犬の頸椎ヘルニアのリハビリ方法とは?症状や治療法も解説

犬の頸椎ヘルニアのリハビリ方法とは?症状や治療法も解説

犬の椎間板ヘルニアは良く耳にする病気です。椎間板ヘルニアは、その発症部位によって頸椎椎間板ヘルニアと胸椎椎間板ヘルニアに分かれますが、首の椎間板ヘルニア(頸椎ヘルニア)は、犬の椎間板疾患の約15%を占めています。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

犬の頸椎ヘルニアの症状

足の診察を受ける犬

頸椎ヘルニアの初期症状を見逃さないで

頸椎ヘルニアの初期症状にいち早く気付いてあげて、早期治療をしましょう。
初期症状としては、以下のようなものがあります。

  • 頭を低く構えて、背中を丸めて歩いている
  • 頸部に強い痛みがあり、亀のように首をすくめて動かない(痛みが強いため悲鳴をあげることもある)
  • 散歩中にリードを引くと、首に負担がかかり痛がる
  • 頭を動かすのを嫌う、頭を触られるのを嫌がる
  • 頭を低くし、上にあるものを頭をあげて見ずに上目使いでみるような姿勢をとる

少しでも異変に気が付いたら、すぐに動物病院へ診断と治療を仰いでください。

頸椎ヘルニアは激痛、重症化すると四肢麻痺になる危険

頸椎ヘルニアは、初期症状で激しい頸部痛を引き起こします。
重症化すると四肢の機能が失われ、不全麻痺をおこす こともあります。

犬の頸椎ヘルニアの治療方法とリハビリ法

薬をもらう犬

痛みをやわらげるための内科治療と、原因を除去する外科的治療があります。
病状の症状や具合によって治療法は変わります。

内科的治療法

症状が比較的軽度な場合は、内科的治療を施します。
投薬で痛みや炎症を和らげ、安静にさせます。
この場合、痛みの原因を治すような治療ではありませんので、痛みが引いた後も、生活習慣などで再発する可能性があります。

外科的治療法

症状が重篤な場合は外科的治療(手術)を検討します。
また、内科的治療で改善が見られない場合にも手術を検討することがあります。
首には、太い血管や神経などの重要な組織が集中しているため、手術はやや難易度の高いものとなりますが、術後の改善率は非常に良いようです。

手術前のMRIやCT、脊髄造影などの検査から、どこの神経が圧迫を受けているのかを調べます。
背骨の一部を削り、検査で確定した部位の出てしまった椎間板物質を除去します。

リハビリ法(手足まで影響が出た場合)

手術後は状態に応じて、機能回復をはかるリハビリを行います。
また治療後に再発しないようにするために、自宅で出来るリハビリ法を紹介します。
以下のような方法がありますが、くれぐれも獣医の指導のもとに行ってください。

立つ練習~手足の曲げ伸ばし運動

正しい立ち恰好で立つ練習をします。愛犬の胸部やお尻を手で支えてあげ、愛犬に正しい立ち姿勢を思い出してもらいましょう。
立てるようになったら、手足をゆっくりと曲げ伸ばしをします。こちらも飼い主さんが補助しながら行ってください。

温浴

首から腰に掛けてゆっくりと温めてあげましょう。
温浴後は体が冷えないように、きちんとドライヤーで乾かしてあげてください。

マッサージ

麻痺した脚などに刺激を与えて感覚を取り戻してもらいましょう。

水泳でリハビリ&再発予防

水泳は、身体に偏った負荷をかけることなく全身運動が出来ます。

犬の頸椎ヘルニアの原因や予防対策

マッサージしてもらう犬

椎間板ヘルニアになりやすくなる要因

  • 肥満
  • 老化
  • 犬種の特徴
  • 激しい上下運動

椎間板ヘルニアは小型犬に多く、特に短足になるよう繁殖されてきた犬は、軟骨形成に異常がある場合があります。
ダックスフントやビーグル、ペキニーズ、コッカースパニエルなどの犬種は椎間板ヘルニアの発症が多く報告されています。

予防・対策は、首に負担をかけないこと

頸椎、つまり首に負担のかかる生活習慣が良くありません。
頸椎ヘルニアになってしまう理由はさまざまですが、そのうちの一つとしては、フローリングでの生活が犬の身体に負担をかけるといわれています。
足元が滑るため、首や腰に大きな負担をかけてしまいます。
犬が走り回ったりする生活空間では、極力カーペットなどを敷いて、身体にかかる負担を軽くしてあげましょう。
ソファやベッドに登るワンちゃんには、スロープやステップなどを利用させてください。

また、首の細いワンちゃんや、首が長いワンちゃんは、散歩中にリードを強く引っ張り過ぎることも、首に大きな負担がかかる要因です。
引っ張り癖のあるワンちゃんは、トレーニングで引っ張り癖を直すか、ハーネスを使用するなどの対策がおすすめです。

適度な運動と食事管理で肥満を防止することも、愛犬の健康のために当然のことですよね。

まとめ

砂浜を走るダックス

頸椎ヘルニアを発症しやすい犬種を飼育されている方は、日ごろからの飼育環境や、愛犬の様子に気を遣う必要があります。
足腰に負担のかからない環境や生活スタイルを心がけましょう。
また、ヘルニアの治療は長期的になり、外科手術なども考慮すると医療費がとてもかかります。ペット保険によってはヘルニアの手術は保証対象外になっている場合もありますので、確認しておくことをおすすめします。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    女性 ゴン吉

    胴長短足なわんちゃんは骨に負担をかけやすいので、うちのシーズーも環境には気をつけています。シニアになってからは階段などの昇り降りをさせないようにしました。
    負担をかけないよう、首輪をやめハーネスにしました。

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