愛犬とキスをする危険性3選!何気ない行動にもリスクがあることを考える

愛犬とキスをする危険性3選!何気ない行動にもリスクがあることを考える

愛犬とのスキンシップの中でキスをしたり口元を舐められたりすることもあると思います。しかし、犬とのキスにはいくつかのリスクと危険性があるということを知っておいてください。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬とキスする危険性①人畜共通感染症

マスクをしている犬

愛犬とのキスで最も懸念される危険性が感染症です。キスをすることで粘膜の接触が起きたり、唾液感染が起きたりして犬が持つ病原体が人に移ってしまうのです。犬が持っている病原体が犬を介して感染し、ヒトに疾病を引き起こすことを「ズーノーシス(zoonosis)」「人畜共通感染症」と呼びます。以下で、代表的な人畜共通感染症を紹介します。

カプノサイトファーガ感染症

約74%~82%の犬の口腔内に常在するの細菌で、犬にとっては無害ですが人に感染すると発熱や倦怠感、嘔吐、腹痛、頭痛などを前駆症状として、重症化すると敗血症や髄膜炎などを引き起こすこともあると言われています。

パスツレラ症

パスツレラ症はパスツレラ・マルトシダ(Pasterurella multocida)という細菌によって起きる感染症。約75%の犬の口腔内にいて、キスしたり噛まれたりすることで人にも感染します。皮膚化膿症を中心に呼吸器系疾患や骨髄炎、敗血症や髄膜炎などの重い症状も確認されています。

サルモネラ症

犬から人にサルモネラ菌が感染することでサルモネラ症を発症し胃腸炎などを引き起こします。基本的に健康な成人であれば重篤な症状にまで至るケースはほとんどないとされていますが、乳幼児や高齢者、病後など免疫力が低い場合は重篤な症状や合併症を引き起こし、最悪死に至るケースも報告されているので注意が必要です。

トキソプラズマ症

トキソプラズマという原虫という病原体によって引き起こされるトキソプラズマ症は、健康な成人にはあまり影響がないと言われていますが妊娠中には注意が必要です。妊娠中にトキソプラズマ症に初めて感染すると、胎盤を通して胎児に感染し流産や胎児の先天性疾患を引き起こすことがあるとされています。

狂犬病

人畜共通感染症として広く知られている狂犬病は、犬や人はもちろんあらゆる哺乳類にとって非常に危険で、発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい病気です。ただし、狂犬病予防法が制定され、狂犬病予防接種が義務付けられているている日本では、1950年以降狂犬病発生の確認はされていません。

また、狂犬病に感染し、発症した犬は錯乱状態になり、その後無気力状態、昏睡状態へと進行するため、飼い主とキスをしたりスキンシップを取ったりするような状態にはありません。そのため、日本国内で暮らす愛犬とのキスにおいて狂犬病について心配する必要はないでしょう。

犬とキスする危険性②アレルギー

女性にキスするジャックラッセル

犬とキスをすることでさまざまな疾病を引き起こす感染症の心配がありますが、その他にも回虫や寄生虫感染のリスク、アレルギー症状を引き起こすリスクなども考えられます。

草むらに入った犬には、ノミやダニなどが寄生していることもあるでしょう。愛犬と顔を近づけてキスをしたりスキンシップを取ることで、キスすることが関係しなくても、 そうしたものによるアレルギー症状が出たり、何らかの感染が起こることことも十分に考えられます。

近年ではマダニにかまれてSFTSウイルスに感染したペットを媒介して飼い主に感染が及んだ例も報告されているため、十分に気をつけなければなりません。

また、犬自身の唾液や皮脂腺から出されるたんぱく質などによって、犬アレルギーが引き起こされることも。そばにいる程度であれば問題なかった人も、そうした接触によってアレルギーを発症してしまったという例が報告されているのです。

ただし、赤ちゃんの頃から犬と接触していることでアレルギー体質になりにくいという報告もあるため、今後も注目していくべき情報だと思います。

犬とキスする危険性③噛まれる、怪我

女の子の鼻を噛む犬

犬とキスをする危険性として最も起こりうるのが、犬に噛まれることによる怪我でしょう。もちろん、キスなどでスキンシップを取るような関係性なので普通にしていれば愛犬が噛んでくることはないと思いますが、咬傷事故は思わぬタイミングで起こるのです。

スキンシップを取っているときに急な物音にびっくりして目の前にある飼い主さんの顔を噛んでしまったり、飼い主さんの反応が楽しくて鼻に咬みついてみたり…。決してわざとではなく、悪気があるわけではなくても犬が飼い主さんを噛んでしまうということはめずらしいことではありません。

噛まれたことで傷ができ、犬の唾液によって細菌感染を引き起こすこともあるということを忘れないようにしましょう。

まとめ

キスしている女性と犬

犬とキスをしてスキンシップを取ることは幸せな時間だと思います。免疫力の高い健康な成人であれば、犬とのキスによる感染症などについてはそれほど心配する必要もないかもしれません。

しかし、犬とキスをしているうちにふいに噛まれて怪我をしてしまったり、犬の口腔内にいる細菌が傷から侵入して化膿してしまうといった危険性などもあります。犬とキスをすることは、あまり衛生的とは言えませんし、感染症や怪我の可能性あるということを忘れず適切なスキンシップを心がけてくださいね。

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