犬の汎骨炎とは?
汎骨炎とは、骨の内部で炎症が起こる疾患のことを言いますが、主に中型犬や大型犬の若い犬にみられる疾患です。
1本の骨に起こることもありますし、複数の骨に同時に起こることもあります。
また、後肢よりも前肢に起こったケースが多いとされています。
主な症状は“痛み”であり、激しい痛みを伴う場合には歩行が困難になるだけではなく、食欲の減退や元気がなくなることもあります。
治療によって症状が改善された後、他の前肢や後肢で再発するケースも多く、初期段階ではレントゲンなどの検査を受けても疾患に気づけないことがあります。
汎骨炎は中型犬や大型犬の若い犬に多い疾患ですが、成長と共に改善されることがほとんどです。
犬が汎骨炎を発症する原因
汎骨炎は中型犬や大型犬の若い犬、とくに生後5ヶ月から24ヶ月までの成長期である犬に起こりやすいとされています。
また、メスよりもオスに発症したケースが多いようです。
長い骨や尺骨に多く発症し、最も多いのが前肢の尺骨に発症するケースです。
残念ながら明確な原因はわかっておらず、感染・栄養・代謝・アレルギー・内分泌性・遺伝子要因などの関与が考えられています。
犬の汎骨炎を治療する方法
獣医師から運動制限や体重制限に関する指導がされる場合がありますが、それらによって治りが早まるものではありません。
運動制限や体重制限によって痛みを緩和させてあげることができます。
しかし、成長期の犬である場合、必要以上の体重制限や減量によって他の病気を発症してしまう可能性もありますし、必ず医師の指導に従ってください。
鎮痛剤や消炎剤などの薬を用いた治療が行われる場合があります。
薬の効果を感じられないこともありますが、汎骨炎は成長と共に改善されることがほとんどです。
汎骨炎を発症しやすい犬種
汎骨炎はシェパードに発症するケースが多いとされています。
その中では、とくにオスに発症したケースが多く、発症した年齢は1歳から3歳くらいまでの間であり、2歳から3歳くらいまでの間に完治したとされています。
4本の脚すべてに発症したケースもあり、すべての脚が同時に発症したのではなく、1本が完治したと思ったらまた次の1本というように、飛び火して発症したようです。
中型犬や大型犬に骨の病気が多いのはなぜ?
中型犬や大型犬には骨の病気を発症する犬が多いとされていますが、やはりとくに多いのが大型犬です。
骨の病気は大型犬の病気の中でも代表格と言っても過言ではないと思います。
もちろん、小型犬にも中型犬にも骨の病気を発症する犬はいますが、大型犬に多いのはなぜなのでしょうか。
骨の成長について
小型犬・中型犬・大型犬の骨の成長にはそれぞれに異なる過程があります。
子犬から成犬になるまでのカラダの大きさを考えてみるとわかりやすいと思うのですが、生まれたばかりの子犬の頃、小型犬も大型犬もカラダの大きさや体重にそれほど大きな差はありません。
しかし、成犬になる頃にはカラダの大きさにも体重にも大きな差が生まれます。
小型犬の場合、生まれたばかりの子犬の頃から成犬になるまでに、カラダの大きさや体重にそれほど大きな変化はないものの、大型犬の場合、生まれたばかりの子犬の頃から成犬になるまでに、カラダの大きさにも体重にもとても大きな変化があります。
これを骨で考えてみると、カラダの大きさや体重に合わせ、骨も急激な変化が必要になるということです。
骨の急激な変化こそが、大型犬に骨の病気が多いとされる原因なのではないでしょうか。
まとめ
汎骨炎は中型犬から大型犬に多く発症している骨の病気であり、とくに成長期であるオスの大型犬に発症しやすい病気であるとされています。
主な症状は“痛み”であり、ほとんどの場合、成長するにつれて完治します。
主な診断方法はレントゲン検査であり、治療には鎮痛剤や消炎剤が用いられます。
薬による治療をせずとも、成長と共にいつの間にか自然と完治してしまうという不思議な病気でもあります。