【獣医師執筆】犬の脂肪腫|原因や症状から治療法まで解説

【獣医師執筆】犬の脂肪腫|原因や症状から治療法まで解説

脂肪腫とは、分化した脂肪組織によって形成される良性腫瘍です。犬の皮下に発生する腫瘤で最も多く見られるのが脂肪腫です。ここでは、脂肪腫の原因、症状、治療法を解説していきます。

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記事の提供

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬の脂肪腫の原因

犬用ベッドで伏せているシニア犬

脂肪腫が発生する原因ははっきりとはわかっていません。ただし、脂肪腫が発生しやすくなる場合がありますので、以下に挙げていきます。

年齢

脂肪腫は7歳以上の中高齢の犬に発生しやすいとされています。

肥満

脂肪腫は、肥満の犬つまり脂肪組織の多い犬に発生しやすいとされています。ただし、肥満ではない犬にも発生することもありますので注意が必要です。

その他

その他の要因としましては、性別や遺伝的要因が挙げられます。雄犬と比較すると雌犬に発生が多い、ラブラドールレトリーバーに発生が多い、とする説もあります。

犬の脂肪腫の症状

心配するように飼い主の手で顔を包まれているシニア犬

脂肪腫は皮下に発生することが一般的ですが、どの臓器にも発生する可能性があります。脊髄、気道、胸腔内、腹腔内、骨周囲、関節内での発生例が報告されています。これらの場所で脂肪腫が発生した場合は、圧迫や浸潤に関連した症状が見られます。

皮下の脂肪腫

皮下の脂肪腫は、身体の複数箇所に発生することがあり、数年かけてゆっくりと増大します。多くの場合は無害ですが、大きくなり過ぎて生活に支障が出て来てしまう場合や周囲の組織への圧迫が問題になる場合もあります。

浸潤性脂肪腫

周囲組織への浸潤性を示す脂肪腫も存在します。このようなタイプはまれではありますが、四肢などの筋組織に生じやすいとされています。四肢の浸潤性脂肪腫の場合、歩行困難や疼痛などQOLの著しい低下が見られることがあります。

犬の脂肪腫の治療

診察台の上で触診されている犬

皮下に発生する脂肪腫は、境界明瞭な柔らかい腫瘤ですので、触診で脂肪腫である可能性を疑うことができます。無菌性結節性脂肪織炎、肥満細胞腫、脂肪肉腫などと鑑別するためにも細胞診などの検査を受けることをお勧めいたします。

皮下の脂肪腫

皮下の脂肪腫の多くは経過観察で問題無いとされています。脂肪腫の増大や増加が見られる場合は、早めに切除することが望ましいとされています。また、筋組織の圧迫障害を招く可能性がある場合も早めに切除することが望ましいとされています。

手術が難しい部位であったり、手術が難しい年齢や全身状態である場合は、ステロイドの注射薬を脂肪腫に注入することで退縮することがあります。ただし、この治療法は副作用にも注意する必要があるため、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。

浸潤性脂肪腫

浸潤性脂肪腫の場合は、広範囲での切除が必要とされています。正常脂肪組織と脂肪腫との境界判定が難しいため、浸潤性脂肪腫は再発のリスクが高いとされています。四肢の浸潤性脂肪腫で著しいQOLの低下が認められる場合は、断脚術が選択されることがあります。

浸潤性脂肪腫の再発抑制のために、放射線療法を行うこともあります。

まとめ

診察台の上の犬と獣医師に相談する飼い主

脂肪腫は良性腫瘍であるため、すぐに命にかかわることはありません。ただし、発生した場所によっては注意が必要です。脂肪腫の切除後の予後は良好とされていますが、浸潤性脂肪腫の場合は30~50%程度で再発が認められます。

愛犬に脂肪腫を疑う腫瘤を見付けた場合は、大丈夫だろうと判断して様子を見るようなことはせず、必ず動物病院で診察を受けましょう。

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