犬の短鼻種ってどんな犬?
犬というとまず思い浮かべる姿は鼻筋の通った姿ではないでしょうか。今ではいろんな姿の犬が存在しますが、もともとの先祖はオオカミだったということもあり、用途に合わせて改良されるまではオオカミに近い姿が一般的でした。
しかし、人間と生活を共にするに至って狩猟犬や闘犬、愛玩犬など目的に合った姿へと改良を重ねられ、現在のようにさまざまな姿をした犬が増えていったのです。
そのなかでも特徴的な姿をしているのが短鼻種で、代表的な犬種としてはパグやブルドッグ、シーズーなどがその種類に入ります。
また、チワワやヨークシャテリア、キャバリアなども鼻ぺちゃとまではいきませんが、マズルが短めの犬種なため短鼻種として分類されています。
短鼻犬がかかりやすい3つの病気
鼻筋の長い犬はストローで例えるとスーッと伸びた状態ですが、短鼻種の鼻はジャバラストローのようにギュッと詰まっているような状態になっています。
そのため、どうしても呼吸がし辛くかかりやすい病気にも呼吸器系のものが非常に多いため、一緒に生活するうえでも呼吸しやすいように気を付けなければいけません。
1.鼻腔狭窄
鼻の穴や気道が狭くなることで呼吸がしずらくなる病気で、多くの場合先天性なので短鼻種である以上仕方がない部分が大きいのが現状です。
【原因】
もともと鼻がつぶれているためです。
【症状】
鼻が詰まったように日常的に呼吸が荒くなります。
【対処法】
呼吸が荒いのは鼻腔の作り上呼吸がしづらくなっているものなので、興奮させたり暑さによって呼吸がさらに荒くなると苦しくなってしまいます。
そのため、生活環境では呼吸がしやすいように空調を調整し、お散歩のときは涼しい時間帯にお散歩をするといった工夫をしましょう。
【予防法】
生まれつきの病気なので特定の予防法がないのが現状です。
2.軟口蓋過長症
鼻腔狭窄のように先天性のものと複合して起こることが多い病気です。
【原因】
鼻は短いのにのどの手前に位置する軟口蓋という部分は長いといった構造になっているため、その部分が垂れさがり気道がふさがってしまいます。
【症状】
寝ているときでもいびきをかいているように呼吸をします。また、気道がふさがれている状態なので呼吸もしづらく息が上がりやすいです。
【対処法】
多くの場合日常生活で命の危険と判断されるレベルであることは少ないですが、重度になると酸素吸入が必要なほど呼吸がしにくい状態になっているため、その場合は軟口蓋を切除する手術を行ないます。
【予防法】
短鼻種である以上予防法がありませんが、肥満が症状を悪化させるので肥満させないようにしましょう。
3.角膜潰瘍
目の角膜に傷がつくことで起こる病気です。
【原因】
短鼻種の多くは目が前で飛び出ているため、ゴミや小石などちょっとしたものが目に入りやすく、角膜が傷つきやすい状態になっています。
また、そうした異物による刺激を感じると前足や床でこするため、それがさらに状態を悪化させてしまいます。
【症状】
目をしょぼしょぼさせたり、痛みと違和感で目を開けることができないといった症状を見せます。また、違和感があるため目をこすります。
【対処法】
角膜潰瘍は目に傷がついた状態なので、症状が見られたらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。専用の目薬を使って治療をしますが、受診が遅く症状が悪化した場合失明を招く恐れもあるため、早急な対応が必要です。
【予防】
目に何か入ることは短鼻種でも起こることですが、短鼻種の場合はそうした状況になりやすいということなので、生活環境で目に入りやすいものがないようにしてあげることが対処法となります。
また、もし何か目に入った様子があれば水で濡らしたコットンなどを使って、優しく異物を取ってあげるようにしましょう。
短鼻種は熱中症にも特に注意
短種鼻は呼吸器系の病気に非常にかかりやすく、しかも先天性であることから避けることができない現状にあります。そして、呼吸器系の構造上呼吸がしづらいため、体温の上昇は呼吸に大きく影響を与え最悪の状態を招く危険性も高いのです。
特に、熱中症は夏だけでなく空調の悪い環境でなりやすいため、狭い空間での長距離移動や季節の変わり目による気温の変化には意識を高め、確実に呼吸器系に負担をかけないようにしましょう。
まとめ
短鼻種はその構造上生まれつき呼吸器系に負担がかかっている状態にあります。そのため、それを防ぐための予防法がないのが残念ではありますが、そうした状況下で生まれてきた短鼻種のためにできることとして、快適に過ごすことができる空間を提供してあげることが飼い主としての最大の役目です。
また、こうした理由から飛行機など移動で制限がかかり一緒に連れていくことができないといったことも起こりますが、何よりも愛犬の安全を考えて行動し、幸せな時間を共有できるようにしていきましょう。