我が家の愛犬が患った「膵炎(すいえん)」とは
何らかの原因により膵液が膵臓内で活性化することで自分の膵臓を消化し、炎症をおこす病気です。重症化すると死に至るとても恐ろしい病気の一つです。
急性膵炎
嘔吐・下痢・腹痛などの激しい症状が突然現れます。食欲もなくショックなどにより死に至ることもあります。
慢性膵炎
嘔吐・下痢・元気がない・食欲不振・腹痛・黄疸などの症状が現れますが、初期では下痢や嘔吐だけだったりするので、膵炎と診断されない場合があります。
現在、通常の血液検査でリパーゼの値が一定値を超えると膵炎を疑い、場合によっては再検査をする病院が多いようです。
膵炎になる原因
- 肥満
- 食事(脂肪分が多い)
- 体質
- 高脂血症
- 薬剤
- お腹の外傷や手術
- ストレス など。
主な症状
- 食欲不振
- 激しい嘔吐下痢
- 黄疸
- 腹痛 など。
腹痛を見分けるコツ
背伸びをしているときのように頭を下げ、お尻を持ち上げるポーズ(お祈りのポーズと言われている)をとります。痛みがあるためしっぽは下がり、数秒間そのままの姿勢でいる犬もいます。
治療法
点滴で膵臓の循環を改善させます。この間、膵臓を休ませるため数日間絶食・絶水にします。ただ、最近では、絶食・絶水は腸の状態にあまりよくないため、できるだけ早めから少量のお水やごはんを食べさせるほうが良い、という考えになっています。 吐き気や痛みが強い場合は制吐剤、鎮痛剤なども併用します。
回復してきたら、脂肪分の少ない食事から開始していき、点滴は徐々に少なくしていきます。
我が家の犬の急性膵炎(10年ほど前です)
症状
2~3日フードの吐き戻しをしていたので気になっていたのですが、元気も食欲もあったので病院に行かずに様子を見ていました。しかしその1週間後に突然茶褐色の液体を何度も何度も嘔吐しました。それからは食欲がなくなり、ゲージの中でずっと丸くなって寝ていましたが下痢はしていませんでした。
膵炎と診断されるまで
病院で通常の血液検査をしたので膵炎と診断されず2日間胃炎の治療をしましたが、症状が改善されなかったので膵炎を疑い治療を変えました。その動物病院では膵炎の測定が出来ず外部に依頼をしたので、膵炎と診断されるまでに3日くらいかかりました。
治療
最低48時間の絶食・絶飲と言われたので、入院をし点滴の治療を受けました。点滴後に腸閉塞などを起こしていないか造影剤を投与し、レントゲンを1~2時間おきに数枚とり、順調に消化器を通って腸まで流れているかの確認します。
点滴を3日間続け順調に回復してきたので、おかゆや処方食を食べさながら点滴を減らしていきました。処方食だけでよくなったので、1週間後に退院しました。
予後
急性膵炎と診断されるまでに時間がかかりましたが、適切な対処療法により治療後は安定していました。
我が家の犬の慢性膵炎(3年前です)
症状
ほとんど症状はありませんでした。食欲も元気もいつも通りでしたが、ある日珍しく夜中に下痢をしたので病院へ連れて行きました。気になったので念のため膵炎の検査をしてもらった結果、慢性膵炎と判明しました。
この頃10歳を過ぎていたので寝ていることが増えたり、歩く速度が遅くなったなと感じていたので老化なのかなと思っていました。しかし、慢性膵炎の症状が改善されると治療前より元気になっていたので、結果論ですが慢性膵炎の影響が出ていたように思います。
(老化と病気の判別は難しいです。)
治療
下痢はすぐに治まり、嘔吐もなかったので内服薬と低脂肪の処方食を食べさせることで改善されました。血液検査の数値も安定してきたので、処方食を続けることにしました。
予防
我が家の犬の場合は食事の管理と過度のストレスをかけないなど生活習慣で気を付けています。食事は低脂肪の処方食を食べさせ、おやつは粗脂肪分10%未満のものを選び、定期的な検査をしています。なお、ミルクなどの乳製品はNGです。
高齢の犬に多いと言われていますが、若い犬でも膵炎になるようです。実際に知人の犬も若い時に膵炎になっている子が何頭かいます。
まとめ
膵炎は症状がなかなか出ない病気です。もし嘔吐や下痢が続くようならどんなものを嘔吐(下痢)したか、色はどうだったか、いつ頃からなのか、など症状の記録を付けておくと受診した時に役に立ちます。定期検診やいつもと何か違うなって感じたら獣医師に相談することが早期発見につながります。
毎日愛犬にかかわっている飼い主さんだからこそ気づくことや感じることってたくさんあると思いますので、どんな小さなことでも気づいたことや感じたことは獣医師に伝えましょう。
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