【獣医師執筆】犬の膵炎|原因や症状から治療法まで解説

【獣医師執筆】犬の膵炎|原因や症状から治療法まで解説

膵炎とは、嘔吐、下痢、食欲不振などが見られる犬にとっては一般的な病気です。何らかの原因で膵臓の酵素が活性化してしまうことで、膵臓自体にダメージを与えてしまう病気です。重症である場合は、命にかかわってきます。幅広い年齢で認められますが、高齢の犬に比較的よく認められます。ここでは、膵炎の原因、症状、治療法を解説していきます。

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記事の提供

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

膵炎とは?

人にお腹をなでられながら横になっている犬

膵炎とは、嘔吐、下痢、食欲不振などが見られる犬にとっては一般的な病気です。

何らかの原因で膵臓の酵素が活性化してしまうことで、膵臓自体にダメージを与えてしまう病気です。

重症である場合は、命にかかわってきます。幅広い年齢で認められますが、高齢の犬に比較的よく認められます。

原因

膵炎が発症する原因ははっきりとはわかっていません。ただし、膵炎の発症しやすくなる場合がありますので、以下に挙げていきます。

持病がある

高脂血症(コレステロールや中性脂肪の数値が高い)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、副腎皮質機能低下症など)、肝胆道系疾患(慢性肝炎、胆石症など)、などの疾患は膵炎の発症との関連が報告されています。詳細な因果関係は不明とされています。

肥満や食生活

詳細な関係は不明とされていますが、肥満の犬は膵特異的リパーゼ(膵炎の診断の際に用いられる数値)の数値が高いとされています。また、脂肪分の多い食事を摂っている犬、ゴミあさりをしたことのある犬は膵炎のリスクが高いと報告されています。

症状

床に寝転んでいる犬

膵炎の重症度は様々であり、軽度な消化器症状のみで短期的に治癒することもありますが、全身的な炎症反応を引き起こし、短期間のうちに死亡してしまうこともあります。

急性膵炎

嘔吐、下痢、食欲不振、腹痛、活動性の低下などが一般的に認められます。急性膵炎の場合は、これらの典型的な症状が認められることが多いとされています。

慢性膵炎

慢性膵炎の場合は、前述の症状が間欠的に認められたり、症状が不明瞭であることがあります。

治療

点滴液が滴下されている光景

膵炎は、症状、血液検査、画像診断などで総合的に診断されます。とくにSpec cPL(犬膵特異的リパーゼ)の数値が診断に用いられることが多いですが、様々な疾患により二次的に高値になるため注意が必要です。以下に治療方法を挙げていきます。

輸液

膵炎は全身性の炎症を引き起こす疾患であるため、輸液をすることで脱水を改善し、循環を保つために重要な治療となります。特に自力で飲水できない場合は、継続的な輸液が必要になります。

投薬

制吐薬、鎮痛薬、抗炎症薬が用いられます。何らかの感染がある場合は抗菌薬も用いられます。

栄養管理

諸説ありますが、可能な限り消化管を介した栄養補給が治癒につながるとされています。自力での採食が難しい場合は、経鼻食道カテーテルなどを使用することがあります。脂肪分が少なく流動性の高い食事が推奨されています。

まとめ

祈りの姿勢をとっている犬

膵炎は重症である場合は、激しい嘔吐や下痢が見られ、死亡する可能性もあります。

愛犬に嘔吐や下痢が見られる場合は、様子を見ずにかかりつけの動物病院で診察を受けましょう。

また、腹痛が認められる場合には祈りの姿勢(前肢を伸ばして腰を上げる)が見られることがあります。祈りの姿勢が見られた場合は必ず診察を受けましょう。

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