犬がつま先を舐める原因
愛犬がいつまでもつま先を舐め続けている。そんな光景を見たときには注意が必要です。いくつか原因はありますが、どれも喜ばしいものではありません。どういった原因でつま先を舐めているのでしょうか。
ストレス
犬がつま先を舐め続ける理由として特に多いのがストレスによるものです。分離不安と呼ばれる精神的なものから、欲求不満による自傷行為などがこれにあたります。
分離不安に陥っている犬は飼い主さんと少しの時間離れるだけでも大きな不安を感じます。元は飼い主さんが構いすぎることに原因があり、いつも一緒にいた飼い主さんの姿が見えなくなることで精神的に落ち着きがなくなってしまうのです。これは犬にとっても大きなストレスであり、その際のストレス行動としてつま先を舐める行動が見られます。
一方、飼い主さんがあまり犬に構わないような場合も、有り余ったエネルギーをぶつける場所が見つからずにつま先を舐めるといった行動を見せます。普段のコミュニケーション不足や運動不足、愛情不足のサインでもあるのです。
病気や怪我
病気や怪我が原因でつま先を舐めている可能性もあります。怪我や虫刺されに湿疹、棘などの異物が刺さったり挟まっている可能性があります。
病気の場合、関節炎などを患っている可能性があります。他にも非常に珍しいケースだといわれていますが「肢端切断症候群」と呼ばれる遺伝性疾患を患っていることがあります。
「肢端切断症候群」とは?
犬がつま先を舐める原因となる「肢端切断症候群」という疾患をご存知でしょうか。これは「つま先無痛症」とも呼ばれる遺伝的感覚神経障害です。とても稀な疾患のようですが、肢端切断症候群になると末端の感覚が失われてしまいます。
感覚が失われていることで、出血していたり骨が出ていたとしても舐め続けたり、爪がなくなるほどに噛み続けるといった行動をみせます。肢端切断症候群となると常にエリザベスカラーをつけておく必要があり、犬だけで置いておくことも難しくなるのだそう。過去には次のような犬種に発症が見られています。
- ミニチュアシュナウザー
- イングリッシュポインター
- ジャーマンショートヘアードポインター
- フレンチスパニエル
- イングリッシュスプリンガースパニエル
犬がつま先を舐める場合の対処法
愛犬がつま先を舐めている場合、まずはどういったタイミングで舐めているのかをよく観察しましょう。
普段はつま先を舐めることがなく、たまたま散歩帰りなどにつま先を舐めている場合は足に怪我や異物が挟まっていないかを確認しましょう。人間が取り除けない小さな棘やガラスの破片が刺さっていたり、怪我をしている場合もあります。その場合は舐めてひどくなる前に動物病院で治療を受けましょう。
怪我が見られない場合、ストレスが原因になっていることが考えられます。散歩の時間や犬を構う時間が減ったりしていませんか?愛犬がつまらなさそうに寝床やサークル内で足を舐めている場合、ストレスが溜まっている可能性があります。遊びや散歩の時間など犬に構う時間を見直しましょう。愛犬とのコミュニケーションを増やすことはもちろん、愛犬が1匹でも暇を持て余さないようなおもちゃを与えることも対策の一つです。
もしくは過剰に犬を可愛がっている場合。その行為が愛犬のストレスになってしまっている可能性があります。常に犬と一緒にいられるわけではありません。愛するからこそ犬との関係性を見直し、犬自身が1匹の時にも安心して暮らせる状態にしてあげる必要があることを覚えておきましょう。
これらの改善策を行ってもなかなか症状が治らないという場合、重い気持ちの病気にまで発展している可能性があります。どんなにコミュニケーションを見直しても家庭での対処ができないといった場合、獣医師さんへ相談してみましょう。
まとめ
一時的な病気や怪我によるものなのか、ストレスによるものなのか、肢端切断症候群なのかといった判断は素人には難しいですよね。特に病気や重い気持ちの病気にまで陥っている場合、治療を行うのも簡単ではありません。
愛犬の執拗につま先を舐め続けるといった行動が見られた場合、家庭でできる怪我のチェックや生活環境の見直しを行ったうえで獣医師さんへ相談しましょう。
いづれにしても、本来はつま先を舐め続けるという行為は自然な行動ではないため、愛犬からの助けを求めるサインであることを覚えておいてくださいね。