【獣医師執筆】犬の膀胱炎|原因や症状から治療法まで解説

【獣医師執筆】犬の膀胱炎|原因や症状から治療法まで解説

膀胱炎は致命的なトラブルではありませんが、排尿時の痛みや違和感、残尿感などで愛犬の体に大きな負担を与えます。小さなことが膀胱炎のきっかけになることもあります。負担を軽減するために、早期に気づいてあげることや早期に治療をすることが大切です。

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膀胱炎の可能性がある?どんな症状に気をつける?

ペットシーツのそばに座っている犬

膀胱炎と言えば、血の混じった尿が排出されるイメージがありますが、実はそれだけではありません。

よく観察してみると、膀胱炎の可能性があるサインは日常生活の行動から気づくことができるでしょう。

血尿

もっとも気づきやすいのが血尿です。

膀胱で炎症が起こることによって、出血が起こり、尿に血液が混じります。

真っ赤な尿が出ることもあれば、普段の色の尿に少しだけ血液が混じることもあります。

ペットシーツに排せつする習慣がある犬であれば、尿の色の変化に気づきやすいでしょう。

しかし、散歩時に排せつをする習慣のある犬の場合、土やアスファルトの色で、尿の色を判別しにくい傾向があります。

ペットシーツを持ち歩き、排尿時には押し当てて尿の状態を確認する習慣をつけると日常的なチェックがしやすいでしょう。

頻尿

膀胱が炎症を起こすことで、尿を充分にためておくことができず、少量ずつ頻回で排せつをする傾向があります。

少量ずつ尿をした後がトイレに残っていたり、尿意を催すため、粗相が増えるなどの変化が見られる場合があるでしょう。

排せつの痕跡や、一回の尿量を観察することが大切です。

粗相が増えたと感じた場合も、叱るのではなく膀胱炎などのトラブルの可能性も疑う必要があります。

健康なときの愛犬の一日の排尿回数や、一回の排尿量を把握しておきましょう。

残尿感

排尿時の違和感や頻尿だけでなく、膀胱内の尿を排出し終わった後も、残尿感が残って何度もトイレに行く場合があります。

愛犬がトイレに向かったら、尿がきちんと排出されているかどうか確認しましょう。

膀胱炎だけでなく、尿路結石のように排尿がなくなる可能性のある尿閉塞などとの鑑別のためにも、尿がきちんと排出されているかどうかを確認することはとても大切です。

排尿がない場合は、腎臓の問題によって尿がつくられなくなっている場合や、尿路結石によって尿が排出されないトラブルが起こっている危険性もあります。

受診時に、より正確な情報を伝えるために、排尿の有無や排尿量なども把握しましょう。

犬の膀胱炎はどんな疾患との鑑別が必要?

悲しげな表情で伏せる犬のアップ

血尿や尿の回数の変化は膀胱炎を疑いがちですが、他にも疑うべき疾患はあります。

受診や検査のうえ、何の疾患かを確定しますが、どんな疾患の可能性があるのか知っておくことで、判明したときに大きなショックを受けることや、様子を見過ぎて後悔につながってしまうことを防げるでしょう。

ではどんな疾患である可能性があるのでしょうか。

尿路結石

膀胱や尿道に結石ができるトラブルです。

結石によって膀胱内や尿道が傷ついて血尿が出たり、閉塞が起こり排尿困難になる場合があります。

結石により、膀胱や尿道が傷つくこともあるため、血尿が生じることがあるでしょう。

悪化すると尿閉塞という、まったく尿が排出されない状態に陥ってしまいます。

尿が排出されないと、毒素が体に蓄積されてしまって尿毒症を引き起こすため、致命的な問題へと発展する危険性があります。

膀胱内腫瘍

膀胱内に腫瘍ができる場合があります。

膀胱内に形成された腫瘍が自壊をすることで出血し、尿に血液が混じります。

膀胱内にできる腫瘍は悪性である可能性が高いですが、腫瘍ができていることがわかったら、どんな種類の腫瘍かということを検査を行い、腫瘍の位置的に排尿時の邪魔にならないかや大きくなる速度などを定期的にモニタリングを行いながら、慎重に治療を計画することが大切です。

必要に応じて外科的に切除するなどの方法を選択すべきかもしれません。

犬の膀胱炎の治療について

飼い主が差し出すカプセル薬を見つめる犬

膀胱炎は、膀胱中に細菌が繁殖することによって炎症を引き起こすトラブルです。

細菌をこれ以上増殖させないことや、膀胱内環境を整えること大切です。

検査を行いながら、適切な治療を行うことが大切です。

抗生剤の投与

膀胱内に増えすぎた細菌を死滅させる必要があります。

抗生剤の投与は必要ですが、むやみやたらに長期間投与し続けることはおすすめできません。

耐性菌と呼ばれる、抗生剤の効きにくい細菌へ変化してしまうことがあるため、尿などの採取した材料から、原因となっている細菌を特定し、その細菌に効果がある抗生剤を特定して投与するという方法が最近は一般的です。

膀胱炎は繰り返す傾向があるため、前回膀胱炎になったときに処方された抗生剤などが残っていて投薬したくなりがちですが、きちんと適切かどうか受診をしたうえで処方してもらうよう心がけましょう。

尿を排出できるよう飲水量を増やす

膀胱炎の原因となる細菌が膀胱内にとどまってしまうと、膀胱内環境は悪化してしまいます。

細菌も含まれる尿はどんどん排せつできるよう、飲水量を増やして尿量を増やしましょう。

寒さにより飲水量が減り、尿量も減る冬場は排尿トラブルも起こりやすく、水をあまり飲まない犬は改善しにくい傾向があります。

ごはんを水分量の多いものにしたり、スープ状にしたご飯を与えることで水分の摂取量を増やし、尿の排出を促しましょう。

トイレを我慢させない環境づくり

尿を我慢してしまうことは、尿意を催したタイミングに排出できないことで、膀胱炎を悪化させる要因となりがちです。

来客やトイレの環境で気になることがあって我慢をしてしまうことや、留守番時に不安な気持ちが強くて排せつできないこと、汚れが気になって排出できないということは犬の膀胱炎の原因としてよく見られます。

愛犬がトイレを我慢しなくても済むような環境づくりを心がけましょう。

排せつがしやすいようトイレシーツを置く場所を増やしたり、交換をこまめに行う、周囲があまり気にならないような場所にトイレの配置を見直すなどの対策が有意義な可能性が高いです。

まとめ

床に敷いてあるペットシーツの上に座る犬

膀胱炎が原因で致命的なトラブルにつながる可能性は低いですが、残尿感や頻尿などは愛犬にとって大きなストレスとなり得ます。

人間と同様、犬たちに負担をかけないよう、こまめに尿のチェックを行うことや、尿を我慢することなく排せつできるようなトイレ環境づくりをすることはとても大切です。

万が一、膀胱炎などの排尿トラブルが起こっても早期発見・早期治療を行うことで負担を軽減できるよう、愛犬の排尿のことを把握しておくことや、愛犬の体調の変化を観察するよう心がけましょう。

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