犬の免疫介在性溶血性貧血とは?
自己免疫介在性疾患とは?
免疫とは、白血球や抗体などが体に入ってきた異物やウイルス、腫瘍細胞などを自己のものではないと判断し、それらを排除しようと自己の体を防御するしくみのことを言います。
しかし、これらのしくみがなんらかの原因によって狂ってしまい、自己と非自己を判断できず、自己の細胞を免疫反応により破壊してしまい、結果、起こる病気のことを自己免疫介在性疾患と言います。
犬に多い「自己免疫介在性溶血性貧血」
免疫介在性溶血性貧血には、
- 抗生物質などの薬剤接種
- ワクチン接種
- 感染症
- 腫瘍疾患
等から続いて起こる「外因性」のものと、原因不明の、「自己免疫介在性」とに分類されます。
犬に多いのは原因不明の「自己免疫介在性溶血性貧血」です。
自己の赤血球に対して抗体ができることで血管内や肝臓、脾臓、骨髄などで自己の赤血球が壊されてしまい、貧血になってしまう病気です。
免疫介在性溶血性貧血が起こりやすい犬種は?
犬種としてはコッカースパニエルやプードルに多いと言われています。雌犬の発生率が雄犬の発生率より2〜4倍高いようです。
どのような経過をたどるの?
免疫介在性溶血性貧血は病態が一気に悪化する急性、もしくは病態の進行が比較的穏やかな慢性経過をたどるものに分かれますが、急性経過の中でも短期間に大量の赤血球が破壊され、貧血が重度に陥ると、死亡率も高くなります。
免疫介在性溶血性貧血の症状・対処法・治療法
症状
貧血のために呼吸が早い、食欲がない、元気がない、などの症状が現れ、舌や目の粘膜が白く見えます。
その他発熱、黄疸、血尿、嘔吐や下痢などの消化器症状なども見られます。
免疫介在性溶血性貧血の治療法
輸血による治療
免疫介在性溶血性貧血の治療は、免疫抑制剤による薬物治療と、悪化してしまった全身状態を維持させる支持療法を合わせて行われます。貧血が重度になれば支持療法として輸血も必要になってきます。
現在の日本にはペット用の血液バンクがないため、免疫介在性溶血性貧血になった場合、動物病院で飼われている供血用の犬や、献血ドナー犬、親や兄弟犬などに血を提供してもらうかたちになります。
輸血は必ず輸血される犬の血液型の判定と、ドナー犬の血と適合するかどうか、クロスマッチという試験を経てから行います。血液の不適合による拒絶反応が起こると、輸血で命を落としてしまうことになりかねないので検査は大切です。万が一のために事前に飼い犬の血液型を知っておくことも早急の措置がとれますので重要です。
薬による免疫介在性溶血性貧血の治療
免疫抑制剤の治療薬としては、主に副腎皮質ステロイドのプレドニゾロンを使用しますが、ホルモンバランスを崩したり、糖尿病を引き起こしたりと、副作用が多い薬剤です。その為、その他のアザチオプリン、シクロスポリンといった免疫抑制剤を併用することも多いようです。
しかしこれらの免疫抑制剤は効果が出るまでに時間がかかりますので、より貧血が重度の場合はヒト免疫グロブリン製剤を点滴で用いる場合もあります。
また、自己免疫介在性溶血性貧血は、血栓症といって、血管内に血の塊ができ、血の流れを止めてしまう病気を引き起こすことが多々あります。その為、抗血栓療法として低分子ヘパリンのような薬も同時に使われることが多いです。
飼い主さんができること
自己免疫介在性溶血性貧血は、1年後の生存率が約50%と言われている、恐ろしい病気です。
たとえ貧血が改善したとしても、この病気が完治することはまれで、免疫抑制剤は長期的に服用することになります。
薬の副作用が出ず、病態が落ち着けば命の危険性も減ります。しかし、この病気は長期戦の為、飼い主さんのサポートが必須です。貧血が重度ですと食欲もなくなり、呼吸も苦しくなりますから、栄養面や環境面でも工夫が必要です。また、飼い主さんの早期発見が病気が治る重要なポイントです。
少しでも様子がおかしいな、と感じたらすぐ動物病院で診てもらいましょう。
ユーザーのコメント
50代以上 女性 マロン
5月の後半、いきなり食欲不振、発熱、大好きなお散歩も行けず、病院に行ったところこの病気が判明しました。
貧血が酷く、ステロイド、ガンマーガード、免疫抑制剤を使っても改善がなく、東京大学の動物医療センターに転院、50日間の入院、その後週1回の通院をしています。
ステロイド投与によって血栓ができてしまい、また副作用で肝臓が悪くなり本当に治療は大変でした。
東大病院は血液内科があり、日本一だと聞いていたのに病状が良くならず途方に暮れた時もありました。
でも、この子に合う薬が見つかり今は、回復傾向に有ります。
難しい病気だとはわかっていますが、大切なこの子を何としても元気にしたいその思いで毎日を送っています。
完治しない病気だということは知っていますが、治ることを信じて出来ることを何でもしてしていきたいと思っています。
30代 女性 38moto
輸血による治療はとても効果がありますが、同じ犬からの輸血は一度しかできません。同じ犬から二回目の輸血を受けると拒否反応が出てしまい死に至ることもあります。
内服による治療薬としてステロイドを使用することが多いと思います。免疫の働きを抑えることで症状の改善を図るものですが、使用する量が多いので副作用がとても強く出てしまいます。この副作用を抑えるために他の薬が必要になったり、予期しない病気を併発してしまったりすることがあり治療は容易ではありません。
完治することは難しいですが、それでも症状を抑制していくことはできると思います。生きたいと頑張る愛犬の気持ちを汲んであげてほしいと思います。
免疫抑制剤を使用している間はワクチンが打てないので、感染症には過剰なくらいの注意が必要です。
女性 ポムポム
そして、こちらの記事を見てどきっとしたのですが私は愛犬の血液型を知りません。犬に献血や輸血の感覚がなかったのも事実ですが、何らかの病気にかかったときや手術のときなど、人間と同じに考えればありえることですよね。気づきませんでした。調べてみると、犬には血液型の種類が9種ほどあるようです。人間より大分多い・・。動物病院で5,000~10,000くらいで調べられるそうです。今は健康な愛犬ですが、もしものときを考えて血液型を調べることを検討したいと思います。
30代 女性 バンバンジー
40代 女性 SUSU
トイプードルの中でも大柄の方で、お散歩は大好き、いつも元気いっぱいで前日まで全く症状はなかったそうで、お散歩仲間だった自分もとてもショックを受けました。
獣医さんからは、突然、極度の貧血状態に陥ったためで、考えられる原因は見当たらないと言われたそうです。
理由もなく突然、亡くなるといった病気があるのか、防ぎようもないとしたら、飼い主としてどうしたらいいんだろうと、この病気について少し勉強をしたことがあります。
記事にもあるように、外因性のものと原因不明の自己免疫介在性のものとがあります。原因不明によるものが多いそうですが、予防出来る手段としては、過度の薬剤接種は行わない、感染症にかかりにくい丈夫な身体をつくる、シニア期に入れば特に、定期的な健康診断を受けさせるといったことはわりと簡単に出来るのかなと思います。
その他、ワクチンの接種についてですが、毎年のワクチン接種には様々な意見があります。欧米諸国では3年おきであるのに対し、日本の毎年接種は身体に負担がかかりすぎる、又は、欧米諸国と日本のワクチンは製造方法が異なっており、日本のワクチンの抗体期限は1年であるといった意見もあります。
どちらの意見が正しいのかは、判断が難しいところでもありますが、過度なワクチンの接種はワンコの身体に大きな負担となり、免疫介在性溶血性貧血だけでなく、内臓に深刻なダメージを与えることも考えられます。
ワクチンは必要ですが、毎年の狂犬病予防接種とワクチン接種の時期は、獣医師界にとっては経済的に潤う時期とも言われています。
飼い主としては不要な接種は避けたいところですね。
我が家では、9歳とシニア期に入ったこともあり、ワクチンに対する抗体検査をしてもらってから、必要に応じて接種をしてもらうようお願いしています。抗体検査を受け入れている病院は多くはないのですが、インターネットなどで探すことは可能です。
なお、貧血予防の食材としての代表的なのはレバーですね。ビタミンB群が豊富で赤血球を作り出す手助けをしてくれます。なお、レバーの中でも豚、鶏、牛の順に鉄分の量が違い、貧血には豚のレバーが最もお薦めです。
その他、鶏ハツ、豚ハツ、納豆、卵の黄身、青のり、ひじきなどにも鉄分は含まれています。
栄養面からのアプローチとしては、レバーだけでなく様々な食材を定期的にバランスよく取り入れ、貧血を予防していくしかないのかもしれません。
原因不明の場合には、なす術もないのが現実かと思いますが、飼い主としては、例え無駄となっても出来る予防策を講じていきたいと思っています。
女性 コロ
予防したくても原因が不明では難しいと思いますが、日頃から体調を整えておくことも予防のひとつになるのではないかと思います。
女性 バンビ
知人がこの病気の治療中のわんちゃんを買っています。薬を飲ませる時間だから、病院へ迎えに行く時間だから、と仕事と掛け持ちでとても大変そうです。わんちゃんが大変なのはいうまでもありませんが。
知人は犬を理由に仕事場では肩身が狭い思いをしているそうですが、理解のある上司に恵まれて残業仕事は持ち帰りで対応させてもらいながら、できるだけ療養中のわんちゃんと多くの時間を過ごせるようにしているそうです。
女性 ゴン吉
体内の水分量等バランスが崩れやすくなってしまうので、心臓病を持つ犬も危険です。
飼い主さんもステロイドのメリットデメリットを知っておく必要があると思いました。
30代 女性 N
現在もプレドニゾロン、アトピカを飲み続け、血液検査を週に1度くらいで受け慎重に薬の調整をしてもらってますが、なんせステロイドは副作用の強い薬なので肝臓肥大でお腹が膨張し、散歩もほとんど歩く事なく食事以外はずっと寝ています。毎月の治療費の事も含めると愛犬も飼い主もとても辛い病気だと思います。
可愛い愛犬にもう半年ほど副作用の強いステロイドを飲ませているので本当に心が痛みます。
10代 女性 いお
生存率が一年後50%という事を知り心が張り裂けそうです。苦しいです。
まだ、わんちゃんは2歳半です。一週間前まであんなに元気だったのにいきなりこういう風になるとは思っていませんでした。
ステロイドを打ち今は元気に回復していますが、血小板の数値が下がっていく一方です。不安でたまりません。
20代 女性 匿名
散歩のペースが突然遅くなり、尿の色が茶色くなった事で異変を感じ病院へ行きました。免疫の活動を抑える注射の為に5日間毎日病院へ通い、苦手な薬も試行錯誤して飲ませました。
その時にはもう末期だったのかもしれません。最後の2日間は歩く事も出来ませんでした。
同じ病気で頑張っている子達を見る度に、どうして愛犬だけがあんなにあっという間にと思ってしまいます。
もっと早くにSOSを出していたんじゃないか、それに気づいてあげられたらと後悔してもし尽くせません。
言葉を話せないペットには過保護なくらいで十分だと思います。少しでもおかしい所があればすぐ病院に連れて行ってあげてください。
30代 男性 匿名
私はそれを知らずに自己判断でステロイドの投薬量を減らし、その後あっという間に溶血が進行して愛犬の命をなくしてしまいました。一生の後悔です。
30代 男性 ウチのワンコ
とは言っても、一時は危篤状態(ヘマトクリット値 6%)となり、ステロイド投与に輸血もしました。何とか一命をとりとめ、その後、錠剤のステロイドで回復→再発→ステロイドで回復を幾度か繰り返しました。
その間、原因を突き止めるべく様々な検査をしましたが、確信できるような結果が何も出ず、医師の見解も先天性ではとのことでした。それでも諦めきれず、完治を願い原因を探る中、1つ怪しいものが浮かび上がりました。
寄生虫予防薬(マイフリーガード)です。思えば、再発の数日前には、この薬を付けていたのです。それに気付いた後、寄生虫予防薬を止めてから順調に回復し、ステロイドも止め、現在に至るまで再発は一度もありません。
もちろん、溶血性貧血の原因が全て寄生虫予防薬が原因とは思っていませんし、薬に対する抵抗力や反応にも個体差があるでしょう。
ですが、ウチのワンコは99%寄生虫予防薬の副作用によるものだと思います。
闘病中、この病気について調べても、悲しい情報しか見つかりませんでした。涙もたくさん流しました。だからこそ、同じ病気でつらい思いをされている方に、完治できる可能性があること、そして原因の一つに寄生虫予防薬があることをお伝えし、少しでも力になれたらと思い投稿しました。
ワンコだって家族です。 そんなワンコがこの病気を乗り越え、共にまた幸せな日々が送れますことを心よりお祈りします。
50代以上 女性 あい
40代 女性 匿名
でも先生がお腹を触った時に熱かったらしく体温を計ったら熱がありました。
この時点で腰痛と発熱は関係がないので気になると言うことで様子見になりました。結果1週間経過しても元気ないまんまで血液検査をして免疫介在性溶血性貧血と診断されました。
そこから現在に至るまで毎日通院して血液検査してヘマトクリット値をチェックしてます。ヘマトクリット値が良くなってきて喜んだのがお盆前でした。
その時に脇腹にへんなコブを見つけ翌日先生に診てもらったら肥満細胞腫でした。つまり癌です。これまでに輸血三回、ガンマーガード一回、脾臓が4倍に腫れて輸血しながらの脾臓摘出手術もしました。
ステロイドを連続して使えば肝臓がやられ、休んで、またステロイドしての繰り返しです。免疫抑制剤、分子標的薬、造血剤、肝機能を守る薬、肝機能の働きを良くするサプリを飲んでます。飲み薬は状況を見ながら種類や組み合わせを変えてみていってます。先生もこんなにいろんな病気が併発してる犬は初めてだと言ってました。今は先生と主人と私とで密に情報を共有しながら闘ってます。今日も、輸血してます。いつまでこんなことが続くのか、、。頑張るしかないです。頑張れるとこまで頑張ります。同じ病気を持つ飼い主さんが頑張ってるので私も頑張ります。
20代 女性 にゃー
いつ消えてもおかしくない小さな命だと病院で言われ、たくさん涙を流しました。
完治は難しいと聞きましたが、元々野犬の子犬でしたので野犬時代には体験出来なかった美味しいご飯や、暖かい寝床で1日でも多く幸せな日々を送って欲しいと願いながら、毎日お薬を飲ませております。
40代 女性 匿名
40代 女性 匿名
7歳2ヶ月の元気な女の子で、おしっこの色がちょっと濃いなと思い病院に行ったら、その日はそんなに心配することないでしょうと言われて帰宅しました。
その夜やけに私の顔を見つめるなと思ったのですが、そのまま就寝しました。
翌朝、散歩に行くよって声をかけると、後ろ足がフラフラで今にも倒れそうな状態で慌てて病院へ。
貧血がひどく、即入院しました。
原因がわからないので、詳しい検査等をしてましょうとのこと。
玉ねぎ中毒をまずは疑うそうですが、あげるわけもなく。あとはダニなどの感染症なども調べてもらいました。
結果は自己免疫介在性溶血性貧血。
悪化すると輸血が必要になるけど、大型犬のお友達はいますか?と聞かれる。
うちの子は犬見知り人見知りが激しいので、一度も友達ができたことがない。途方に暮れる私に、先生が、ボランティアのワンチャンがいるから聞いてみるって言われて本当助かりました。
その夜病院でも全く食事も取らなかったので病院が休診日なので翌日帰宅することに。
帰ってすぐご飯をがっついて食べたので安心していましたが、翌日は全く口にせず、横になったままでした。
心配になり、救急に電話相談しても緊急性はないと言われ次の日まで待つことに。
翌日の血液検査で、緊急を要するレベルの貧血で、やはり輸血が必要とのこと。
輸血はクラスマッチを行うけど、うちの子はもし合わなくても輸血しなければ持たないのですると言われました。
どんなことをしても助けてくださいとお願いするしかありませんでした。
夜遅く先生から連絡があり、ボランティアで大型犬2匹連れてきてくださり、クラスマッチで1匹と合致したので、今から輸血します。輸血が終わるまでは経過観察しますが、翌朝までは個人病院なので無人になります。と言われました。
心配な夜を過ごしましたが、容態は落ちついていました。その後しばらく入院して、自宅に帰ってからもステロイドなどの薬は欠かせません。
副作用で多飲多尿で、オシッコシートを部屋中に敷いています。
食欲も尋常じゃないほど食べます。今まで少食だったので、作りがいはありますが、体重の増加には注意が必要です。
発症して1ヶ月半経ちましたが、ステロイドも少し量が減りました。
これからまだしばらくは薬との付き合いは続くと思いますが、あの時輸血してなければ間違いなく亡くなっていたといわれ、供血犬のありがたさ、身に染みました。
先生にお礼のお手紙を渡していただきました。こんな病気にならなければ、知らなかったことが沢山あります。
また病気になって不安でどうしようもない日々を過ごしました。
同じ病気で悩んでいる人に少しでも希望を与えられるよう、がんばります。