1.歯周病
歯周病が悪化した時の犬の口やよだれは強い悪臭になります。その強い臭いに異変を感じ、歯周病の悪化に気付いて治療を開始する飼い主さんも多くいます。
よだれの粘り気が増える
歯周病を発症しているときの犬のよだれは粘り気が強くなります。これは口内で細菌が増殖して活動が活発になることで、細菌たちが出す代謝産物が増えることが原因です。細菌が原因のぬめりは「バイオフィルム」とも呼ばれるもので、排水口や水回りのぬめりもバイオフィルムです。
犬の唾液は細菌が繁殖しやすいアルカリ性
健康なわんちゃんでも、食後の食器がヌメヌメすることがあります。犬の唾液はアルカリ性に傾いているため虫歯にはなりにくいのですが、その代わりに細菌が増殖しやすい環境です。そのため、犬の唾液が付いた食器がヌメヌメしてしまうことがあります。
歯周病は一刻も早い治療開始を!
歯周病は進行してしまうと歯が抜けてしまうだけでなく、膿が鼻や目の下の頬を突き破ってあらわになったり、細菌が全身に回ってしまい更なる病気の原因にもなる怖い病気です。歯周病は放っておくとどんどん進行し、わんちゃん自身の苦痛も大きくなってしまいます。
よだれや口臭が異常な悪臭になった後では自然治癒は難しいため、動物病院での適切な治療を開始する必要があります。
2.胃腸の不調
胃酸過多
胃酸過多のよだれの場合、
- 酸っぱい臭い
- 黄色っぽい
- 白い泡状
などのよだれが出ることがあります。胃酸が多く混じっているよだれは、胃酸の色の黄色っぽいものになります。よだれというよりも、過多になった胃酸を吐き戻してしまっている状態です。
犬の胃酸過多の原因
犬の胃酸過多が起きる原因には
- 空腹状態が続いた
- 刺激物を食べた
- ストレス
などがあります。
食が細くごはんを少量しか食べないわんちゃんは空腹状態が続くため、胃酸過多によって胃酸を吐き戻すことも多くあります。できるだけわんちゃんが好んで食べてくれるごはんを、1回の量を少なくして回数を増やしてあげると空腹の時間が短くなります。
また、犬にとって刺激になる物を食べた後にも胃酸が過剰に分泌されやすくなります。そして、ストレス状態になると自律神経の働きが低下してしまうため、胃が正常に働かずに胃酸過多になってしまうこともあります。
胃酸過多になると嘔吐が増えるため、臭いの強いよだれや嘔吐が多くなった場合は受診するようにしましょう。
胃腸炎
よだれが酸っぱい臭いになり、嘔吐や下痢も見られる時には胃腸炎を起こしている恐れもあります。
胃腸炎の原因は
- 腐ったものを食べてしまった
- 食べなれないものを食べた
- 誤飲誤食
- 細菌やウイルスに感染した
- ストレス
など多岐にわたります。
胃腸炎には慢性と急性がある
胃腸炎には慢性なものと急性なものがあります。よだれが増えるのは急性胃腸炎に多く、黄色い胃液や血液交じりの胃液を吐いたり、水っぽい下痢があるなど激しい症状が見られることが多くあります。このような症状が見られた場合にも早急に受診するようにしましょう。食事に原因がありそうな場合、何を食べたのかを獣医師に伝えるようにしましょう。
3.尿毒症
よだれの臭いがおしっこのようなアンモニア臭になった場合には、尿毒症などの腎臓疾患を起こしている恐れがあります。腎臓に何らかのトラブルが発生すると、本来おしっことして排出されるはずの毒性物質が体内に留まってしまい、身体がアンモニア臭で満ちてしまい口からもおしっこのような臭いがすることがあります。
よだれや口臭の異変のほか、
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- ぐったりする
- 体重減少
- 多飲多尿
などの症状が見られることがあり、悪化してしまうと意識の混濁やけいれんなどの重篤な症状が出る恐れがあります。
定期的な血液検査や尿検査をしよう
尿毒症を発症してしまう前に、腎臓のトラブルの早期発見と早期治療が大切です。定期的に血液検査や尿検査を受けることで病気の早期発見に繋がります。すでに症状が見られた場合には早急に受診するようにしましょう。
まとめ
今回は「愛犬のよだれが強い異臭になる原因」を3つ解説いたしました。
よだれは消化機能の一環として分泌されるものなので、おいしいものを目の前にすると大量に出てしまうこともありますよね。このよだれが異臭になった時にはお口の中や内臓にトラブルが起こっているサインであることが考えられます。
犬のよだれがきつくなりやすい病気には
- 歯周病
- 胃腸の不調
- 尿毒症
などがあります。
よだれの臭いは口臭とも通じており、口臭が悪臭になった時には病気のサインである可能性が高いです。病気によってよだれの臭いや口臭の原因も違いますので、この3つの病気によるよだれの臭いも生臭かったり、酸っぱかったり、アンモニア臭がしたりと悪臭の種類が違います。よだれの臭いがきつくなったと感じた際には受診して獣医師に相談してみるようにしましょう。