犬の耳はどんなもの?
耳の機能
人間の可聴域(音が聞き取れる範囲)は20〜20,000ヘルツであると言われています。一方犬は40〜65,000ヘルツと下限は人間とあまり変わりませんが、上限が大きく異なります。広い可聴域を持つ犬は野生の動物のちょっとした物音などを聞き取り、素早くその位置を特定することできます。そのため狩猟犬として活躍する犬も多いのです。
しかしその聴力の良さゆえに、掃除機やドライヤーなどの高い音を出す機会に対して人間よりも敏感に反応し不快感を感じてしまうこともあります。それがストレスになってしまい体調を崩すことに繋がることも少なくありません。
耳を悪くする原因
優れた聴力を持つ犬ですが、病気や加齢によって聴力が衰えてしまうこともあります。また遺伝によって聴覚障害を持って生まれてくる場合もあります。まず聴力が衰える原因として多いのが加齢です。人間と同じように耳の機能が悪くなり聴力が落ちます。そして次に多いのが感染症です。外耳炎、中耳炎、内耳炎などの感染症によって鼓膜をはじめとする耳の内部組織や細胞を破壊してしまい、聴力が低下することがあります。
その他にも科学物質によるものや、大きな音を聞き続けることで起こる音響外傷などがあります。病気の場合は耳垢が多くなる、耳が腫れる、臭いがするなどの症状があるので、耳掃除をするときにチェックしてみてください。
耳から液体が出たときの病気と治療法
液体の正体
耳から出る液体として考えられるのは耳だれです。耳だれは耳から流れ出る液体のことで耳漏とも呼ばれます。漿液性(しょうえきせい)、膿性(のうせい)、血性など性質は様々です。細菌感染によるものはベタっとした膿性になります。外耳炎や中耳炎などで起こります。血がまじる場合は炎症が重篤化していたり、慢性的になりすぎてお耳の中が傷つきやすい状態などの可能性があります。
考えられる病気
犬が耳から液体を出したときに多い原因は外耳炎、もしくは内耳炎です。多くの犬がかかる耳の病気で悪化すると鼓膜から先に炎症が進み、中耳炎を引き起こすこともあります。そして聴力にも影響が出ます。さらに悪化すると神経症状が出たり、手術が必要になることもあります。中耳炎と症状が似ているため判別は難しいですが、外耳炎も中耳炎も耳だれが出る場合があり、中耳炎になると耳だれの量が多くなります。
湿度や温度が上がり始める4月あたりから発症が増え、夏の間に悪化することが多いでしょう。はやめに病院へ連れて行って処置をしたり、薬を処方してもらったりしてください。
治療法
治療の基本は耳道洗浄を行うことです。犬用の洗浄液で耳垢を取り除き、点耳薬や飲み薬で治療していきます。もし耳に耳ダニがいる場合は駆除を行います。病院ではカテーテルなどを使って耳の奥の方も処置することが可能です。また耳の中がどういう状態なのかを確認することもできるので、耳垢が多い、耳だれが出る、過剰に痒がる場合は病院でみてもらいましょう。
何度も繰り返す外耳炎はアレルギーなどが関係していることが多いので、そういった場合はそちらも対処する必要があります。異物や腫瘍が原因の場合や、中耳や内耳まで炎症が広がっている場合は麻酔をかけて処置をすることもあります。
耳をきれいに保つには?
正常な耳であれば耳垢は奥から入口に向かって動いていきます。そのため自宅でのケアは湿らせたコットンなどで、指で届く範囲を拭いてあげるだけで十分です。強くこすったり奥を触りすぎたりすると傷つく危険性があります。また綿棒を使うと耳垢を奥に押し込んでしまう可能性や鼓膜を万が一破ってしまう場合があるのであまりオススメはしません。
犬用のイヤークリーナーなどをコットンにつけて毎日拭いてあげるのが理想的です。特に耳がたれている犬種は定期的にお掃除をして清潔にしてあげないと外耳炎などになりやすいので注意が必要です。耳を傷つけてしまうと拭いたものに血がついていたり、犬が耳を痛がったりします。傷口が化膿してしまうかもしれませんので、きちんと病院につれていきましょう。
まとめ
犬の耳から出る液体は耳だれであることが多く、膿や血が混ざっていることもあります。多くの場合、原因は外耳炎や中耳炎などで、悪化すると手術が必要になることもあります。外耳炎や中耳炎の治療法としては耳の中を洗浄する耳道洗浄を行い、点耳薬や飲み薬で治療していくものが一般的です。病院では耳の奥まで掃除をすることができ、中を様子をみることもできます。日頃のケアは飼い主さんの指が入る範囲までを湿ったコットンなどで拭くだけで十分でしょう。
もし耳垢がひどかったり、耳だれが出ている場合はすぐに病院につれていきましょう。早めに異常を見つけて病院で処置をしてもらえば回復も早くなります。
また毎日軽く耳掃除をすることで病気を予防することもできます。コミュニケーションをとりながら毎日耳掃除ができるようにしましょう。