骨粗しょう症とは?
骨粗しょう症になるメカニズム
「骨粗しょう症」は、簡単に言うと、加齢や病気によって、骨の中のカルシウムなどのミネラルの含有量が低下し、骨の中がスカスカの穴だらけになり、骨折しやすくなる病気です。
骨は、「リモデリング」と言って、皮膚や血液と同じように、再生である「骨形成」と破壊である「骨吸収」を繰り返すことで、新陳代謝が行われます。けれども、このサイクルが病気や加齢などによってうまく行われなくなり、徐々に骨の再生が追いつかなくなって、骨の密度を保つことが出来なくなります。これが骨粗しょう症のメカニズムです。
カルシウムの制御を行うカルシトニンと副甲状腺ホルモン
カルシトニンと副甲状腺ホルモンは、どちらもカルシウムの制御に大きくかかわるホルモンです。
この二つのホルモンが正常に分泌されていて、体の外から十分なカルシウムが補充され、骨にきちんと蓄積されたり、必要に応じて放出されている間は、骨は健全な新陳代謝が行われます。
けれども、病気によって、カルシトニンや副甲状腺ホルモンの分泌に異常が顕れ、カルシウムの形成や吸収のバランスが崩れると、年齢や雌雄に関わらず、骨粗しょう症になりやすくなります。
骨とカルシウムの体内での働き
犬と人間の骨、どちらも「骨形成」と「骨吸収」を繰り返して、新陳代謝が行われます。
また、骨は、カルシウムの貯蔵庫のような役割を果たしています。カルシウムは、血液中にも含まれていて、神経や筋肉が興奮した時や、血液を凝固する必要のある時などに、体内で大量に消耗します。そうして不足した血液中のカルシウムを補うために、骨に蓄積されているカルシウムが血液中に放出されます。
人間と犬の骨粗しょう症の違い
人の骨粗しょう症は、女性に多く、女性ホルモンのエストロゲンの減少が原因だと思われています。
実際に、男性ホルモンが減少しても、骨の形成にはさほど影響がないので、女性の方が男性よりも若い年齢から骨粗しょう症を予防する必要があるのは、確かです。
ただし、最近の調査でも、犬の場合は避妊手術によって、卵巣や子宮を摘出しても、骨の骨密度低下への関連性は低いとされているので、避妊しているからと言って、骨粗しょう症のリスクが高い訳ではありません。
犬が骨粗しょう症になる原因
人間のように、女性ホルモンの影響を受けない、避妊手術の影響もない…ということは、一見、「犬の方が骨粗しょう症のリスクが少ないのでは?」と思いがちです。
ところが、「女性ホルモンの影響を受けない」「避妊手術の影響も大きくない」ということは、雌雄どちらも同じリスクを背負っている、ということでもあります。
では、骨粗しょう症を回避するために、どんな予防法があるのでしょうか?
骨粗しょう症の予防
病気の治療
骨粗しょう症を引き起こす原因となる病気は、長期的な治療が必要で、かかりつけの獣医の先生の指示どおりに、きちんと投薬して経過を見ます。
適度な運動
骨は、負荷がかかるほど骨を作る細胞が活発になり、強くなる性質があります。
バランスの良い食事
「ドックフードは完全栄養食だから、ドックフードさえ食べさせていれば安心」という考え方もあります。
また、栄養が偏らないように心を砕いて、愛犬の食事を完全に手作りしている飼い主さんもおられると思います。
いずれの食事にしても、年齢や体質、体調によって消化スピードや、必要な栄養素が変わることを知っておきましょう。
自分や、子供の食事を作る時のように、また、シニア期に差し掛かった愛犬であれば、自分の親に食事を作るのと同じ気持ちで、栄養価を考えて、与える食事の質を考えてみることが大切です。
日光を浴びる
日光を浴びることで、体内にカルシウムを吸収しやすくするビタミンDが作られます。
まとめ
女性ホルモンの影響があるかないかの違いはありますが、骨粗しょう症の予防については適度な運動をし、太陽を浴び、バランスの取れた美味しい食事をとる、という点では同じですね。特に女性の飼い主さんは、愛犬と一緒に太陽の光を浴びながらの散歩は、自分自身にとっても骨粗しょう症予防にもなるワケで。また、食事に関しても同じことが言えます。愛犬の食事にも気を配りながら、ご自分の食事のバランスの取れた食事を撮れているかどうかも考えて食事を摂れば、愛犬にとっても、飼い主さんにとってもより健康的ではないでしょうか。