車酔いとは?
車酔いは「動揺病」と呼ばれ、人間を含め様々な研究が行われてきました。犬も人間同様に車酔いをおこし、愛犬との外出を夢見る飼い主にとって悩みの種となっています。
人間は3歳くらいまでは平衡感覚が未発達のため、車酔いになりにくいと言われています。犬の場合も、生後間もない子犬をペットショップやブリーダーから引き取ったときから吐いて大変だったという話はあまり聞きません。犬がいつから酔い始めるという正確なデータはないものの、平衡感覚が未発達の子犬から車に親しみをもてる生活を心がけてみるとよいでしょう。
なぜ犬は車に酔うの?
犬の耳には、耳石という平衡感覚を保つ石があります。その石の傾きによって自分の身体がどう位置しているのかを脳が認識します。走る車の振動、また走行中の目から入る情報と耳石が感じ取る情報が食い違い、脳に伝わることで自律神経が乱れ症状が出ると言われています。
犬の車酔いの症状
犬の車酔いには以下の症状があげられます。
- 落ち着かない
- 震え
- よだれ
- あくび
- 嘔吐
犬の車酔いの原因3つ
愛犬の車酔いを改善するためには、まず原因を探ることが重要です。もちろんそれが改善されたからと言って、全ての症状が改善されるほど簡単な話ではありませんが、原因を探ることで症状の軽減を期待することができます。
視覚的な要因
愛犬をどのように車に乗せていますか?後部座席にフリーに放し、自由にさせている場合は改善が必要です。四足で立つ犬にとって適度に傾いた人間用のシートは不安定です。車の揺れに必死に抵抗し、大きなストレスになります。
また、走る車の窓から流れるように入る視覚情報が多すぎて脳が混乱をきたす原因にもなります。窓から顔を出す姿に憧れを抱く人も多いですが、あれは車に酔わない犬ができること。残念ですが諦めましょう。
嗅覚的な要因
車内の臭いはどうでしょうか。車の中は臭いがこもりがちで、芳香剤を使用している家庭も多いのではないでしょうか。この芳香剤が嗅覚の優れた犬にとってストレスになっているとも考えられています。その環境で車酔いを発症したことのある犬は、臭いが症状と関連づいて、臭いを嗅いだだけで症状を引き起こす様子が多くみられます。
精神的な要因
愛犬をどのようなときに車に乗せていますか?車酔いをする犬を毎日ドライブに連れていく人はいないでしょう。動物病院へいく、ペットホテルやトリミングへいくなどやむを得ない場合に乗せることが多いのではないでしょうか。車に乗せられて連れていかれる場所が犬にとって苦痛が多い場所では、犬は乗車自体に悪い印象しか抱きません。
犬の車酔いを改善できる対策
リラックスできるようケージに入れて布を被せる
視覚情報を遮断し、落ち着いた空間を確保します。犬がなるべくリラックスできるスペースを作ってあげることが重要です。しかし、車に乗るときだけケージに入れられては効果は台無しです。これには日頃の「ハウス」のトレーニングが欠かせません。
芳香剤をやめ、乗車前の換気で臭い対策
強い臭いの芳香剤は使用を中止し、乗車前にはドアや窓を開け換気をしましょう。エアコンを使わなくても乗車できる季節に慣らしを始めてみるのもいいでしょう。
車の行き先を愛犬が喜ぶ場所に変える
愛犬が喜ぶ場所はどこですか?まずは、短い距離から車の行き先を愛犬が喜ぶ場所へ変えてみましょう。ドッグラン、お友達のワンちゃんがいるお家。特になければ家族に協力してもらい、到着した先に大好きなお父さんが待っていて遊べる!なんて粋な仕掛けも喜ぶかもしれません。車に対して「良いことがおきる」と関連付けることは効果抜群です。
車の中で過ごす時間を設けて慣らす
駐車場に止めた車のドアや窓をあけ、ただ乗車するだけでも続けることで成果が見られるでしょう。抱っこされて車に用意されたケージに入れられるより、犬自身が車内の環境に慣れることも重要です。おやつをあげたり、ボール遊びをしたり、短い時間から飼い主と乗車することの楽しみを覚えさせてあげましょう。
乗車前に適度に運動させる
乗車前は軽い散歩を行いましょう。排泄はもちろん、適度に運動をさせてリフレッシュさせたり乗車中に睡眠を促したりすることができるしょう。
まとめ
犬の車酔いを克服するのに、遅すぎることはありません。実際に筆者は9歳の愛犬を上記の方法で克服させることに成功しました。乗車のたびによだれを垂らし、嘔吐を繰り返していた愛犬は自らケージに乗り込み走行中も寝られるほどになりました。一緒に旅行やドライブに行けるようになり、一緒に楽しむ範囲がグッと広がりました。
具合の悪そうな愛犬を見ながら慣らすことは、飼い主として心が痛むかもしれません。しかし、娯楽以外にも災害時の避難場所として車で過ごす例も報告されている現代では、愛犬を車に慣れさせることがどれだけ意味のあることかを感じていただければと思います。