よくある悩み「ドッグランで落ち着いて遊べない」
愛犬をドッグランに連れて行ってみたものの、他の犬に尻込みしてしまったり、極端に怯えて入ろうともしないとなると、良かれと思って連れてきた飼主は落胆するものです。愛犬には、せっかくのドッグランで他の犬達と思いっきり遊んで欲しいと思うものですよね。
一体なぜ、このようなドッグラン嫌いになってしまうのでしょうか。
社会化の欠如が原因となる
ドッグランで他の犬を怖がったり、攻撃的に振る舞ってしまうのには、社会化が上手くいっていない事が原因として挙げられます。
社会化とは、仔犬の頃からたくさんの犬や人に触れ合う事で、犬や人の存在に馴れることを指します。この社会化は仔犬にとって大切な経験となり、そこで馴れることができないと、成犬になっても他者を怖がるようになってしまいます。これ故に獣医師や行動学者などは、仔犬の頃の社会化は重要だと指摘しています。
通常、ペットショップなどの仔犬は離乳した直後に出荷されてしまい、親犬や兄弟犬達と触れ合う事ができません。そして飼主が決まった仔犬は最低でも2回目のワクチン接種が終わるまで(生後3ヶ月)の間、家から出ることができないので、他の犬に触れ合うこともできません。このような状況では、仔犬は他の犬や他人に関わることがないまま、3ヶ月まで成長してしまいます。
犬の社会化は産まれて直ぐに始まり、4段階の臨界期があります。最後の臨界期は生後12週(約3ヶ月)~16週(約4ヶ月)で終わるとされています。これを社会化の臨界期(最近では感受性期とも言う。)と言います。
この期間にしっかりと社会化ができないと、その後の一生に影響する可能性が高くなります。2回目のワクチン接種が生後3ヶ月なので、社会化の臨界期の終了間際に散歩に連れ出す事になり、大事な社会化期を逃してしまうのです。
生後3ヶ月ほどの仔犬となると、社会化の臨界期を迎えて、外界に対して警戒心が強くなってきます。こうした時期に散歩デビューすると、あらゆる外的な刺激に警戒するようになります。こうして他の犬や他人が苦手な犬が出来上がってしまうのです。
社会化の臨界期を迎えてからでも遅くない
一般的に、社会化の臨界期を超えて他の犬や他人に慣らすのは困難だとされていますが、適正な対応を取れば、あらゆる環境に馴れさせることができます。しかし、この場合では時間がかかってしまいます。これはその犬の気質や、外的な刺激に対してどの程度怯えるのかによっても変わります。このような環境に慣らす事を馴化といいます。愛犬がドッグラン嫌いなら、他の犬や他人と積極的に関わって馴化をさせてあげましょう。
愛犬のドッグラン嫌いを克服する方法
他の犬や他人に馴れさせる
日頃から、散歩の道中で会う人や犬と挨拶をしましょう。
飼主から挨拶をして、犬同士も挨拶をさせます。犬同士で喧嘩をするなどで挨拶が困難な場合は、飼主同士の立ち話に付き合わせるだけでも良いでしょう。
いつもの散歩コースで会う犬達と積極的に交流する練習を行なうことで、他の犬や他人に対しての馴化が進みます。最初は、ただその場でじっとしているのが精一杯な犬でも、段階的に慣れてくれば、リラックスして過ごせるようになります。
ドッグランの雰囲気に馴れさせる
いつもの散歩コースで他の犬や他人に慣れてきたら、ドッグランに行ってみましょう。
ドッグランに着いて怯えるようなら、ドッグランの外で飼主はどこかに座り、愛犬と一緒にじっとして時間を過ごします。こうしてドッグランの雰囲気に馴れさせます。この日はこれだけで充分です。最初は短い時間から初めて、数日かけて徐々に時間を伸ばしていきます。
ドッグランの中の雰囲気に馴れさせる
ドッグランの側に来ても、愛犬が動揺しないようなら中に入ってみましょう。ドッグランの入場には犬社会のルールを守る必要があります。
詳しくは私の動画をご覧ください。
ドッグラン入場時の注意事項
- ゲート前で止まり、入らずに先にいる犬達が寄ってくるのを待つ。
- 柵越しに犬同士の挨拶をさせる。
- 挨拶が終わり、先にいた犬達がゲートから離れていったらゆっくりと入場する。
- 周囲の安全を確保して、犬が穏やかな様子な時にリードを外す。
上記のように、まずは柵越しに他の犬達と挨拶をさせることで不意な喧嘩を防げます。万が一、相性の悪い相手に会っても柵越しなのでだれも怪我はしないでしょう。相性の悪そうな犬が先にドッグランにいたのなら、この日は諦めて次回に期待しましょう。また、ゲートを超える前でドッグランの中の雰囲気に怖気づいていそうなら、最初のステップに戻ってやり直します。
入場が上手くいったらリードを離します。この際には愛犬への観察を怠らないようにしましょう。何かトラブルが起こりそうな予感がしたら、愛犬を呼び戻して状況を回避し、戻って来た犬を褒めましょう。
最初はドッグランに入って数分で出ます。これも徐々に滞在の時間を伸ばしていくことで犬に負担をかけることなく馴らすことができます。
そもそもドッグランのマナーが守れていないケースが多い
ドッグランでのトラブルの多くは、先述した犬社会のルールを無視したり、ドッグランを散歩や運動の代用に使うことが原因です。ドッグランに連れて行く前には、しっかりと散歩を行って、運動をさせてからドッグランに入るのがマナーです。
散歩や運動ができない状態でドッグランに連れていけば、犬が興奮するのは想像しやすいと思います。
反対に散歩と運動でエネルギーを発散できている犬は、ドッグランに入っても穏やかでハッピーに過ごすことができます。とはいえ、ドッグランにはこのような欲求不満な犬がいることは仕方がないことです。
また、ドッグランに入って犬のリードを外した後、飼主同士が集まり、お茶会をしている人もいます。
別にお茶会が悪いわけではありませんが、自分の犬の事を監視できていない状況はトラブルに対処できないので危険な行為です。ドッグランで犬のリードを放したら、退場するまでの間は愛犬から注意を反らさないようにしましょう。これらの最低限のマナーは守りたいものですね。
- ドッグランの外や中の雰囲気に徐々に慣らす
- 散歩で発散させた後にドッグランに入ること
- リードを離したら犬をしっかり監視すること
まとめ
ドッグランで上手くやれない犬達は、社会化が不足していると言えます。
普段の散歩から他の犬や他人と多く関わることで、成犬からでも徐々に馴らすことはできます。人の生活環境に置かれている犬は自主的に社会化に取り組むことができません。なので人が責任を持って犬の社会化を行なう必要があります。成犬からでも遅くはないので、しっかりと社会化を促しましょう。
日本でのドッグランのマナーは極めて悪い状態です。このようなマナーの悪さではドッグランの本来の良さが損なわれてしまいます。
ここで飼主は「はたして本当にドッグランに行く必要があるのか」という点も自問する必要があるかも知れません。近所の犬達や他人とでも社交的に振る舞うことができれば、ドッグランに行く必要もなくなるかも知れません。
ドッグランでのマナーが広まり、多くの犬達がドッグランを楽しむためには、我々飼主の意識改革が大切となるでしょう。
ドッグラン嫌いを克服する方法まとめ
- 社会化は成犬からでも遅くない。あらゆる環境に慣れさせよう!
- 飼い主みんながドッグランのマナーを学んでしっかり守ろう!