犬の会陰ヘルニアとは?男の子は注意したい病気の原因や症状を解説

犬の会陰ヘルニアとは?男の子は注意したい病気の原因や症状を解説

愛犬家のみなさんは5歳以降の犬にみられる会陰ヘルニアという病気をご存知ですか?肛門周りに今まで見たことないようなふくらみがあったら会陰ヘルニアかも知れません。この記事では会陰ヘルニアの原因から症状、予防等を紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の会陰ヘルニアに男の子は要注意!

伏せているフレンチブル

  • 犬の会陰ヘルニアは腸や膀胱、脂肪などの臓器が飛び出してしまう病気
  • 犬の会陰ヘルニアは5歳以上のオス犬に起こりやすい

犬の会陰ヘルニアとは、会陰部の筋肉が離れて隙間が出来てしまうことにより、腸や膀胱、脂肪などの臓器が飛び出してしまう病気です。犬の会陰ヘルニアは5歳以上のオス犬に起こりやすく、猫やメスに起こることは滅多にありません。

犬の会陰ヘルニアの症状

女医と伏せているゴールデンレトリバー

犬の会陰ヘルニアが発症した時の症状

  • 犬に会陰部の腫れ、ふくらみ(コブ)
  • 便秘または便や尿が出にくくなる

犬の会陰ヘルニアは、飛び出た臓器によっては尿が出にくくなり、嘔吐をします。特に症状が膀胱に出てしまうと腎後性尿毒症や、腸が圧迫されることで起きるショック症状を起こすことがあります。

会陰ヘルニアにかかった犬の多くは、便が出にくくなることで腸に便がたまってしまい、肛門周囲の腫れに繋がります。会陰ヘルニアの程度は症状により様々ですが、愛犬の便が出にくく、苦しそうと感じたら、重症になる前に医者に連れていきましょう。

またコブは犬の会陰部に出来ることが多く、肉眼でも確認できるので、早期発見の為にも日々愛犬を観察してあげることが大切です。

犬の会陰ヘルニアが生じる場所

犬の尻尾

犬の会陰ヘルニアには、飛び出してくる身体の場所によって4種類に分類されます。

  • 坐骨型
  • 腹側型
  • 背側型
  • 尾側型

犬の会陰ヘルニアの中でも最も発症例が多いのが「尾側型」です。尾側型の会陰ヘルニアは犬のしっぽに沿って走っている尾骨筋、肛門挙筋と、肛門の周囲をぐるっと取り囲んでいる外肛門括約筋の間でヘルニアが起こります。

犬の会陰ヘルニアの原因

ベンチに伏せているボストンテリア

犬の会陰ヘルニアは、会陰部の筋肉が弱くなることが原因となって発症します。なぜ弱まるのかは解明されていない部分が多いですが、先天性、後天性の原因があると考えられています。

先天性の原因

会陰ヘルニアの好発犬種

  • ボストンテリア
  • コリー
  • ペキニーズ

会陰ヘルニアを発症しやすい好発品種がいることから「遺伝」と何らかの関わりを持っている可能性があると考えられています。会陰ヘルニアの好発犬種にはボストンテリア、コリー、ペキニーズなどが存在します。

後天性の原因

犬の会陰ヘルニアは老化、男性ホルモンの影響、筋力の低下などを引き起こすような病気が関係していると考えられています。

犬の会陰ヘルニアの検査方法

犬を抱えてレントゲン写真を見ている女医

犬の会陰ヘルニアの検査方法には主に直腸検査、X線検査を行います。直腸検査では犬の直腸の変位、筋肉が離れているかなどを確認し、腹部から肛門部にかけてのX線検査により腸や膀胱などの位置を確認し会陰ヘルニアを検査します。また犬の膀胱の位置が不明な場合は、超音波検査などを行い会陰ヘルニアかどうかを検査する場合があります。他にも造影剤を投与して消化管造影や膀胱造影を行いヘルニアの内容がなになのかを正確に確認します。

犬の会陰ヘルニアの治療

救急セットとブルテリア

犬の会陰ヘルニアの治療には外科的治療または内科的治療を行います。

外科的治療

  • 外科手術
  • 去勢手術

犬の会陰部の筋肉、飛び出た臓器を通常の状態へ戻すには、外科手術が一般的です。隙間ができた筋肉を縫い合わせたり、隙間に穴をふさぐためのプラグを挿入したり隙間の大きさによって手術方法が変わります。また、会陰ヘルニアは犬の男性ホルモンが何らかの関わりを持っている可能性があるため、去勢をしていない犬の場合は去勢手術も行います。

  • 便軟化剤
  • カテーテルによる尿路の確保

犬の会陰ヘルニアの症状として、便が出にくくなっていたり、便秘をしている症状に対しては便を緩くする便軟化剤を使用する事があります。また犬の尿が出にくくなっている時には、カテーテルによる尿路の確保などを会陰ヘルニアの治療として一時的に行うこともあります。しかし、この症状は臓器によっては犬の命に関わる可能性もあるので、会陰ヘルニアの外科的治療ができる状態であれば早期に手術するべきでしょう。

犬の会陰ヘルニアの予防法

撫でられているダックス

犬の会陰ヘルニアの予防法には以下の方法があります。

去勢手術

犬の会陰ヘルニアは男性ホルモンと関わっていると考えられているため、犬の去勢手術をしてあげることで会陰ヘルニアの発生率を下げることができます。

適度な運動

犬の筋肉が弱まるのを防ぐためにも、普段から適度な運動をしてあげましょう。ですが犬が既に会陰ヘルニアを発症している場合は進行を防ぐのではなく、悪化させてしまうこともあるので医師の判断にしたがいましょう。

犬の会陰ヘルニアについてのまとめ

手術台にいるラブラドール

犬の会陰ヘルニアについてご説明させて頂きました。

  • 会陰ヘルニアの症状:会陰部の腫れ、便秘、便が出づらい
  • 会陰ヘルニアの先天的な原因:遺伝によるもの、男性ホルモンによるもの
  • 去勢手術と普段の運動から予防する事ができる

犬の会陰ヘルニアは原因がまだまだ分かっていない病気のため、予防方法が少ない病気のひとつです。そのため私達飼い主はしっかりと犬の病気について知識を持ち、愛犬の会陰ヘルニアなどの病気の早期発見に繋げていきたいですね。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 ミサ

    こうやって会陰ヘルニアについて記事を読んでみると、とても厄介な症状が現れるのですね。会陰ヘルニアになってしまった犬もさぞ辛いと思います。また、犬を飼っている場合はどのような病気があって、どのような症状が現れるのかということをしっかり把握しておくべきですね。早期発見をしてあげるためにも、知識や情報が必要だと思いました。犬にもいろんな種類の病気がありますね。
  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    会陰ヘルニアではありませんが、腸の手術で行った処置のせいで会陰ヘルニアに近い症状になっています。今後も命に関わるリスクを持つ覚悟で処置をしないか、その処置をして命を助けるかだったので後者を取りました。
    腸内にできた袋部分が圧迫している状態なので便が出にくいです。定期的な浣腸や、フードの見直しをして便が出やすくなるように対策しています。腸内環境を整えることも大事です。
  • 投稿者

    50代以上 男性 匿名

    去年の(2017)春頃愛犬のキング(イタリアングレーハウンド)のオス10歳がうんちが出なくなり聞いたこともない鳴き声を上げていきむが出ないためどうしたものかと近くの獣医師へ連れて行きました。医者は犬を見るなり「これは会陰ヘルニアという病気ですとりあえず固まったうんちを出してあげないと」と言われました。まず血液検査と麻酔がかけられるかなど検査をしましょう。幸いに麻酔が大丈夫との結果、麻酔をかけて固まったうんちを指で掘り出しますことに。大体4時間でした。迎えに行ったらまだふらっいていたがうんちが取れましたと言われた。 あとはうんちが硬くならないようにミルマグというくすりをご飯に3ミリリットル混ぜて食べさせています。とにかくうんちが固くならないようにしてやることが大事です。愛犬が病気になることは悲しいことですね!
    匿名の投稿画像
  • 投稿者

    30代 女性 ベル君

    最近、会陰ヘルニアの手術を受けました(雄ダックス、未去勢、10歳)。
    最初はトリマーさんが肛門腺出づらいので病院行く機会があったら診てもらった方がいいかもから始まりました。病院へ行って、その事を伝えると肛門腺ではなく会陰ヘルニアとの診断でした。セカンドオピニオン受けるなら受けてもらって構わないとの事でしたので、犬友さんたちに聞き回ってセカンドも受けました、結果は同じ診断でした。セカンドを受けた病院で会陰ヘルニア手術と去勢を受けました。術後、最初の排便の時は痛がるんじゃないか?とか心配しましたが、すんなり排便ができました。
    会陰ヘルニアの症状は、肛門横(尻尾付け根辺り)がプックリしてきて排便も小指の先ぐらいしかでなくなってきて急いで病院へ行きました。(1回目は先生が便をかき出してくれて。穴も小さかったので、もし2回目なったら手術しましよう。とのことでした。2回目なったときに先生に手術お願いしました。)
    術後1週間経ちましたが、傷口もキレイで間もなく抜糸です。
    ベル君の投稿画像
  • 投稿者

    50代以上 女性 いちぞうさん

    雄ダックス6歳です。肛門周りがプックリ腫れてきて最初のうちは肛門膿が溜まっているのかと思い、絞ろうとしてもうまくいかず病院へかかりました。
    その時に会陰ヘルニアと診断され、翌月に手術。未去勢の雄がかかりやすい病気と言われ同時に去勢も行いました。
    肛門の形が変形してしまい、オナラの音も出るし、排便後に必ず便が付着し洗浄と清拭しています。
    便の付着しやすい毛はカットし、ペットボトルのキャップに1ヶ所キリで穴を開け、人肌のぬるま湯を入れ、ペットシーツの上でペットボトルのお湯をチョロチョロかけながら、赤ちゃんのお尻拭き(ペット用より安いしお肌にも良いので)を2枚使用し便を洗い流します。拭き取りは小さ目のタオルを使用。
    悩んでいる飼主さんがいましたら、ご参考にまでに。
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