【獣医師執筆】犬の尿毒症|原因や症状から治療法まで解説

【獣医師執筆】犬の尿毒症|原因や症状から治療法まで解説

尿毒症とは、腎臓の機能不全(腎不全)で起きる徴候全てのことを言います。消化器系、血液系、神経系、筋骨格系、内分泌系など全身に様々な影響を及ぼします。ここでは、尿毒症の原因、症状、治療法を解説していきます。

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記事の提供

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬の尿毒症の原因

悲しげな表情で伏せている犬

尿毒症は、腎不全によって引きこされます。ここでは腎不全の原因を挙げていきます。

急性腎不全

急性腎不全の原因としましては、腎前性(脱水などによる腎臓への血流の減少)、腎性(腎臓の実質自体の障害)、腎後性(尿路が閉塞してしまうことで腎臓に圧がかかってしまう)に分類されます。これらが同時に見られることもあります。

慢性腎不全

腎臓の構造と機能の異常が長期間続くと慢性腎不全と診断されます。糸球体腎炎、腎アミロイドーシスなどによって腎臓が障害を受け、腎機能が低下してしまい、慢性腎不全に至ります。

犬の尿毒症の症状

診察台の上でうなだれている犬

消化管潰瘍、膵炎、腸炎などの消化器系の症状がよく見られ、食欲不振や嘔吐を示すようになります。その他には、貧血、意識障害、四肢の浮腫みなどが見られることがあります。

犬の尿毒症の治療

処置台の上で静脈点滴治療を受ける犬

腎不全の治療を行いながら、症状に合わせた対症療法を行います。また、腎臓の維持管理は定期的な血液検査が必要になります。

急性腎不全

急性腎不全の原因として感染症や尿路閉塞などが存在する場合は、それらの治療を行いながら輸液を行います。輸液は脱水の補正と電解質異常の是正のために行います。さらに、血圧および腎血流を維持し、障害を防ぐ目的があります。
尿量が減ってしまう乏尿、尿が全く作られなくなる無尿の状態になってしまった場合は、血液透析を行います。かかりつけの動物病院に血液透析の設備が無く、血液透析が行えない場合は、利尿剤を用いて尿量を確保することがあります。

慢性腎不全

腎臓への負担軽減に必要と思われれる治療は積極的に行います。
食べてくれるようであれば腎疾患用の療法食を使用します。また、口腔衛生の維持が可能であればウェットタイプが推奨されます。また、循環血液量を増やすための内服薬、上昇してしまった尿素窒素やリンを吸着させるための内服薬などを用いることがあります。

消化器症状の治療

嘔吐が見られたり、食欲不振が認められるようであれば制吐剤を使います。重篤度に合わせて制吐剤を使い分けます。

貧血

慢性腎不全が進行すると貧血を示すことが多いです。重度の貧血の場合は、造血作用のある注射薬を投薬します。注射薬の効果が徐々に落ちてくる場合は、他に原因が無いか精査をするとともに、必要に応じて増量あるいは投与間隔の短縮を検討することがあります。

まとめ

飼い主になでられながらソファで眠る犬

尿毒症は、腎不全で起きる徴候全てのことを呼ぶため、非常に様々な症状が見られます。多岐に渡る症状に合わせた治療が重要です。尿毒症の原因となる腎不全は、併発疾患によっては維持管理が難しいこともあります。また、腎不全は完治する疾患ではありませんが、適切かつこまめなケアを行うことで長期的な予後が見込めます。かかりつけの動物病院とよく相談しながら、尿毒症の治療および腎臓のケアを進めていきましょう。

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