犬の早食いの危険①喉に詰める
犬が早食いすることで起こりうる危険としてまず心配なのが、喉に詰めることです。これは人間でも同じですが、早食いということは口の中で咀嚼する時間が短いため食べ物が大きいままもしくは丸飲みする形となってしまいます。
ドッグフードは一粒が小さいので、丸飲みしてもそれほど危険はないと考えられがちですが、口の中で唾液を含んでやや膨らんだドッグフードを同時にたくさん飲み込んでしまうと、狭い食道を通るときにギュッと詰まって固まってしまうことがあるのです。
詰まらせながらもえずいたり喉の筋力で無理やり飲み込むということを日常的にくり返していると、食道や胃などの消化器に負担を与えることになります。そして、当然のことながら詰まりの症状が重い場合は呼吸困難に陥り、発見や処置が遅れると死に至る危険もあります。
犬の早食いの危険②嘔吐・下痢
早食いをすると吐いてしまうことがあります。犬は比較的よく吐く動物なので、あまり気にしていない飼い主さんもいるようですが嘔吐は体に大きな負担を与えてしまいます。
特に胃酸が逆流することで食道などの粘膜を荒れさせてしまい、胃炎や食道炎、膵炎などを引き起こすことがあるのです。そうして消化器官が弱ってしまうと下痢をしやすくなり、嘔吐・下痢が慢性化していってしまうと考えられています。
嘔吐・下痢は体に負担をかけるだけでなくドッグフードをしっかりと消化・吸収できないまま体外に排出することになるため、ドッグフードに含まれる栄養を十分に吸収することができません。しっかりと食事を与えていても、栄養を吸収することができていないのでは栄養不足になり、体重減少などを招いてしまうことがあるので注意してください。
犬の早食いの危険③胃拡張・腸捻転症候群
胃拡張・腸捻転症候群は、早食いをすることで引き起こされる危険性のある急性の病気です。食事後などに胃が大きく膨らみ、その状態の時に激しい運動をすることなどで胃や腸がねじれて胃捻転・腸捻転を起こします。
そうすることで周囲の大きな血管も一緒に捻じれてしまって血のめぐりを滞らせて壊死させ、他の臓器との循環にも影響を与えてしまい、最悪の場合死に至ります。
胃拡張・胃捻転・腸捻転を起こす原因として、早食い・大食い、異物(布・綿・石など)の誤飲、速く荒い呼吸、咳、激しい運動などが考えられています。特にグレート・デンやボルゾイ、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなど胸の深い大型犬に起こりやすいと言われていますが、ダックスフンドや柴犬などの小型・中型犬にも見られるのでどの犬種でも注意が必要です。
捻転を起こすと嘔吐したくても吐くことができず、苦しそうに丸くなったり荒い呼吸をするようになります。さらにお腹が大きく膨れてきて、動くことや体を触られることを極端に嫌がるようになるでしょう。次第にぐったりとして舌や粘膜が白っぽくなったり紫色に変色。適切な処置を行わなければ24時間以内に死亡してしまいます。
胃拡張・腸捻転症候群の特徴として、症状の進行が非常に早いことが挙げられます。食後1~3時間以内に症状が現れ始めることがほとんどなので、愛犬が早食い傾向にある場合は食後の様子に注意しましょう。
まとめ
元々犬の口内や歯は、草食動物のように食べ物を細かくすりつぶすような食べ方には適していません。さらに狩猟動物としての遺伝子を持っているため、食べ物が目の前にあると他の動物に取られてしまわないように急いで食べようとする傾向を持っています。
狩りをしていた頃は生肉を主食としていたと考えられていたため、そのような食べ方をしても問題なく消化することができていましたが、水分が少なく穀物を多く含むドッグフードの場合は生肉に比べて消化に時間がかかるため早食いをすることでさまざまな問題が起こってしまうのです。
ドッグフードは栄養バランスの取れた優れた食事ですが、その形状は犬の消化機能に適しているとは言えません。そのため、ドッグフードを与えるときは一緒に水分を取れるようにしたり、食器の高さを調整したり、愛犬に適した粒の大きさや形状のものを選ぶなど早食い防止、また早食いによる体への負担を減らしてあげるよう対策をしてあげてください。