梅雨の時期は要注意!犬の皮膚にできる『ホットスポット』を知っておこう

梅雨の時期は要注意!犬の皮膚にできる『ホットスポット』を知っておこう

犬の急激に発症する皮膚炎は「ホットスポット」とも呼ばれ、短時間でひどく発症することから不安になってしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます。ホットスポットは特に梅雨時期にかけて発症しやすいため、今から愛犬の皮膚を守る対策が必要です。今回は「犬のホットスポット」について解説いたします。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

ホットスポットとは?

犬の皮膚炎の患部

「ホットスポット」とは犬の急性湿疹のこと、正式には

  • 急性湿性皮膚炎
  • 化膿性外傷性皮膚炎
  • 突発性皮膚炎

などに当たります。

本来ホットスポットというワードは"局地的に数値が高かったり活動が活発な地点"という意味で使用されているもので、犬の急性湿疹の場合は「局所的で急激な皮膚湿疹」という意味を含んでいることからホットスポットと呼ばれることもあります。

ホットスポットの特徴

皮膚炎の白い犬

急激に発現する

急性"という名前の通り、犬のホットスポットは突如として現れることが多く、およそ数時間~1日という短時間で発症します。昨日の夜にはなかったのに今朝起きたら現れていたということもあり、急激な皮膚炎の発現に驚かれる飼い主さんも多くいらっしゃいます。

痒みを通り越して痛みが強い

犬の皮膚炎ではアレルギー性皮膚炎が多く、ひどく痒がってしまうわんちゃんも多いです。しかし、この急性湿性皮膚炎の症状は痒みというよりは「痛み」に近く、患部を執拗に舐めたりこすり付けるといった様子が多く見られます。痛みがあるため、飼い主さんが患部を触ろうとするとひどく嫌がったり怒ったりすることもあります。

梅雨時期に発症しやすい

そして、ホットスポットは春~夏にかけて、特に梅雨の時期に多く発症します。気温と湿度が上がるこの時期には、被毛で覆われた犬の皮膚はとても蒸れやすくなるためです。皮膚が蒸れてしまうと最近の繁殖も活発となり、皮膚の炎症を引き起こしやすくなります。

ホットスポットの症状

自分の足を噛んでいる犬

ホットスポットは脱毛を伴うことが多く、円形脱毛症のようなピンポイントなものから帯状や広範囲に脱毛が見られるものまでさまざまです。ホットスポットを発症すると、その痛みや不快感によって舐め続けたりこすってしまったりするわんちゃんが多いため、患部に出血があったり、赤むけのようになっていたり、体液がカピカピに固まってしまっていたりします。

ホットスポットの原因

雨の中散歩中の犬と男性

アンダーコートが密生している犬種

犬のホットスポットは犬種を問わず発症の恐れがありますが、

  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー
  • 柴犬
  • シベリアンハスキー

などのアンダーコートが豊かな犬種が特に発症しやすいと言われています。

複数の要因が重なることで発症する

ホットスポットの原因はまだ特定されていませんが、

  • 食物アレルギー
  • ノミやダニのアレルギー
  • アトピー
  • 高温多湿の気候による皮膚状態の悪化

などの複数の要因が重なることが発症の引き金になると考えられています。

アレルギー性皮膚炎を発症していると激しい痒みで掻きむしってしまったり、もともとの皮膚のバリア機能が低下しています。そうすると、正常な状態でも存在している常在菌が患部から侵入して化膿してしまうこともあります。そして、梅雨の時期は湿度が高いため、被毛に覆われているわんちゃんの皮膚は蒸れやすくなります。皮膚が蒸れると細菌の繁殖も活発となり、皮膚の健康バランスが崩れやすくなります。

二次感染を引き起こす恐れも

皮膚炎になって掻きむしることで傷ができ、そこから更に細菌が侵入して化膿してしまう二次感染の恐れもあります。一度皮膚の状態が悪くなるとそこから更に進行してしまうことも多く、犬の皮膚炎は完治するまでに時間がかかってしまうことが多いです。

ホットスポットを予防するには

ドライヤーされる犬

ホットスポットは気温が上がる春から梅雨の時期に特に発症しやすいので、本格的な梅雨が訪れる前にしっかりと対策をしておきましょう。

  • 被毛を適切にカットする
  • ブラッシングで毛のもつれを除去する
  • 定期的なシャンプー
  • 濡れた後はドライヤーで皮膚まで乾かす

など、毎日のケアで皮膚を健やかに保ちましょう。

皮膚の蒸れを予防することがポイント

特に、自宅でのシャンプーの後や雨の日のお散歩の後などは要注意です。被毛だけではなく、毛の根元や皮膚までしっかりと乾かし切ることがポイントです。ドライヤー中には「もう乾いたかな?」と感じても、しばらくするとまだ濡れていることも多くあります。皮膚が暑くなり過ぎないようにドライヤーの温度に気を付けながら、ブラシを使ってしっかり乾かしてあげましょう。

まとめ

犬のお腹の皮膚炎

今回は「犬のホットスポット」について解説いたしました。

皮膚炎と戦っているわんちゃんは大変多く、掻きむしったり舐めたりして完治するまで手こずることが多いのも厄介なところですよね。

特に梅雨の時期には気温と湿度がともに上昇しますので、被毛に覆われた犬の皮膚は蒸れやすくなります。蒸れてしまうことで皮膚の状態が悪くなり、皮膚炎を引き起こしやすくなります。湿度が高い状態は細菌の繁殖も活発となり、掻きむしった傷口から感染して化膿してしまい、皮膚炎がさらに悪化してしまうこともあります。

ホットスポットは見た目にも痛々しく、痛みもあってわんちゃんにとっても苦痛なものです。
そのため、今から梅雨の時期にかけて皮膚の状態を健やかに保つ習慣が重要です。

  • 被毛を適切にカットする
  • ブラッシングで毛のもつれを防ぐ
  • 定期的にシャンプーする
  • 濡れた後はしっかり乾かす

以上の4つの習慣で、わんちゃんの皮膚の健康を保ちましょう。

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