犬のレプトスピラ症とは
犬のレプトスピラ症は「レプトスピラ(Leptospira)」という病原体によって引き起こされる動物性由来の感染症です。レプトスピラ菌はらせん状の細菌で、両端がフック状に曲がっているのが外見的特徴です。別名、ワイル病や秋疫(あきやみ)、七日熱などとも呼ばれています。
レプトスピラ菌は感染したドブネズミなどの尿から排出され、水や土壌を数週間にわたり汚染します。犬などの動物や人にも感染する恐れがあることから、汚染された水や感染している動物には不用意に近づいてはいけません。皮膚に傷があるとレプトスピラ菌が体内に侵入し、感染の確率が高まるので注意が必要です。
レプトスピラ症は、ブラジルやフィリピン、タイなどの熱帯、亜熱帯地域で多くみられます。日本でも1970年代前半ころまでは、人がレプトスピラ症に感染し年間にして約50名以上の死亡例が報告されていました。日本国内の衛生環境が整備され、改善されたことにより、レプトスピラ症患者数は著しく減少していきました。
犬のレプトスピラ症の症状
犬のレプトスピラ症の症状は、主に3つの症状に分けることができます。「不顕性型」「出血型」「黄疸型」それぞれの症状を分析していきましょう。
不顕性型
犬のレプトスピラ症の不顕性型は、病気が進行している状態ですが、感染したレプトスピラ菌に対して犬の体内に抗体ができ、表には症状が出ることなく自然に治癒することがあります。しかし不顕性型であっても排尿や排便などによって細菌をばら撒き、人への感染源となるため注意が必要です。
出血型
出血型は主に、レプトスピラ.カニコーラという種類の感染によって起こる症状の一つです。1〜2日間に渡り高熱や食欲不振、鼻血や吐血、血の混じった下痢などがみられ、死亡率は高いとされています。人にも感染リスクがあるため、レプトスピラ症に感染している可能性のある犬の尿や便を素手でさわってはいけません。
黄疸型
黄疸型も出血型と同じく、高熱などを主な症状とする犬のレプトスピラ症の症状です。主にレプトスピラ.イクテロヘモラージという種類のの感染によって起こり、食欲不振や嘔吐、下痢、出血とよく似た症状がみられます。お腹の色が黄色っぽく変色する黄疸や血色素尿が出たりするのが特徴で、やはりこちらも死亡率がは高くなる傾向があります。
犬のレプトスピラ症の治療とワクチン
細菌感染症である犬のレプトスピラ症の治療は、抗菌薬の投与が主体となります。症状の度合いや年齢、アレルギー体質かどうかなどにもよりますが、「ペニシリン」や予防ワクチンとしても使われる「ドキシサイクリン」などの抗生物質を中心とした治療を行います。レプトスピラ症は、重症型の症状があらわれる前の、なるべく早い段階から、適切な治療を受けることが大切です。
犬のレプトスピラ症の予防と対策
保菌動物に近づかない
沖縄県ではネズミやイノシシ、マングースなどの野生動物がレプトスピラ症の保菌動物であると考えられています。犬などのペット、牛や豚などの家畜が感染してしまうと保菌動物になりえます。1頭が感染すると人や他の犬にも感染するので、多頭飼いをしている家庭では特に気をつけなければいけません。
また稀な例ですが、尿などを介して人から人へ感染したという報告もあります。人獣共通の感染症ですので、十分に注意しましょう。
水辺に近づかない
レプトスピラ症が流行っている地域では、「不用意に川や池などの水場に入らないこと」「特に洪水のあとには絶対に入らないこと」と注意を呼びかけています。野外ではレプトスピラ菌を含んでいる危険性のある汚水を犬が舐めないように気をつけるとともに、人もその水に直接ふれないよう注意しましょう。
レジャーが盛んな沖縄県においては、カヌーなどの淡水レジャーやウォータースポーツに関連して、散発的な発生が認められています レプトスピラ症に人が感染する原因の大部分を占めているのが、こうした水辺での感染です。観光や趣味などで頻繁に川に入る機会がある方は注意しましょう。
予防接種を受ける
ワクチンの接種が犬のレプトスピラ症を予防するなによりの方法です。ワクチン接種にはメリットとデメリットがありますが、かかりつけの獣医師さんに確認した上で接種するようにしましょう。
また薬物予防として、治療にも使われる抗菌薬「ドキシサイクリン」の内服も予防に効果があります。ただし、抗菌薬の長期間服用は、耐性菌の出現の問題や副作用が出る可能性があるのでなるべく控えましょう。
消毒する
レプトスピラ症の原因となるレプトスピラ菌は熱や乾燥、酸に弱く、ヨード剤や次亜塩素酸ナトリウム、逆性石けんなどの消毒薬を使って簡単に細菌を死滅させることができます。
また加熱する場合には、50度~55度で10分~30分間程度の時間を目安に行いましょう。
まとめ
犬や人が感染するレプトスピラ症は、死に至ることもある怖い感染症の一つです。最悪の事態が起こらないよう、ワクチン接種し症状がひどくなる前に早期発見し、治療を受けることがとても重要です。
飼い主さんは犬と自身を感染から守るために、水辺にむやみに近づかず、帰宅後はしっかりと手を洗うなどの予防法を心がけましょう。
ユーザーのコメント
女性 とっと
最初に言った動物病院では、家のわまりに家畜がいなかったりねずみのいない環境であれば必要ないですよ~と言われ、ワクチンの種類も少ないものを接種した気がします。パピーのころでしたのですぐに次のワクチン接種があり事情により家の近くの別の医院に行きました。そちらでは、大きな公園に行く可能性があるかないか(他の犬との接触や草むらにはいろいろな可能性があるとのことでした。)や私達の生活スタイルや今後の可能性など細かく説明をしてくださいました。結果、レプトスピラの含まれた混合ワクチンを接種し1ヶ月ワクチン接種の機会が増えた記憶があります。無知だった飼い主の責任ではありますが、わんことは自然の豊かなところにも一緒に遊びにいきたいですし、予防はしっかりとしてあげたいです。また、万が一飼い主も含めて人間に感染させてしまったら、と考えたらとても怖かったです。
30代 女性 みみちゃんママ
特に私が住む神奈川の動物病院での話ですが、ワクチンを受ける際には、西日本(特に九州・沖縄)に行く機会はありますか?と発症エリアマップを見せながら聞かれました。そうでなければ関東圏でも神奈川はこの症例が少ないので副作用も考えて5種でも大丈夫ですよ、と言われます。
西日本方面に行く以外では、感染源は河川と言われているので、もしアウトドアなどで頻繁に河川に連れて行ったり、河川で泳がせるという場合は接種した方が良いケースもあるそうですが、かなり特殊なケースだとは思います。
中には知らず知らずいつも通り毎年5種で良いと思ってしまっている人もいらっしゃるかと思いますので、この病気をきちんと理解して、引越しや旅行、アクティビティなどでもしかして?と思ったら獣医さんに相談するのが一番だと思います。
40代 女性 なっつぼん
こんな名前の感染症があったんですね。
うちはトイプーですが、通常のお散歩以外は山や川などアウトドア系にはほとんどつれて行くこともないのですが、ワクチンはきちんと毎年必ず接種しています。
ただ、やはり気になるのはお散歩時に電柱や草の生えているところで小をする時に匂いを嗅いだり、ちょっと舐めたりする行動もあったのでそういう場所でも感染する可能性も十分にありますね。犬の習性でもある為、縄張りを作る為に小をする前に匂いを嗅ぐという行為も仕方ないので「ダメ・ダメ」というのも難しいですが・・・
このレプトスピラは人間にも感染する可能性があるということも十分に気をつけないといけないですね。
うちに感染源のねずみは居ないから大丈夫ではないかもしれません。
感染症の恐ろしいのは目に見えないものが知らず知らずで拡がることです。
また、もし感染していれば何かしらの症状が出ているはずなので、日々こまめに愛犬の健康状態をチェックするのも飼い主として大切な役割だと改めて考えさせられました。
20代 女性 匿名
女性 コロ
ただ、場所にもよるかもしれませんが、最近では混合ワクチンの種類や特定製造会社で作られたものが検査で不合格になり、接種できない場合があります。動物病院で相談して必要なワクチンで予防してくださいね。
女性 メロンパン
人間にも感染する病気なので、もちろん人間向けの警告です。
ネズミが媒介すると聞いて、都会に住んでいるので必要ないかな、と思ったのですが、ネズミって都会の方がいっぱいいるんじゃ…と思い付いてヒヤッとしています。今度動物病院に行ったら聞いてみよっと。
女性 ゴン吉
もちろん駆除できるものは駆除し、予防できるのならワクチンで予防するに越したことはありません。混合ワクチンの内容も確認しておくといいですね。
猫はネズミをどこかからとってくるので、猫を飼っているお家は注意した方がいいのでは?と思いました。
40代 女性 匿名
動物病院では注意勧告が出ていました。
黄疸型らしいです。
猪名川付近の方は気をつけてください。