【症状】犬のうつ病は少しずつ進行する
様々なストレスや多忙さなどから、現代人はうつ病にかかりやすいと考えられ、実際に心療内科の受診者やうつ病患者は増えています。人間のうつ病というと気分の落ち込みや無気力などの症状があらわれ、悪化すると被害妄想を抱えたり、最悪の場合自殺してしまったりする場合などもある精神疾患です。
犬の心の病の場合にも似たような症状が見られ、
- これまで好きだった散歩や遊びに興味を示さなくなる
- 寝てばかりいるようになる
- 食欲がなくなる
- 粗相が増える
- 手足を噛んだりなめたりする行動が見られる
などといった症状が見られます。これらは老化に伴って起こる症状でもあり、もちろん病気があっておこる場合もあるので、見分けが非常に難しいものではありますが、心の病の一症状としておこる可能性があります。
【治療】犬用の抗うつ剤を使用することも
犬のうつ病に似た症状が増えてきていると考えられていますが、実際には犬のうつ病を正確に診断することは実はとても難しいことです。人間のうつ病の診断には本人との会話などが重要な要素となりますので、言葉を持たない犬の心情を正確に理解することは難しいためです。しかしながら、犬のうつ病と見られる症状への対処や治療を行うことは可能です。
犬のうつ病の治療法
基本的に犬のうつ病に似た症状の治療は行動療法や飼い主による関わりを変えることで行います。落ち込みがちな様子を見せる犬にはできるだけ明るく接するようにし、抱っこで外に連れ出し様々な景色を見せたり、においをかがせたりして自然と触れ合わせることが大切です。また、つぼ押しやTタッチなど、リラックス効果の高いマッサージを取り入れるのも効果的です。
しかし、分離不安による不安障害やしっぽなどを追いかけ続けたり、同じ行動を繰り返し行う常同障害などで自傷など危険と思われる症状があらわれているときには犬用の抗うつ剤が処方されることもあります。アメリカ・イギリスで認可された犬用抗うつ剤『Reconcille』は、人間用の抗うつ剤に含まれている成分とおなじものが入っています。
【予防】犬のうつ病を防ぐにはふれあいが大切
犬のうつ病はストレスが原因
犬がうつ病に似た症状を発症する原因として考えられているのはやはりストレスです。特にコミュニケーション不足や愛情不足、運動不足など飼い主との関わりや触れ合いの時間が少ないことが影響を与えやすいとされています。
具体的には留守番時間が長く散歩や遊びの時間がほとんどない、いつも飼い主の機嫌が悪く犬への接し方が冷たい、引っ越しなど環境の変化が多いなどといったことは犬の精神にも多く影響を与え、うつ病に似た症状を発症させる原因になると考えられます。
犬の不安感を取り除こう
もしも留守番時間が長い、環境変化が大きいなど犬のストレスになりうる要因が多い場合には、短い時間でも密度の濃いコミュニケーションが取れるように工夫したり、声掛けや接し方を穏やかにするよう心がけたりして、犬の不安感を取り除いてあげられるようにしてください。
まとめ
正確なデータや研究はまだあまり多くない犬のうつ病ですが、共に暮らす人間にうつ病が増えているということから、その影響が波及し犬のうつ病も増えていくと考える専門家もいます。しかし、犬のうつ病の要因となるストレスは飼い主によってある程度コントロールすることが可能です。
犬の場合、仕事や学校で社会と触れ合っているわけではなくほとんどの時間を家庭内で過ごしています。そのため、飼い主がたっぷり散歩に行ったり、マッサージや遊びで密なコミュニケーションを取ったりして、犬のストレスや不安感を解消してあげることは十分に可能だと思います。
犬の心の病を予防、改善するためには飼い主によるたっぷりの愛情が非常に重要な役割を果たします。日頃から愛犬の様子を観察し、その時々にあわせた関わりを持てるように心掛けましょう。