大型犬がかかりやすい3つの病気!症状から予防法まで

大型犬がかかりやすい3つの病気!症状から予防法まで

大型犬は小型犬と違って丈夫そうに見えるため、病気にもかかりにくい印象を持っている人も少なくありません。しかし、実際は大型犬だからこそかかりやすい病気があるので、そうした可能性を考えながら生活を共にする必要があります。そこで、今回は大型犬がかかりやすい病気と原因・症状・対処法・予防までお教えしますので、もしもの時に少しでも対処ができるよう参考にしてください。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

大型犬がかかりやすい3つの病気

診察され横たわる犬

では、さっそく大型犬がかかりやすい病気をいくつかご紹介していきます。

1.骨肉腫

骨肉腫は骨にできるがんで、7~8歳以降に発症することが多い重い病気です。

【原因】

明確な原因はまだ明らかにされていませんが、大型犬に多く発症することから遺伝的な関係が強いのではないかと言われています。

【症状】

骨肉腫は痛みを伴う悪性腫瘍で、特に足に発症することが多い病気です。そのため、足の腫れや跛行といって足を引きずりながら歩く様子が見られ、痛みの為に患部を触られることを嫌がることもあります。

【対処法】

骨肉腫になったら患部の切除が必要です。そして、発症場所として多いのが足ですが、切除は幹部をピンポイントで切除するのではなく、転移性が高いことから他の転移を避けるために脚全体を切除する断足手術を行ないます。

その後、抗がん剤を使った化学療法を行ない転移を防ぎながら治療を進めます。

しかし、あまりに高齢で手術に対するリスクが大きすぎる場合は手術はせず、放射線治療で痛みを緩和しながら可能な限り過ごしやすいようにしていきます。

【予防】

骨肉腫は遺伝的要因が強いと考えられている病気なので、特別な予防法がありません。ただ、悪性腫瘍であるがんは免疫力の低下から起こりやすい病気であるため、日ごろからできる予防としては免疫力の向上がおすすめです。

2.胃拡張・胃捻転

診察中のシベリアンハスキー

胃拡張や胃捻転は胃にガスが溜まることで胃が異常に膨らみ、180度ぐるんとねじれることで胃捻転が起こります。

【原因】

食後の激しい運動や食べすぎによって起こることが多く、他にも胃が膨らみやすいドッグフードや消化がしにくいものを与えるとリスクが高まります。

【症状】

  • ヨダレが大量に出る
  • 吐こうとしても吐けない
  • お腹が膨らむ
  • 落ち着きがなくなる
  • 元気がなくなる
  • ぐったりしている

分かりやすい症状としては、大量のヨダレや吐き気、膨張といった症状ですが、症状が進行するにつれて元気がなくなり処置が遅れると命を落とすこともあるため、少しでもおかしいと感じたら動物病院へ相談・受診するようにしましょう。

【対処法】

胃拡張や胃捻転が起こったら外科手術にて胃を正常な状態に戻します。具体的には胃に溜まったガスを抜き、ねじれてしまった胃を元に戻すのですが、胃がねじれるということはねじれのために血流も止まってしまっています。

そのため、時間が経てば経つほど深刻になり臓器が壊死し手の施しようがない状態になることもあるため、おかしいと気付いた時点で早急に対処しましょう。

【予防】

胃拡張・胃捻転を起こしてしまったらいかに早く処置をするかによって生死を分けます。しかし、そうならないために日ごろから予防をすることが一番の対策なので、飼い主として限りなくリスクを下げるようにしましょう。

胃拡張・胃捻転が起こる大きな原因としては早食いや食べすぎ、食後すぐの運動といった胃に負担が大きくかかることがリスクを高めるため、次のような方法でそのリスクを減らします。

  • 食事の1回量を減らし回数を増やす
  • 食後3時間程度は運動を控える
  • 消化の良いフードを与える

3.股関節形成不全

股関節形成不全は成長期の段階で股関節が正常に作られなかったり、肥満などによって悪化してしまうことで起こる病気です。

【原因】

股関節形成不全は遺伝的要因で発症してしまうと考えられているため、どんなに適正な食事や運動をしていてもかかってしまうことがあります。

しかし、発症のリスクを高める原因としては肥満や過度な運動といったように、股関節に負担がかかるようなことをしていると発症したり悪化してしまうため、十分注意しましょう。

【症状】

股関節形成不全は痛みを伴うので、足を痛がるようになったり、腰を振る様な歩き方や引きずり歩きが見られるようになります。

また、痛みから運動や触られることを嫌がり元気がなくなってしまうこともあります。

【対処法】

股関節形成不全は症状によって内科的治療か外科的治療かを判断していきます。症状が軽い場合は痛みと炎症を抑えつつ、食事と運動を適切に保ち今以上に負担をかけないようにしていきますが、この方法では改善が期待できない場合は手術を選択することになります。

【予防】

遺伝的要因が大きいと考えられているため、完全に予防をすることは難しいですが、環境的要因を排除する意味では食事管理と適切な運動を意識し、体に負担をかけないようにすることが大事です。

大型犬がかかりやすい病気は避けられない?

悲しそうにフセしている犬

大型犬のかかりやすい病気をいくつかご紹介しましたが、体格が大きいためにかかりやすいのではなく、いずれも遺伝的要因が大きく関係しているものが多いことがわかります。

そのため、例えばフィラリア症であればフィラリアの薬を正しく飲ませることで100%防ぐことができたり、肥満であれば適正な食事管理と運動で防ぐことができるといったような、特別な予防法というものがありません。

では、大型犬がかかりやすい病気を防ぐことができないのかというと決してそうではありません。確かに、遺伝的要因が大きいとなるとどうしようもなくなるのですが、毎日の生活の在り方によってリスクを下げることはできます。

大型犬がかかりやすい病気のリスクを下げる方法

空を見上げる犬

遺伝的要因が大きい病気をどうしたら発症のリスクを下げることができるのかですが、遺伝的要因以前になぜ病気になるのかを考えてみると少しずつ答えが見えてきます。

特別な病気に限らず、どんな病気も食生活や生活習慣が悪ければ体に大きな負担を与え、結果としてさまざまな病気を引き起こすことにつながりますよね。

つまり、与えるフードは良質でバランスの良い食事を与えるといったことや、1日に2回目安として1回1時間程度の負担にならない運動をするなど、何気ないようで一番大事な毎日の生活の質を高めることが大事なのです。

また、食事や運動以外にも免疫力を高めるようなサプリメントを使って体を強化したり、休みの日や時間のある時にブラッシングをしてコミュニケーションをとることで、心の健康を保ちリラックスするため免疫力アップにも繋げることができます。

このように免疫力アップを意識した生活をしつつ、食事の仕方や食後の運動など体に負担となるようなことは避けるといった工夫をすることが、病気のリスクを下げ健やかな毎日を送る鍵となるのです。

まとめ

飼い主といる犬

大型犬は体格は大きく小型犬に比べて頑丈そうに見えますが、大型犬だからこそ患いやすい病気というものがあり、いずれも遺伝的要因が大きいため大型犬を飼う以上発症のリスクを覚悟しておく必要があります。

しかし、どんなに遺伝的要因が大きい病気ばかりとはいえ、免疫力を高めできる限りストレスのない生活を送ることで、発症のリスクを下げることができます。

ゼロではなくても少しでもリスクを下げることができれば、いつまでも元気で過ごせる時間が長くなるので、毎日の生活から健康ライフを始めてみましょう。

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