスラっとしたボディラインが特徴の犬種です。最高速度を一気に出すことのできる加速力と俊敏さは、他の犬種とは比べ物にならなりません。
警戒心の強い性格ですが、おとなしくて滅多に吠えることはありません。飼い主には献身的で、愛情深く育てることで、深い信頼関係を築くことができます。
サイトハウンド以外の犬種でも楽しめる
ルアーコーシングは、サイトハウンド向けのドッグスポーツですが、今では、大会や競技によってさまざまなレギュレーションが設けられているため、走ったり追いかけたりするのが好きで、健康的な犬なら犬種を問わず挑戦することができます。
例えば、ミニチュアピンシャー、パピヨン、ポメラニアン、柴犬なども参加しています。
ルアーコーシングはどんな場所でできる?
ルアーコーシングは、その性質上ある程度広さがあり、犬をフリーにしても問題がない場所でしか行うことが出来ません。また、コースを作ったり、ルアー装置の設置が必要だったりと個人的に始めるのはなかなか難しそうです。
日本国内でも少しずつ広まりを見せており、ルアーコーシングを取り入れているトレーニングスクールや、ルアーコーシング専門のクラブ、サークルなどもいくつか出来ています。
インターネットなどでも調べることが出来るので、始めてみたい方はチェックしてみて下さい。
犬がルアーコーシングを行うメリット
ルアーコーシングは、犬を体高別にクラスを分けて、ルアーを追いかけて走らせるドッグスポーツです。速さ、機敏さ、判断力、持久力を競い合います。
犬は、広いフィールドで思いっきり走ることができます。また、飼い主さんにとっても、愛犬のうれしそうな姿を見られて、喜びを感じることができます。
その他にも、犬がルアーコーシングを行うことでさまざまなメリットがあるので、具体的に紹介します。
犬の狩猟本能を刺激する
犬本来が持つ狩猟本能を刺激して、愛犬が全速力で走り、躍動感と迫力あふれる姿を見ることができます。獲物を追って捕獲するという本能が満たされて、犬にとって心身ともに充実した時間になるでしょう。
体が鍛えられ健康促進につながる
ルアーコーシングでは、犬が全速力で走ることができるため、体が鍛えられ足腰が強くなります。また、本能的な刺激を受けることで、健康促進につながり、若々しさを維持することができます。
集中力が身につきしつけにも役立つ
ルアーコーシングは、周りを気にせずに集中してルアーを追いかけることに喜びを感じるので、物事に対する集中力が自然と身につきます。そのため、しつけを行う際にも集中してできるようになります。
飼い主も充実感を得られる
愛犬が真剣に全速力で走り、身体能力や狩猟本能を発揮できることに喜びを感じている姿を見て、飼い主さんにとっても充実した気分を味わうことができます。
犬のルアーコーシングの練習方法
ルアーコーシングのメインは走ることなので、ドッグランなどで走ることに慣れている犬なら問題はないでしょう。しかし、普段、思いっきり走る機会がない犬の場合は、ルアーコーシングを始める前に、体力をある程度つけておく必要があります。
また、ルアーを最後まで追いかける必要もあるので、ルアーを好きになって捕まえさせる練習も大切です。それでは、犬のルアーコーシングの練習方法を紹介します。
犬にルアーの追いかけ方や走り方を練習させる
ルアーコーシングの練習の目的は、ルアーに興味を持って追いかけさせることと、走るスピードを上げることです。
まずは、ルアーをゆっくりと動かして、犬に捕まえさせます。追いかければ獲得できることで、楽しさやうれしさを感じさせるのです。
次に、スピードを上げる走り方を身につけさせます。ルアーを追うことに集中していないと、あごが上がってしまいスピードもアップしません。集中させるためには、走っている途中でルアーを捕獲させるなどして、ルアーに夢中にさせましょう。
体が沈んでルアーに顔が近づかせ、あごが下がった姿勢ができるようになると、自然と前へ前へと進むようになります。そして、タイムをどんどん縮めることができるのです。
個人でやるより練習会への参加がおすすめ
ルアーコーシングの大会は、ルアーをワイヤーにつなげて電動モーターで巻き取ることで犬から遠ざけ、それを追いかけさせる競技です。本格的な練習を行いたい場合、広い土地と専用のマシンが必要になります。
ただ、犬を思いっきり走らせる広い場所を確保したり、専用マシンを自作したりするのは大変なので、大会と同じような環境で練習するのはかなり難しいしょう。
しかし、練習をあきらめる必要はありません。ルアーコーシングの練習や体験ができるイベントを開催している団体も多いです。無料で参加できる団体もあるので、やり方やコツをつかむためにも、これらのイベントに積極的に参加すると良いです。
練習会の詳しい情報は、団体によって異なるので、ホームページやSNSなどでチェックしてみてください。また、それぞれの団体でルールや注意事項が決められているので、しっかりとよく確認してから参加しましょう。
それでは、ルアーコーシングの練習会や体験会を開催している代表的な団体を紹介します。
CLCC 千葉ルアーコーシングクラブ
千葉で10年以上続いているコーシングクラブです。アットホームな雰囲気で、スタッフもベテランの方が多く、コーシングに関する悩み相談にも乗ってくれるので、安心して参加できます。
TLCC 東北ルアーコーシングクラブ
秋田県にあるルアーコーシングクラブで、日本で唯一常設のルアーコーシング会場がありあます。オーバルのコースで、多頭レースも行われています。
IGLE イタグレルアーコーシングを楽しむ会
イタリアン・グレーハウンドのためのルアーコーシングを開催しています。さまざまなカテゴリーがあって、参加するイタグレとその飼い主さんを楽しませてくれます。
GALCC GarageAndy LureCoursing Club(ガレージアンディルアーコーシングクラブ)
ウィペットを中心に、愛犬と一緒にドッグスポーツやルアーコーシングを楽しむために活動している仙台のクラブです。
KLCC 関西ルアーコーシングクラブ
関西にルアーコーシングを広めるために活動しているクラブです。誰でも気軽にルアーコーシングに参加でき、愛犬と飼い主さんが楽しく充実した時間を過ごせます。
BLCC Buzz Lurecoursing Club
関東を中心として、ルアーコーシングの記録会や大会を行っているクラブです。ルアーコーシングが初めての犬たちのための練習会も定期的に行っています。
ドッグスポーツプロダクションTHE NPA 東北支部
ルアーコーシングを行う団体の中でも知名度の高い団体です。競技者向けのエキスパートクラスだけでなく、ビギナークラスも用意されているので、初心者の犬も安心して参加できます。
慣れてきたら大会に参加して楽しもう
練習会に参加してルアーコーシングに慣れてきたら、団体が開催している大会に参加してみましょう。
大会に参加するには、各団体へのエントリーを行う必要があります。大会によって参加資格が異なるので、事前によく確認しておきましょう。提示されている参加資格を違反した状態で出場すると、失格となってしまうので十分に気を付けてください。
参加料金も各団体によって異なります。また、エントリー料や入園料、駐車場代が必要になる場合もあるので、こちらもよく確認しておきましょう。
大会ではランキングが出るので、愛犬と飼い主さんのモチベーションも上がり、次は「優勝を目指そう」と目標もできます。
犬とルアーコーシングを行う時の注意点
ルアーコーシングは、専用マシーンで高速に引っ張られるルアー(疑似餌)を全力疾走で追いかけるドッグスポーツです。本来、犬は走るという行動を得意とし、それに特化したドッグスポーツなので、犬の筋肉にも良い効果がもたらされると言われています。
しかし、犬の本能を刺激して全力で走るルアーコーシングは、どうしてもケガや他の犬とのトラブルを起こす可能性があります。愛犬にかわいそうな思いをさせないために、未然に防げることはできるだけやっておきましょう。
犬と人間のケガのリスクを減らす対策は必須
ルアーコーシングで起こる、犬と人間のケガのリスクを防ぐ方法を紹介します。犬を思いっきり楽しませてあげるために、しっかりと準備しておきましょう。
実際にケガをしてしまった場合は、すぐに動物病院へ連れて行き正しい治療を受けましょう。また、急に運動をさせるとケガのリスクが高まるので、普段から適度な運動をさせておくことも大切です。
テーピングをしておく
ルアーコーシングのコースには、直線コース、U字コース、8の字コースなど、さまざまなコースがあるので、ルアーを引くためのワイヤーに接触してケガをすることもあります。直線コースでも、走り方や止まり方によっては擦りむくこともあるので、事前にテーピングしておくと安心です。
マズルガードを装着する
ルアーコーシングには、2頭が同時に走るマッチレースもあります。マッチレースの場合は、他の犬との接触やケンカを起こす可能性があるので、事故やトラブルを防ぐためにマズルガードを装着しておきましょう。
爪を短くカットしておく
爪は、走る速度を上げたり止まったりする際に重要な部位です。ルアーコーシングで勢いよくゴールに突っ込むなどして、爪が割れてしまうこともあるので、事前に爪を短くカットしておきましょう。
リードを装着する
どんなにしつけされている犬でもリードを装着していないと、事故に遭ったり他の犬や人に飛びついてケガをさせたりしてしまいます。コース以外でのノーリードを禁止している団体がほとんどなので、必ずリードを装着してください。
足腰の病気を抱えている犬は避ける
ルアーコーシングは全速力で走る激しいドッグスポーツです。足腰に病気を抱えている犬は病気を悪化させてしまう可能性があるので、残念ながら参加できません。
子犬は参加できない
犬種によって異なりますが、生後10ヶ月くらいまでの子犬の身体は成長途中です。骨格や筋肉を保護するため、ルアーコーシングは参加できない場合がほとんどです。
なお、各団体によって参加条件が異なるため、よく確認しておきましょう。
ルアーコーシングの基本は犬と共に楽しむこと!
ルアーコーシングはシンプルなドッグスポーツですが、犬本来の本能を引き出すのに最適です。美しいスタイルや歩き方を見せるドッグショーも良いですが、本能のままに全力疾走する犬たちの華麗な姿には感動させられます。
「興味はあるけど、愛犬がちゃんと走れるか心配…」という飼い主さんも多いでしょう。ルアーコーシングが初めての犬でも気軽に参加できる体験会や練習会を開催している団体もあるので、気軽に参加してみてください。
犬も最初は不安ですが、広いところで思いっきり走ることで本能が刺激されて、これまで見たことのない愛犬のうれしそうな姿を見られるかもしれませんよ。
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