犬の水遊び中に起きた悲劇
今年8月、アメリカでFacebookに投稿された、一匹のわんちゃんを襲った、とある悲劇についての記事が、8万回近くシェアされました。
記事の内容はこうです。
湖に投げた木の棒を取ってくる等、1時間ほど元気に水遊びを楽しんでいたハンツ君は、湖から上がった直後に突然体調を崩し、意識を失ってしまいました。
飼い主家族は慌ててハンツ君を動物病院に運び込みましたが時既に遅く、ハンツ君は命を落としてしまいました。まだ2歳と若く、健康だったハンツ君の命を奪ってしまったものは一体何だったのでしょうか?
健康そのものだった、2歳のハンツ君を襲った謎の死。犬の飼い主としては、とても怖い出来事だと感じますよね。
謎の死の原因は?
実は、この時ハンツ君を死に至らせた原因は「水中毒」と呼ばれる病気でした。そして、この病気は私たちの身の回りでも簡単に起こりえる病気のようです。
今回は、あまり知られていない「水中毒」の原因から予防法まで解説していきたいと思います。
水遊び好きの犬は要注意。「水中毒」とは?
水中毒とは?
あまり聞き慣れないかもしれませんが、水中毒とは、多量の水を摂取することによって起こる症状で、低ナトリウム血症とも呼ばれます。わんこだけではなく、人間にも起こる症状です。なんと、年間20万頭以上のわんこが、この水中毒により命を落としているといわれています。
水中毒の症状
水中毒に陥ると、以下のような症状が現れ、最悪は死に至ります。
- 疲労
- 歩行困難
- 嘔吐
- よだれ
- 多量の排尿
- けいれん
- 呼吸困難
- 昏睡 等
ご紹介したハンツ君も、湖から上がった直後に疲れた様子を見せ、尿を垂れ流した後で、倒れ込んで昏睡状態に陥ってしまいました。
水中毒の原因
原因はただ1つ、水の飲みすぎです。体重10kgのわんこでは、1日1リットル以上の水を摂取すると危険といわれています。大量の水分摂取によって腎臓が持つ正常な水分排出能力を超えてしまうと、排出しきれなかった水分が血液中に侵出し、血液中のナトリウム濃度が低下してしまいます。これにより、さまざまな症状が引き起こされるのです。
人間では、ダイエットに対する誤った認識等による意図的な多飲や、精神疾患も大きな原因とされていますが、わんこの場合には意図的に水をがぶがぶ飲み過ぎることは少ないですから、ほとんどが水遊びの最中に発症します。意図的に飲んでいるわけではなくても、泳いでいるときや水と戯れて遊んでいるとき、わんこは予想以上に水を飲んでしまっているので、注意が必要です。
治療法
水中毒の治療は、血液中のナトリウム濃度を適正値に戻す治療です。血液検査を行って血中ナトリウム濃度を測り、濃度の変化を見ながらナトリウムを注入していくことになります。動物病院での処置になりますので、愛犬に水中毒の疑いがあった場合には自分で何とかしようとするのではなく、速やかに動物病院を受診してください。
予防法
水中毒を予防するには、水の飲み過ぎを防ぐことしかありません。水中毒に至るおおよその摂取量はわかっていますが、実際にどれだけの水を飲んでいるかは把握することはできませんから、特に水遊びが好きなわんこは要注意です。
わんこに水遊びをさせる場合には、わんこが疲れるまで好きなだけ遊ばせるのではなく、こまめな休憩を挟んで遊ばせるようにしてください。そして、水から上がったときのわんこの様子には十分な注意を払うことも重要です。
まとめ
冒頭でご紹介したハンツ君の飼い主さんは、今回のハンツ君の悲劇を通してより多くの人に水中毒の危険性を知ってもらいたいと、記事の公開を決意されたそうです。ハンツ君の悲劇を繰り返さないためにも、私たちも水中毒の恐ろしさをよく知る必要があります。
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女性 Hono
40代 女性 まる