突然起こる「てんかん」発作。突然の事態に少しでも冷静に対処できるように、今回はてんかんの種類と対処法について調べました。
犬のてんかんとは
「てんかん」とは痙攣などの発作が繰り返し起こる脳の疾患です。犬種は関係なく、どんな犬でも発症する可能性があるのだそう。発症する原因として大きく「特発性てんかん」、「症候性てんかん」の2つにわけられます。
特発性てんかんは、遺伝的なものが原因で起こる以外に原因がないものをさします。つまり、原因が不明のてんかんです。これらは遺伝的なものが関係している可能性もあるであろうけれども明確な「原因が不明」な場合に診断されます。犬のてんかんのほとんどはこの特発性てんかんだともいわれています。
症候性の原因としては、脳疾患や脳炎、脳腫瘍、水頭症などの頭の疾患が原因となるものをいいます。つまり原因が不明なのではなく、原因が特定されているものを指します。また、交通事故などの外傷による後遺症が原因となることもあります。
主にこれらの2つが原因となり、てんかんの発作が起きるといわれているため、どんな犬種でもてんかんが起こる可能性はあるといえます。しかしながら、その中でも発症しやすい犬種として、以下の犬種が挙げられます。
- ダックスフント
- ビーグル
- ミニチュアシュナウザー
- プードル
- シェルティー
- シェパード
- ハスキー
また、これらの犬種と共に「テリア系」や「レトリバー系」の犬種も遺伝的なてんかんの要素を持っているといわれています。特に注意が必要な犬種だといえそうです。
犬のてんかんの症状
てんかんの症状としては、主に「全般発作」と「部分発作」の二つが見られるそうです。
全般発作
全般発作は全身性の発作のことで、脳全体が一斉に興奮状態となることで発作が見られます。初めに「落ち着きがない」「よだれを流す」「嘔吐する」といった前兆が起こり、突然「両前後足がピンと伸びる」「横転」「のけぞる」といった症状が表れます。その後、「足や口を震わせる」「手足を激しく動かす」といった症状が続き、「目の瞳孔が開く」、「失禁」「脱糞」「泡を吹く」といった様子が見られます。また、この時、犬には意識がありません。
通常はこれらの症状が「数十秒~3分」程続き、その後は普通の状態に戻るといわれています。重度の場合、これらの症状が短い間隔で繰り返し何度も起こる場合があります。
部分発作
部分発作は体の一部分だけに起こる発作のことで、脳の一部分だけが興奮状となることで発作が見られます。前脚のみ、顔面のみといったように、興奮している脳に関係する一部だけが反応を起こします。また、身体の動作だけでなく「呼びかけに反応しない」「顔面の痙攣」「よだれを流す」「瞳孔が開く」といった、意識に関する反応に影響が出る場合もあります。
てんかんの対処法
病気の治療として、遺伝的なものが原因だと思われる(原因が不明の)「特発性てんかん」は、抗てんかん薬による「薬物治療」が行われます。効果がない場合は、薬の種類を変えながら治療が行われますが、すべての薬が効かないといったケースの場合もあります。また、病的なものが要因となる「症候性てんかん」については、要因となる疾患を治療することが対処となります。 ただ、頭の中の疾患が原因となるので、難しい場合もあります。その場合も抗てんかん薬を使用することもあります。
それでは私たち飼い主が普段できる対処はあるのでしょうか。
- てんかんが起こるパターンを観察する
- 発作の状況を正確に把握する
- 発作が起きても慌てない
てんかんは何かがきっかけとなり発作が始まることがあるといわれています。そのためにも飼い主さんは「てんかんが起こるパターン」を観察しておくことが重要です。例えば気圧の変化や季節の変わり目、電話が鳴る、玄関のチャイムが鳴るといった、何かしらのきっかけがある場合があります。それらを把握することで、少しでも遠ざけることができます。
また、てんかんが起きても、少し時間が経つと普段通りになる犬がほとんどです。しかし、てんかんは繰り返し起こることが考えられます。発作が見られたら、動物病院へ連れていくようにしましょう。そのためにみ、発作が起きた際の状況を飼い主さんは正確に説明できるようにしておきましょう。どういった発作がどれくらい続いたのか、過去にもあったのか、特別に食べたものがなかったかな、といった情報が治療の役に立つことがあるのだそう。可能であれば、動画は診断の大きなヒントになるので、撮影できるのであれば動画をとりましょう。
何より大切なのは「飼い主さんが慌てない」ことです。いざ目の前で愛犬が苦しんでいるのを見ると、簡単ではないかもしれません。しかし、通常のてんかん発作で死ぬということはほとんどありません。
てんかんで亡くなる場合、長時間発作が続き、脳にダメージを与えてしまうことが原因となります。通常の発作であれば長くても3分ほどで収まります。まずは冷静に愛犬の様子を観察し、発作が落ち着いてから病院へ連れて行きましょう。もちろん発作が5分以上続くなど、長時間にわたって痙攣が続いている、発作の間隔が狭まっているようであれば、至急、動物病院へ連絡をしてください。
まとめ
突然、愛犬の様子が変わってしまう「てんかん」。今回ご紹介したような症状が起こることを考えるだけでも怖いですよね。しかし、まずは飼い主さんが冷静に対応することが何よりも大切です。起こり得る症状を認識し、いざという時に冷静に対応できるようにしておきたいものです。