ヘルニアとは?
ヘルニアと椎間板ヘルニア
ヘルニアといえば椎間板ヘルニアのことを思いつく方も多いと思います。しかし、そもそもヘルニアとは体内のある器官が本来あるべき場所からはみ出してしまっている状態のことで、椎間板だけに限ったことではありません。
おヘソが出ている場合には臍(さい)ヘルニア、腸管が鼠径部から出ている場合は鼠径(そけい)ヘルニアとなります。椎間板ヘルニアの場合は、背骨の間にあるゼリー状の組織である椎間板が何らかの原因ではみ出してしまい、脊髄を圧迫している状態のことです。椎間板は骨と骨との間でクッションのような役割をしています。椎間板ヘルニアが起こった場所にもよりますが、脚に麻痺が出て歩けなくなったり、排泄のコントロールができなくなったりします。
犬がヘルニアを発症した時のケア
椎間板ヘルニアを患っている犬は慢性的に背骨に痛みがあり、場合によってはお腹の動きがわるくなることがあります。そのため便秘になったり、お腹にガスがたまって苦しくなることがあります。また運動制限によって筋肉が落ちたり、関節が固くなってうまく動かせなくなる犬もいます。そんな愛犬のためにできることを2つご紹介します。
マッサージ
筋肉をほぐしたり、体を温めたり、関節の動きを助けたりすることができます。またお腹をマッサージすることで腸の働きがよくなることも期待できます。犬とのコミュニケーションにもなるため、犬のメンタルの安定にも役立つでしょう。
ホットパック
背中やお腹を温めて血行を良くすることで痛みを緩和したり、お腹の働きをよくしたりする方法です。市販の湯たんぽを利用したり、お湯で温めたタオルを利用したりします。ただ長時間同じ場所を温めると低温やけどをする恐れがあるので、飼い主さんの目が届くところで定期的に温める場所を変えながら行ってください。
犬のヘルニアのマッサージ方法
ヘルニアを患った犬にマッサージは効果的である反面、誤った方法で行ってしまうと犬に余計な負担を与えてしまう恐れもあります。ここでは犬に行うヘルニアのマッサージは具体的にどのように行えばいいのかについて解説していきます。
背中マッサージ
犬が患ったとき、背中のツボを刺激するマッサージ方法が効果的です。犬の背中をマッサージする際は、指圧もしくは手のひらでやさしく円を描きながら筋肉をほぐす感覚で首から尻尾の付け根付近まで行っていきます。マッサージを施す際は犬に痛みを感じさせないよう、やさしい力加減を意識してください。
ホットパック
温熱療法であるホットパックを行う際は、湯たんぽやカイロ、ホットタオルなどを熱すぎない温度で用意します。カイロや湯たんぽを用いる際は皮膚に直接当たらないようタオルや洋服などに挟んで使用してください。
ホットパックは、一か所をずっと温め続けることで低温やけどを引き起こす恐れがあります。具体的な時間は条件によって異なりますが、30分程度を目安に位置を調整してください。
犬のヘルニアの予防のためにできること
適度な筋肉と体重維持
椎間板ヘルニアを防ぐためには適度な筋肉が必要です。子犬の頃からバランスの良い食事や、適度な運動をして筋肉を維持することが大切です。太っていると関節を痛めやすいので太らないように標準体型であることを意識するのも良いですね。また2本足で立たせたり、両脇の下に手を入れて持ち上げたりすると背中に負担がかかりやすいのでやめましょう。基本的に抱っこは首の下とおしりの下の四肢の間に手をいれて、床と背中が水平になるようにしてください。
犬の負担になる家具はおかない
室内で飼っている場合はソファーにのぼったり、階段がある家であれば階段の上り下りをすると思います。人間にはなんてことのない段差ですが、犬の体には負担になっている場合があります。とくに小型犬や胴が長い犬種は関節や背中などに負担がかかりやすく、長年続けていると痛めてしまうこともあります。段差がある場合はスロープをつけたり、犬用の小さな階段をつけたりすると良いでしょう。それが難しい場合は、その場所自体に行かせないほうが良いのかもしれません。
カーペットやフローリングに気をつける
カーペットなどは固定していないと犬が滑ってしまうことがあります。滑ったときに関節や筋を痛めることもあるので、カーペットなどの敷物は固定するようにしましょう。カーペットの中でも毛の先が輪っか状になっているものは犬の爪がひっかかりやすいので避けるようにしてください。フローリングの場合、滑って転んでしまうことが多いのでジョイントマットやすべりどめシートなどを敷くと良いですね。フローリングでの転倒防止のためにカーペット敷いて固定するのも良いでしょう。犬が滑って転んでしまいそうな場所には注意してください。
まとめ
愛犬がヘルニアを発症して痛い思いをしていたら心が痛くなりますよね。そんな愛犬のためにできることはマッサージやホットパックです。ただし場合によっては逆効果になることもあるので必ず行う際は獣医師の許可を得ましょう。もし他にも試してみたいことがある場合にはそれが逆効果になってしまうという心配もあるので、一度獣医さんに聞いてみたほうが良いでしょう。
またヘルニアにならないための工夫も小さい頃から気をつけておいたほうが良いですね。とくにヘルニアになりやすい胴長短足の犬種は気をつけておいて損はありません。