犬がフラフラしているときに考えられる原因
老化
犬にも老化現象は起こります。筋力の低下、筋肉や関節が固くなり柔軟性が落ちて動きがかたくなります。そのため怪我をしやすくなったり、転んだり、何かにぶつかったりすることもあります。さらに神経系統の伝達が遅くなるため、バランスが取りにくくなり、体がフラフラと不安定になることもあります。
脳や脊髄の疾患
体全体を管理している脳と、脳からの指示を伝達する脊髄に異常があるとフラフラとすることがあります。脊髄梗塞、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、などでは後ろ足をうまく使えなくなりフラフラと歩くようになることもあります。
耳の疾患
耳には内耳と呼ばれる部分があり、内耳にある前庭の疾患の場合平衡感覚の調整ができずまっすぐに歩けなくなります。また、目が揺れる眼振といった症状や頭をかしげるように見える捻転斜頸(ねんていしゃけい)と呼ばれる症状がでることもあります。
車酔いのような状態になっているため嘔吐をしたりよだれを過剰にだしたり、元気がなく食欲もなくなります。
貧血
貧血を起こしている場合、フラフラと歩くようになります。原因はさまざまで飼い主さんだけでは原因を特定できないので、病院で検査を受けるようにしましょう。まぶたの裏や舌、歯茎などの粘膜が白っぽくなることが特徴です。
また、原因のひとつとして玉ねぎやネギなどを食べて貧血を起こすことがあるので絶対に与えないように注意しましょう。
考えられる主な病気
椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)
椎間板ヘルニアとは背骨の中にある脊髄が椎間板物質に圧迫されて腰などに痛みが出たり、足が麻痺したりするものです。歩けなくなったりフラフラしたりなど歩行に異常がみられるようになります。
重症化すると排泄ができなくなったり、足が麻痺して立てなくなったりします。
免疫介在性関節炎(めんえきかいざいせいかんせつえん)
関節リウマチなど、免疫異常による関節に炎症が起きる病気です。本来外から来た悪いものを攻撃するはずの免疫機能が、自分自身を攻撃してしまうものです。関節表面の軟骨が破壊される場合と、関節表面は破壊されない場合があります。
関節のこわばりや倦怠感、痛み、発熱、食欲の低下、元気がなくなる、などの症状がでます。関節が痛くて歩けなかったり、フラフラと歩いたりするようになります。
特発性前庭障害(とくはつせいぜんていしょうがい)
加齢などが原因で平衡感覚をつかさどる器官である前庭に障害が起きる病気です。首をかしげたようになったり、円を描くようにまわったり、嘔吐や食欲不振、フラフラと歩く、などの症状がでます。よろめいて立てなくなることもあります。
脊椎奇形(せきついきけい)
遺伝などが原因で脊椎がほぼ形成されなかったり、椎骨がくっついている場合などに異常が出ます。脊髄に異常が起こると歩行困難や麻痺などがあらわれます。
椎間板脊髄炎(ついかんばんせきずいえん)
背中に強い痛みを発する細菌感染による疾患で、痛みが強いため少し動くだけで叫んでしまうほどです。軽度の場合にはフラフラとする程度ですが、触ったり、方向転換をしたりするだけでも痛みが出るためおとなしくなり動かなくなります。
変性性脊髄症(へんせいせいせきずいしょう)
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに多い遺伝疾患です。初期には後ろ足がふらつくといった症状がみられます。現在はまだ治療法のない進行性の病気で、最終的に死亡してしまう疾患です。
コーギーのほかにジャーマン・シェパードやバーニーズ・マウンテン・ドッグなどでも発症します。
変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)
脊椎の老齢性変化で、脊椎に突起ができたり、脊椎同士がつながってしまったりします。
主な原因は老化で背骨同士の安定性が低下してくると骨同士がお互いを支え合おうとするために骨が増生して変形してきます。
フラフラする犬はどうしたらいいの?
まずはぶつかったりして怪我をしないようダンボールで周りを囲ったり、ケージにいれたりしましょう。暗くして静かに過ごせるようにしてあげてください。そしてすぐに動物病院で診てもらいましょう。注射やおくすり、場合によっては点滴などで治療をします。その後は獣医さんの支持に従うようにしてください。
まとめ
犬がフラフラする原因はたくさんあり、飼い主さんが特定することは困難です。そのためまずは転倒などで怪我をする危険を取り除いてあげましょう。ケージや犬のためのちょっとしたスペースなどを作り、タオルや毛布を敷き、ぶつからないためにダンボールなどで囲ってあげてください。光や音でひどくなる場合もあるようなので、暗く静かにしてあげましょう。
そしてすぐに病院につれていきましょう。処置は早い方が良いので、迷わず連れて行ってください。獣医さんの指示に従って対処していきましょう。