日本犬は認知症になりやすい?理由とやりたい対策

日本犬は認知症になりやすい?理由とやりたい対策

犬も人間と同じように認知症になります。そして近年、認知症になる犬は増えてきています。どの犬も認知症になる可能性はありますが、特に日本犬が認知症になりやすい傾向にあるのをご存知ですか?この記事では、なぜ日本犬は認知症になりやすのか、そして愛犬の認知症を予防するためにはどのような対策を行ってあげたらいいのかご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

日本犬は認知症になりやすいの!?

柴犬

近年、犬の寿命が延びて高齢化が進んでいます。それに伴って、犬も認知症を発症するケースが増えているそうです。

認知症とは、加齢などによって脳の神経細胞が減少したり萎縮したりして、一度正常に発達した知能が低下した状態のことをいいます。認知症になると、

  • 狭いところに入りたがり、入ると出られなくなる
  • 昼間に寝て、夜中に起き出す
  • 夜鳴きをする
  • トイレの失敗が多くなる
  • 同じ場所をグルグルと旋回する
  • 食べても食べても痩せていく

などといった症状が現れます。

13~15歳辺りから発症しやすいと言われていますが、洋犬よりも日本犬や日本犬系のミックスが認知症になりやすい傾向にあり、中でも柴犬が最も認知症になりやすい犬種とされています。

なぜ、柴犬をはじめとする日本犬は認知症になりやすいのでしょうか?わが家にも柴犬がいるので気になり、調べてみました。

日本犬が認知症になりやすい理由とは?

秋田犬

日本犬が認知症になりやすい理由は、残念ながらまだはっきりとは分かっていません。しかし一説によると、食生活の変化が関係しているのではないかと考えられているようです。

日本犬は昔、人間の残飯を食事として与えられていました。日本人は魚中心の食生活を送っていたため、日本犬も主に魚からタンパク質を摂取してきましたが、1960年代ごろから肉を主成分とするドッグフードが普及するようになりました。つまり日本犬の食生活は、魚中心から肉中心へと大きく変化したのです。

この食生活の変化によって日本犬は、魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の摂取量が不足するようになり、それが認知症の発症につながっているのではないかと考えられています。実際、認知症の犬とそうでない犬のDHAとEPAの血中濃度を比較すると、認知症の犬のほうがその濃度が低いことが確認されています。

愛犬のためにやりたい認知症の予防対策

日本犬

日本犬が認知症になりやすい傾向にありますが、どの犬も認知症を発症する可能性はあります。認知症は発症してしまうと、現段階では根本的に完治させる薬や治療法はありません。ですから、認知症を発症しないように予防することが大切です。

認知症を予防するためには脳に刺激を与え、脳を活性化させることがポイントになります。では、飼い主さんは愛犬の認知症を予防するためにどんなことをしたあげたらよいのでしょうか?犬の認知症の予防対策を4つご紹介します。

①適度な散歩をする

散歩へ行くと、外界のさまざまな音やにおいや風景などが犬にとってよい刺激となり、他人や他犬と出会ったり触れ合ったりすることもできるので、それもまた刺激になります。時々、散歩の時間やコースを変えるとさらに刺激が高まり、脳が活性化されます。

愛犬が年を取ってくるとその身体を気遣い、散歩を控えようと考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、外界からの刺激がないと老化を促進してしまいますし、運動をしないと体力も低下してしまいます。ですから、愛犬の年齢や体力に合わせた、適度な散歩を続けていきましょう。

もし、愛犬の足腰が弱ってしまって歩行が困難である場合は、愛犬をカートに乗せて散歩するだけでも脳に刺激を与えることができ、気分転換にもなります。

②脳トレをする

『脳トレ』といっても、難しく考えなくても大丈夫です。『オスワリ』や『オイデ』や『マテ』など基本的なしつけを継続して行ったり、飼い主さんが話しかけたりするだけでもそれが犬にとっては刺激となり、脳トレになります。

その他、知育玩具を与えたり、飼い主さんとゲームをするのもオススメです。例えば、紙コップを3つ用意して、その中の1つにだけおやつを入れてシャッフルし、どの紙コップにおやつが入っているかを当てさせるゲームなどは、愛犬にとってよい脳トレになるでしょう。

③DHAやEPAを与える

青魚などに多く含まれるDHAやEPAといった不飽和脂肪酸は脳を活性化し、脳の老化が進みにくくなると言われており、認知症の予防や症状の改善への効果が期待されています。

ですから、認知症の予防としてDHAやEPAの犬用サプリメントや、DHAやEPAが含まれたドッグフードなどを愛犬に与えるのもいいでしょう。なお、愛犬にサプリメントを与える際は、獣医師に相談することをお勧めします。

④マッサージをする

マッサージをすると血行がよくなるため、脳の活性化が期待できます。飼い主さんがマッサージしてあげることで愛犬はリラックスすることができますし、大切なコミュニケーションの時間にもなります。

愛犬をマッサージするときは、優しくなでる程度でOKです。強く押しすぎないように気をつけましょう。

まとめ

柴犬と飼い主

近年、認知症が増えてきており、特に日本犬が認知症になりやすい傾向にあります。その理由ははっきり分かっていませんが、食生活の変化が関係しているのかもしれません。

しかし、日本犬だからといって必ず認知症になるわけではありません。そして、どの犬も高齢になれば認知症になるリスクは高まります。現段階では認知症を完治することは望めないため、予防と早期発見が重要になります。愛犬のためにできる限りの予防対策を行い、気になる行動などが見られた場合は早めに動物病院へ連れて行きましょう。

もし愛犬が認知症になったとしても、これまでと変わらない愛情を持って最期までお世話してあげたいですね。

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